大丸松坂屋画廊でマークエステル「日本神話」展

【銀座新聞ニュース=2019年6月27日】国内百貨店業界2位の流通グループ、J.フロントリテイリング(中央区八重洲2-1-1)傘下の大丸松坂屋百貨店(江東区木場2-18-11)が運営するアートギャラリー「Artglorieux GALLERY OF TOKYO」(中央区銀座6-10-1、GINZA SIX、03-3572-8886)は6月27日から7月3日までマークエステル・スキャルシャフィキさんによる個展「色で奏でる日本神話」を開いている。

大丸松坂屋百貨店のギャラリー「アールグロリュー ギャラリーオブトーキョー(Artglorieux GALLERY OF TOKYO)」で6月27日から7月3日まで開かれるマークエステル・スキャルシャフィキさんによる個展「色で奏でる日本神話」に出品される「静かに夢想される天照大御神」(手彩入、ジクレー版画)。

フランス出身の画家、マークエステル・スキャルシャフィキ (Marcestel Squarciafichi)さんは水墨画の美しい滲(にじ)みを油絵で表現する技法を独自にあみだし、神社奉納活動で神社本庁からも表彰され、世界に向けて日本の精神文化を紹介する姿勢が評価され、2014年に「文化関係者文部科学大臣表彰」を受けている。

マークエステルさんの豊かな色彩で花々や風景などの自然の美しさと、自然を大切にする日本神話の世界を題材に描いた作品を展示する。

「スキャルシャフィキ家」は800年続く名門で、その起源は祖先がドイツからイタリアのジェノバに移り住んだ12世紀の初頭にさかのぼり、同世紀半ばにローマ法皇から貴族に列せられている。

マークエステル・スキャルシャフィキさんは1943年フランス・パリ生まれ、1945年に南フランスのエズ・ボード・ドゥ・メール(コート・ダジュール)に両親が「バナヌレイホテル」を開業し、1950年に両親がエズに「カップエステルホテル」を設立、1951年に「ル・カップエステルホテル(星の岬ホテル)」を設立、ロシア(現ベラルーシ)出身のユダヤ系画家、シャガール(Marc Chagall、1887-1985)と交流し「君は絵描きに向いてる」と勧められる。

1960年にパリ・ボザール美術学校で建築学を学び、パリ・カモンド美術館で装飾美術を学び、1968年にパリ大学経済学部を卒業、国立東洋語学校にて中国語、ロシア語の学士号を取得した。1968年に外交官としてラオスのフランス大使館に勤務、ラオス教員養成所でフランス語と経済学を教える。1969年にパリに戻り、外務大臣の秘書を務め、1970年に大阪万博で日本を訪れ、京都・清水寺で和紙に描かれた水墨画の滲み技法に魅せられ、画家になることを決意した。

1974年に油絵で滲みを表現する独自技法により、洋画と西洋画を融合させた手法を確立、1977年にシルク生地によるセリグラフを制作、ピエール・カルダン、ピエール・バルマンなどがオートクチュールに使用し、「ボーグ」誌で特集される。1979年にアメリカ・ニューヨーク州のウッドストックにアトリエを開き、ニューヨーク、パリ、東京など個展を開いた。1987年にアフリカ・トーゴ、アジアの子どもたちの支援を始め、現在、トーゴ、ブルキナファソなどで3つの学校を運営している。

1989年に東急文化村オープニング記念展、旧銀座ソニービル全館で展示会を開催、サロン・ドートンヌ正会員になり、1990年に香港にもアトリエを構え、ニューヨークにも新たにアトリエを開く。1996年にサロン・ドートンヌのアジア代表に就任、伊勢神宮、出羽三山神社の依頼により作品を奉納し、これを機に、奉納活動をはじめ、2006年に画集「日本神話」を7カ国語で出版、2008年に上野の森美術館で「日本神話」展を開き、北京オリンピックテレホンカードに作品が起用される。

2010年に上海万博でアートディレクターを務め、上海市より「1919文化村」にアトリエを10年契約で提供される。2014年に文部科学大臣表彰を受け、2015年に九州国立博物館で個展を開き、来日45周年を迎える。2011年に北京オリンピック開催3周年記念で、ウォーターキューブ(北京オリンピック水泳会場)で開かれた「第1回国際書道・絵画展覧会」で銅メダルを受賞した。2017年に作品を舞台化した公演「日本神話byマークエステル」を開催、現在、170カ所以上の神社に絵画を奉納している。

