リコー画廊でK.Abe「ジャズの肖像」展、監修の行方均がトーク

【銀座新聞ニュース=2017年12月12日】大手情報機器メーカーのリコー(中央区銀座8-13-1、03-6278-2111)グループのリコーイメージング(大田区中馬込1-3-6)が運営するギャラリー「リコーイメージングスクエア銀座」(中央区銀座5-7-2、三愛ドリームセンター、03-3289-1521)は12月13日から2018年2月18日まで8階ギャラリーゾーン「A.W.P」で阿部克自による「ジャズの肖像 ポートレイチャーズ」を開く。

リコーイメージングスクエア銀座で12月13日から2018年2月18日まで開かれる阿部克自の「ジャズの肖像 ポートレイチャーズ」のフライヤー((C)Photos by K.Abe)。

ジャズ演奏家を撮影し、写真家、グラフィック・デザイナー、プロデューサーとしてジャズ・シーンに多大なる貢献を果たし、2005年に日本人として初めてジャズ写真家の功績を称える第6回「ミルト・ヒントン(Milton John “Milt” Hinton、1910–2000)・アワード」を受賞し、世界のジャズ界で「K.Abe」と呼ばれた阿部克自(あべ・かつじ、1929-2008)のモノクローム作品約100点を1期(12月13日から2018年1月14日)、2期(1月17日から2月18日)に分けて展示販売する。監修は音楽評論家の行方均(なめかた・ひとし)さんが務めた。

デューク・エリントンデューク・エリントン(Edward Kennedy “Duke” Ellington、1899-1974)、マイルス・デイヴィス(Miles Dewey Davis 3、1926-1991)、セロニアス・モンク(Thelonious Sphere Monk、1917-1982)、ジョン・コルトレーン(John Coltrane、1926-1967)、ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie、1917-1993)。

サラ・ヴォーン(Sarah Vaughan、1924-1990)、秋吉敏子(あきよし・としこ、1929年生まれ)さん、カウント・ベイシー(William “Count” Basie、1904-1984)、ベニー・グッドマン(Benny Goodman、1909-1986)、ビル・エヴァンス(Bill Evans、1929-1980)。

アート・ブレイキー(Art Blakey、1919-1990)、チェット・ベイカー(Chet Baker、1929-1988)、フランク・シナトラ(Francis Albert “Frank” Sinatra、1915-1998)ら多くの演奏家と親交が深かった阿部克自だからこそ撮れた、素顔の魅力を捉えた貴重なオリジナル・プリントを展示する。

阿部克自は1929年東京都新宿区生まれ、1940年に紀元2600年全国児童絵画展で文部大臣賞銀賞を受賞、1945年に海軍兵学校に入校、この時期に米軍の英語放送を聴き、ジャズの魅力にはまり、1948年に旧制早稲田中学を卒業、1951年に旧制早稲田大学を卒業、1952年にはBOAC(英国海外航空会社、現ブリティッシュ・エアウェイズ)に就職し、1953年頃よりレコード・ジャケットのデザインと写真をメインに活動し、1000枚以上のレコードジャケットのデザインを手がけ、FM東京などでジャズのDJとしてラジオ番組も持った。

1960年初頭からカヴァー・アートの研究のためアメリカにわたり、ニューヨークを拠点に活動し、1986年4月29日のデューク・エリントンの誕生日に合わせて発行されたアメリカの記念切手(22セント)に作品が使用され、2005年に「ミルト・ヒントン・アワード」を受賞し、2008年9月17日も肺炎により死去した。享年78歳。2009年9月11日に本人の遺言によりニューヨークイースト河に散骨された。

会期中に写真展と写真集の監修者の行方均さんによるトークイベントを開く。行方均さんが進行役として出演し、各回の出演者と阿部克自の功績や当時の思い出などについて語る。

12月16日19時30分からジャズカフェバー「ダグ(DUG)」(新宿区新宿3-15-12、アドホック隣、03-3354-7776)店主、ジャズ写真家の中平穂積(なかだいら・ほづみ)さんと対談する。

1月19日19時30分から音楽評論家の悠雅彦(ゆう・まさひこ)さんと対談する。

行方均さんは1951年宮城県仙台市生まれ、早稲田大学政治経済学部を卒業、1988年にブルーノートの姉妹レーベル「サムシンエルス」を東芝EMI(当時)内に設立、現在まで150タイトル近くの作品を同レーベルで制作し、多くはブルーノートを通じて海外でも発売されている。1999年から2013年にはビートルズの国内盤発売を統括した。
2010年より衛星ラジオミュージックバードのジャズチャンネル番組「プロファウンドリー・ブルー」パーソナリティを務めた(2016年3月まで)。2014年4月よりJFN系FM全国ネット「A・O・R-ジャズ&ボーカル・ナイト(Jazz&Vocal Night)」(毎週火曜20時から21時生放送)に出演し、選曲・解説を担当し、「ジャズ100年の100曲」キャンペーンを推進している。

2016年4月より、衛星ラジオ「ミュージック・バード」の5時間番組「ジャズ100年の名曲名演500時間」(毎週土曜日放送、日曜日再放送)をスタートし(2018年3月まで)、2018年4月より同局で新番組を開始する予定。 EMIミュージックジャパン会長、ユニバーサルミュージック副社長を経て2014年より「株式会社ネームズ(NAMES)」に所属している。別に「雑木林進」というペンネームもある。

中平穂積さんは1936年和歌山県本宮町生まれ、1960年に日本大学芸術学部写真学科を卒業、1961年に初来日したアート・ブレイキーを撮影し、ジャズ写真家としてスタートし、新宿にジャズ喫茶「ディグ(DIG)」を開店、1962年に新宿伊勢丹で「ジャズアーチスト」写真展を開き、1963年から1973年までジャズ・カレンダーを制作した。

1966年にアメリカ「ニューポート・ジャズ祭」でジョン・コルトレーンを撮影し、以後、ニューヨーク「ニューポート・ジャズ祭」、ヨーロッパのジャズ・シーンを取材した。1967年にジャズバー「ダグ(DUG)」を新宿紀伊国屋裏に開店し、1977年に新宿靖国通りに「ニューダグ(New DUG)」を開店、1981年に「ジャズの巨人たち、1960年代(JAZZ GIANTS THE 60’S)」(講談社)を刊行した。

1982年にドイツ「メールス・ジャズ祭」で写真展、1987年に「ダグ」を移転し、1995年から店でライブを開き、1993年にコニカプラザで「ジャズの巨人たち」写真展、2000年に新宿靖国通りに「ダグ」を移転し(2000年に閉店)、2001年に新宿ミノルタ・フォトスペースで写真展、2002年に青森県南郷村「ジャズの館」で写真展、2007年から新宿ピカデリー隣の「ニューダグ」を「ダグ」として営業している。2009年に新潟、名古屋、和歌山市、東京、岐阜など計6回写真展、2010年に青森、新潟、大阪、東京で写真展を開いている。

悠雅彦さんは1937年神奈川県生まれ、早稲田大学文学部を卒業、ジャズ歌手を経てジャズ評論家になり、現在、洗足学園音大講師。「トーキン・ナップ・ジャズ」(ミュージックバード)のDJを務めている。

開場時間は11時から19時(最終日は16時)。毎週火曜日が定休。入場料は510円(税込)。トークイベントは定員30人で、参加費は2000円。