丸善日本橋が辻徹「漆作品」展、茨城・大子の漆で

【銀座新聞ニュース=2017年11月6日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(東京都中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は11月8日から14日まで3階ギャラリー特設会場で辻徹さんによる「器而庵 漆工房の手仕事展」を開く。

丸善・日本橋店で11月8日から14日まで開かれる辻徹さんの「器而庵 漆工房の手仕事展」に出品される作品。

漆工房「器而庵(きじあん)」(茨城県久慈郡大子町大子624、0295-72-2775)を主宰する漆工芸作家・辻徹(つじ・とおる)さんが錫彩漆器の作品や茶道具、新たなブランドの大子漆八溝塗器而庵のうつわなどを出品する。

「器而庵」によると、漆の生産量がもっとも多いのは岩手県、2番目が茨城県で、質としては茨城・大子の漆が一番としている。漆は10年から12年ほど育った木から、6月から10月まで漆かき職人が採取し、漆かき以外のシーズンに漆器をつくっている。

ウイキペディアによると、「漆」はウルシ科のウルシノキ(漆の木、Poison oak)やブラックツリーから採取した樹液を加工した、ウルシオールを主成分とする天然樹脂塗料で、塗料としては漆工などに利用されるほか、接着剤としても使われる。

空気中の水蒸気が持つ酸素を用い、生漆に含まれる酵素(ラッカーゼ)の触媒作用によって、常温で重合する酵素酸化、空気中の酸素による自動酸化により硬化する。硬化すると極めて丈夫なものになるが、二重結合を含んでいるため、紫外線によって劣化する。

また、マンガン化合物を含む「地の粉」と呼ばれる珪藻土層から採取される土を混ぜると、厚塗りしても硬化しやすくなり、螺鈿(らでん)に分厚い素材を使う際にこれが用いられる。金属などに塗る場合、110度以上に加熱することで焼き付け塗装することもできる。

もっとも一般的な用途は塗料として用いることで、漆を塗られた道具を「漆器」という。黒く輝く漆塗りは伝統工芸としてその美しさと強じんさが評価され、食器や高級家具、楽器などに用いられる。漆は熱や湿気、酸、アルカリにも強く、腐敗防止、防虫の効果もあるため、食器や家具に適している。一方、紫外線を受けると劣化するし、極度の乾燥状態に長期間さらされると、ひび割れたり、はがれたり、崩れたりする。

塗料としての漆の伝統的な色は黒と朱であり、黒は酸化鉄粉や煤(すす)、朱漆には弁柄や辰砂などが顔料として用いられ、黒漆と朱漆を使って塗り分けることもある。昭和以後は酸化チタン系顔料(レーキ顔料)の登場により、赤と黒以外の色も出せるようになった。

江戸時代には、漆は接着剤として用いられ、小麦粉と漆を練り合わせて、割れた磁器を接着する例があった。硬化には2週間程度を要し、接着後、接着部分の上に黒漆を塗って乾かし、さらに朱漆を塗り、金粉をまぶす手法を金継ぎといい、鑑賞に耐えられる、工芸的価値を高めるものとして扱われてきた。

また、漆の新芽は食べることができ、味噌汁や天ぷらにすることもある。これは漆塗りの職人が漆に対する免疫をつくろうとして食べたのが始まりとされる。採取する際は、樹の幹の表面に切り込みを入れ、染み出す樹液を缶などを使って溜め、切り込みの溝にも樹液が溜まっているので、これも合わせてかき集め、集めた樹液を「あらみ」と呼ぶ。

「あらみ」には、樹皮やゴミなどが混ざっており、少し加熱して流動性を上げてから濾過(ろか)をする。現在は、綿を加えた上で、遠心分離器で分離する方法も使われている。濾過が終わったものを「生漆(きうるし)」と呼ぶ。生漆を精製し、その過程で油分や鉄分などを添加すると、精製漆となる。

生の漆が肌につくとかぶれるが、これはウルシオールによるアレルギー反応で、漆器になるとかぶれることはほとんどない。まれに、作られて間もない場合、かぶれることもあるが、これは重合され残ったウルシオールが揮発するためとされている。漆にかぶれた場合は、ワラビの根を煎じた汁、煮た沢ガニの汁、ほう酸水などを患部に塗る民間療法がある。

辻徹さんは1963年北海道札幌市生まれ、1990年に東京芸術大学大学院漆芸専攻を修了、1991年に高岡短期大学木材工芸専攻研究生を修了、1996年に「有限会社ウェアウッドワーク」を設立、高岡クラフト展で奨励賞、1998年に茨城県芸術祭で奨励賞、2006年に東日本伝統工芸展で新人賞、日本伝統工芸展で入選した。

2008年に工房独自の漆がきをはじめ、2010年に「大子漆八溝塗 器而庵」を設立、2013年に伊勢神宮式年遷宮御神宝を調製、2015年に国土緑化推進機構の森の名手として名人認定される。現在、茨城県常陸大宮市にて制作している。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は17時)。入場は無料。

 

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