会期中、毎日13時から17時までマークエステルさんが来場する。

開場時間は10時30分から20時30分(最終日は18時)まで。入場は無料。

ピカデリ「ダイナー」原竜也、玉城ティナら初日挨拶

【銀座新聞ニュース=2019年6月26日】アメリカ映画業界第3位、ワーナー・ブラザースグループの日本の映画配給会社、ワーナー・エンターテイメント・ジャパン(港区西新橋1-2-9、日比谷セントラルビル)の「ワーナー・ブラザース映画」は7月5日に丸の内ピカデリー(千代田区有楽町2-5-1、有楽町マリオン、03-3201-2881)で「Diner ダイナー」に出演している原竜也さん、玉城ティナさんらによる舞台あいさつを開く。

7月5日から一般公開される「Diner ダイナー」((C)2019映画「Diner ダイナー」製作委員会)。

5日10時35分の回上映終了後と13時50分の回上映前に、監督の蜷川実花(にながわ・みか)さんをはじめ、元殺し屋の天才シェフで、殺し屋専用の食堂「ダイナー」の店主「ボンベロ」役の藤原竜也(ふじわら・たつや)さん、「ダイナー」のウェイトレス「オオバカナコ」役の玉城ティナ(たましろ・てぃな)さん。

全身傷だらけの孤高の殺し屋「スキン」役の窪田正孝(くぼた・まさたか)さん、子どものような姿をしたサイコキラー「キッド」役の本郷奏多(ほんごう・かなた)さん、スペイン語を操る筋肉自慢の荒くれ者「ブロ」役の武田真治(たけだ・しんじ)さん、殺し屋「無礼図(ブレイズ)」役の真矢ミキ(まや・みき)さん、「ダイナー」のオーナー「コフィ」役の奥田瑛二(おくだ・えいじ)さんが舞台に登場してあいさつする。

「Diner ダイナー」は作家の平山夢明(ひらやま・ゆめあき)さんが2009年に刊行した小説「ダイナー」(ポプラ社)が原作で、その後、マンガ家の河合孝典(かわい・たかのり)さんによりマンガ化され、「週刊ヤングジャンプ」(集英社)に2017年36・37合併号から2019年2号まで連載され、集英社のWEBコミックサイト「となりのヤングジャンプ」に移して連載している。

物語は元殺し屋の天才シェフ、ボンベロが店主をつとめる殺し屋専用の食堂「ダイナー」で、日給30万円の怪しいアルバイトに手を出したばかりに闇の組織に身売りされてしまった少女オオバカナコが、ボンベロに買われウェイトレスとして働くことになるところからはじまる。

ボンベロが「王」として君臨するダイナーには、全身傷だらけの孤高の殺し屋スキンや、子どものような姿をしたサイコキラーのキッド、不気味なスペイン語を操る筋肉自慢の荒くれ者のブロら、ひと癖もふた癖もある殺し屋たちが次々とやってきて、カナコはボンベロや、殺し屋たちの人間模様に触れていく。

ウイキペディアによると、蜷川実花さんは1972年東京都東久留米市生まれ、父親が演出家・映画監督の蜷川幸雄(にながわ・ゆきお、1935-2016)、母親がキルト作家の真山知子(まやま・ともこ)さんで、第一子として出生し、妹が1人いる。

多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科を卒業、1996年にリクルートの第9回写真3.3平方メートル展(ひとつぼ展)でグランプリ、第13回キヤノン写真新世紀で優秀賞、1998年に第9回コニカ写真で奨励賞、2001年に第26回木村伊兵衛写真賞、2006年に第13回VOCA展で大原美術館賞を受賞している。2016年4月18日号から朝日新聞社の週刊誌「アエラ(AERA)」の表紙を担当している。

映画では2007年に「さくらん」で監督を務め、2012年に「ヘルタースケルター」で監督、2019年の「Diner ダイナー」が3作目。2019年9月公開予定の「人間失格 太宰治と3人の女たち」も監督している。2020年の東京オリンピック・パラリンピック組織委員会理事を務めている。

1997年に結婚し(その後離婚)、2004年に再婚し(2007年に離婚)、2007年10月に妊娠していることを公表し、同年12月11日に第1子(長男)を出産した。その後、相手の男性とは入籍した。2015年5月に第2子妊娠を公表、9月25日に第2子出産を公表した。

チケットはチケットぴあを通じて、最速抽選プレミアム販売を受付中で、27日11時締め切り。先行抽選販売も受付中で、28日11時締め切り。29日10時より一般発売する。料金は全席指定で2100円均一。

フード協5月外食3.1%増、33カ月連続、客数も回復へ

【銀座新聞ニュース=2019年6月26日】一般社団法人「日本フードサービス協会」(港区浜松町1-29-6、浜松町セントラルビル、03-5403-1060)はこのほど、5月の「外食産業市場動向調査」(全店ベース)を発表した。

2016年9月に東証マザーズに上場、この6月21日に東証1部に変更した串カツ田中(品川区東五反田1-7-6、藤和東五反田ビル、03-5449-6410)は6月30日まで「串カツ田中銀座店」(中央区銀座7-3-13、03-6264-5094)など全店(一部除く)で「東証1部上場記念特別キャンペーン」を行っている。串カツ全品108円(税込)、あるいはハイボール(ジムビームと角)を108円で提供している(どちらかを選ぶ)。また2018年6月から全店(241店)で禁煙にしている。

全業態で5月は「GW後半の6連休から始まり、昨年と比べて休日が2日多かったこともあり、連休期間中は堅調に推移した。連休後はその反動による節約志向などで客足は鈍ったものの、季節メニューの投入やメニュー価格の改定などにより客単価が上昇」したこともあって、外食産業の売上高は前年同月比3.1%増と33カ月連続で前年を上回った(既存店ベースは未公表)。

また、全業態で5月の店舗数は同0.1%増、客数が同1.4%増、客単価が同1.7%増だった。

業態別では、ファーストフード(FF)が同3.9%増で2015年12月から41カ月連続プラス、ファミリーレストラン(FR)が同3.4%増と6カ月連続でプラス、パブ・居酒屋が同0.5%増と2カ月ぶりにプラスとなり、ディナーレストランが同0.9%増と2カ月ぶりに上回った。喫茶が同2.3%増と5カ月続けてプラスだった。

日本フードサービス協会の統計は会員が192事業者数(2019年4月197、3月196、2月199、1月199、2018年12月197、11月202、10月201、9月199、8月190、7月194、6月200、5月204、4月207、3月200、2月195、1月192)、店舗数が3万5646店(3万5763店、3万5798店、3万6467店、3万6659店、3万6637店、3万6567店、3万6380店、3万6602店、3万6572店、3万6524店、3万6689店、3万7232店、3万6843店、3万6759店、3万6359店、3万6197店)が対象。

内訳はファーストフードが57社(56社、57社、57社、56社、58社、57社、60社、57社、59社、61社、61社、60社、59社、55社、54社)、1万9370店(1万9461店、1万9444店、1万9913店、2万0219店、1万9954店、1万9990店、1万9844店、2万0086店、2万0001店、2万0024店、2万0163店、2万0603店、2万0023店、2万0571店、1万9689店、1万9768店)。

ファミリーレストランが50社(52社、50社、57社、52社、53社、52社、52社、51社、52社、50社、53社、52社、54社、56社、52社、52社、50社)、9667店(9629店、9622店、9838店、9770店、9814店、9847店、9759店、9848店、9778店、9848店、9921店、9911店、9875店、1万0061店、9187店、9946店、9773店)。

パブ・居酒屋が31社(33社、33社、33社、32社、33社、32社、34社、33社、32社、30社、33社、34社、34社、33社、32社、31社)、2317店(2366店、2395店、2378店、2296店、2388店、2335店、2393店、2381店、2241店、2193店、2271店、2361店、2245店、2467店、2247店、2202店)。

ディナーレストランが25社(26社、25社、25社、26社、25社、26社、26社、26社、23社、23社、24社、25社、26社、26社、26社、27社)、991店(997店、1003店、999店、1010店、1007店、1013店、1012店、1010店、959店、999店、1004店、999店、1000店、1002店、978店、1017店)、喫茶が13社(13社、15社、14社、14社、14社、16社、16社、14社、15社、15社、15社、15社、17社、16社、16社、16社)、2040店(2033店、2062店、2057店、2063店、2062店、2064店、2054店、2059店、2061店、2097店、2081店、2130店、2239店、2229店、2227店、2164店)。

外食産業(上場企業)の売上高上位3社の5月の既存店売上高は1位のゼンショーホールディングス(すき家、国内店舗数1931店)が同4.0%増と12カ月続けてプラス、2位のすかいらーく(全グループ、国内外店舗数3225店)も同4.2%増と10カ月続けてプラス、3位のコロワイド(全グループ、国内2511店)が同3.5%増と2カ月続けてプラスだった。

シャンテ「エリカ38」ヒットで浅田美代子、山崎静代ら御礼挨拶

【銀座新聞ニュース=2019年6月25日】大手芸能事務所の吉本興業(新宿区新宿5-18-21、旧新宿区四谷第五小学校、03-3209-8300)系の映画配給会社「KATSU-do」(新宿区新宿5-18-21)は6月29日にTOHOシネマズシャンテ(千代田区有楽町1-2-2、03-6868-5001)で「エリカ38」の大ヒットを記念して、浅田美代子さん、山崎静代さんらによる御礼の舞台あいさつを開く。

現在、一般公開中の「エリカ38」((C)吉本興業)。

「エリカ38」が6月7日から一般公開し、8日と9日、15日と16日の映画興行ランキングによると、いずれも10位以内にはランキングされていないものの、映画配給会社として「大ヒット」を記念して、29日12時の回終了後に、主人公でつなぎ融資の女王「渡部聡子(エリカ)」役の浅田美代子(あさだ・みよこ)さん。

エリカの愛人、平沢育男(平岳大=ひら・たけひろ=さん)とともにエリカを投資詐欺犯罪に巻き込む「伊藤信子」役の木内(きうち)みどりさん、エリカの家政婦「小島マリ」役の山崎静代(やまさき・しずよ)さんが舞台に登場して御礼のあいさつする。

「エリカ38」は2017年に出資法違反の疑いで逮捕され、実刑7年の判決を受けた、つなぎ融資の女王といわれた山辺節子(やまべ・せつこ、1955年生まれ)さんによる詐欺事件をモチーフにした映画で、2018年9月に他界した樹木希林(きき・きりん、1943-2018)が生前、初となる映画企画したもので、吉本興業が制作している。

映画は実在の事件をモチーフに、60歳を過ぎても38歳と偽って色香で次々と男をだまし、最後は異国の地で逮捕された女の姿を描いている。エリカ役には、45年ぶりの映画主演となる浅田美代子さんが務め、樹木希林は浅田美代子さんの代表作になってほしいという思いから企画し、自らもエリカの母役で出演している。

物語は渡部聡子=自称エリカが、愛人である平沢育男の指示のもと、支援事業説明会という名目で人を集め、架空の投資話で大金を集めるところからはじまる。しかし、平沢が複数の女と付き合い、自分を裏切っていることを知ると、エリカは平沢との連絡を絶ち、金持ちの老人をたらし込んで豪邸を手に入れる。

老人ホームに入っていた母を呼び寄せ、こんどは自ら架空の支援事業の説明会をおこない金を詐取していくエリカだった。

チケットは25日劇場オープン時から発売している。料金は一般1900円、大学生1500円、高校生、3歳以上中学生1000円、シニア1200円。映画は「RG12」(小学生は助言・指導が必要)に指定されている。

注:「平沢育男」の「沢」は正しくは旧漢字です。名詞は原則として常用漢字を使用しています。

丸善日本橋で西岡由利子、直樹夫婦の工房展、モスリンの羽織物

【銀座新聞ニュース=2019年6月25日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は6月26日から7月2日まで3階ギャラリー特設会場でアナンダ工房による「19夏-モスリンの刺繍と綿の縞」を開く。

丸善・日本橋店で6月26日から7月2日まで開かれるアナンダ工房による「19夏-モスリンの刺繍と綿の縞」に出品される作品。

染織家の西岡由利子(にしおか・ゆりこ)さんと夫で織を手がける西岡直樹(にしおか・なおき)さんが1986年に「アナンダ工房」を設立して以来33年目を迎え、今回はインドで育まれた薄手の綿モスリンを前面に施したカンタ刺繍の羽織りもの、ブラウス、アナンダ工房で織った着心地のいい手紡ぎ綿の羽織もの、薄手の縞織(しまおり)のチュニックプルオーバーなどを展示販売する。

ウイキペディアによると、モスリン(muslin)とは、木綿や羊毛などの梳毛糸(そもうし)を平織りにした薄地の織物をさす。名称はメソポタミアのモースルに由来するとも、そのふんわりとした風合いを示すフランス語のムースに由来するともいわれる。

ヨーロッパではモスリンは薄手の綿織物を指し、アメリカではキャラコのことをモスリンと呼ぶ。日本語では先行して流入した毛織物のメリンスとの混同があって、主に毛織物をモスリンと呼んでいる。

日本には近世以降、ポルトガルやオランダなどの貿易船経由でさまざまな布地や服飾が流入してきたが、中でも毛織物はゴロフクレン(呉絽服連、オランダ語・grofgrein)や、これを略してゴロ(江戸の俗語)、フクレンまたはフクリン(京阪の俗語、服綸、幅綸)と呼ばれ、唐縮緬(とうちりめん)、略して唐縮(とうちり、とうち)とも呼ばれた。

明治時代に入り、貿易が活発化し、日本人の洋装化も進むと、メリノ種の羊毛などで織った柔らかい薄手の毛織物が多く輸入されるようになり、これをメリンス(メレンス、オランダ語・merinos)と呼んだ。次第に「モスリン」との混同が起き、明治時代後半頃からはこれをもっぱらモスリン(毛斯綸)、略してモスなどと呼ぶようになった。

後に綿織物のモスリンも流入したので、1920年代頃から、毛織物を「本モスリン」、綿織物を「綿モスリン」または「新モスリン」、「新モス」などと呼んで区別するようになり、シフォンを「絹モスリン」とも称した。

毛織物のモスリン(メリンス)は薄地で柔らかくあたたかい素材として好まれ、普段用の和服や冬物の襦袢、半纏の表、軍服(夏服・夏衣)などに用いられ、伝統的な染色技法である友禅を施した友禅メリンスも流行した。

政府主導で国内の羊毛工業も始まり、最初は紡毛毛織物の生産が中心であったが、次第に梳毛毛織物の生産も始まり、輸入羊毛への関税が撤廃(1896年法律第58号)され、松本重太郎(まつもと・じゅうたろう、1844-1913)の毛斯綸紡績や東京モスリン紡織などが相次いで創業した。

モスリンはラシャやフランネルよりも生産速度が早いことなどから興隆し、日本の毛織物生産の中心となっていった。日露戦争後には、原糸生産から一貫した国内生産が可能になり、日本毛織もモスリン製造に乗り出して業界最大手となった。

第1次世界大戦(1914年7月28日から1918年11月11日)による不況の影響で業績悪化もあったものの、その後、回復し、毛織物の国内自給だけでなく、輸出も行われるようになり、綿紡績会社も毛織物業に進出した。

しかし、大東亜戦争(1941年12月8日から1945年9月2日)になると、原毛の輸入が困難になり、モスリン製造業は縮小を余儀なくされた。1937年10月の「繊維製品の使用制限」公布もあり、羊毛製品にはステープル・ファイバー(スフ)の混入が命じられた。

戦後は生産量を戻したが、合成繊維の登場により、毛織物には虫がつきやすいことなどから、モスリンの需要は減り、今日ではほとんど流通しておらず、目にする機会は少ない。

アナンダ工房は1970年代からインドのウエストベンガル州で、インドの職人である友人たちと一緒に手染と手織りの工房を運営し、その布でオリジナルの服を作っている。素材と色はできる限り自然のものを使っている。インドの樹染めは、沙羅双樹、パラミツ(常緑の高木の果樹)、菩提樹(ぼだいじゅ、インドボダイジュ、高さ20メートル以上に生長する常緑高木で、イチジク属)、アンマロク(別名はゆかんで、果実でハーブのひとつ)などの植物を使用している。

また、2012年2月に西岡直樹さんが文章を、西岡由利子さんがさし絵をてがけた「花みちくさ-身近な植物をめぐる210話」(平凡社)を刊行している。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は17時)まで。入場は無料。