ヴァニラ画廊で森田一朗「時代の記録」展、1960年から90年まで

【銀座新聞ニュース=2018年1月5日】ヴァニラ画廊(中央区銀座8-10-7、東成ビル、03-5568-1233)は1月8日から21日まで森田一朗さんによる写真展「時代の光と闇 1960年-1990年」を開く。

ヴァニラ画廊で1月8日から21日まで開かれる森田一朗さんの写真展「時代の光と闇 1960年-1990年」に出展される作品。1968年1月17日、佐世保港への米原子力空母「エンタープライズ」入港に反対した800人の学生の1人が5823人の警察官に向かって石を投げている場面。現場で撮影した森田一朗さんは「ずぶぬれの学生が警官隊に投げる石も、散発的で権力の厚い壁はびくともしなかった」と記している。

ドキュメンタリー写真家の森田一朗(もりた・いちろう)さんが1960年から1990年までに、切り取った時代の記録の中から、およそ260点をオリジナルプリントで展示する。全共闘、サーカス、見世物、変わりゆく東京、生きる人々の面差しなど「そこには、人間の営みのダイナミズムと儚(はかな)さが共存してい」(ヴァニラ画廊)るとしている。

森田一朗さんは「1968年1月17日、佐世保に、米国の原子力空母エンタープライズが入港した。警察の警備体制は、直接、デモ規制に当る乱闘服の制服部隊4530人、情報収集に当る特科部隊1293人、合計5823人。輸送車148台、催涙弾千発、防石タテ4170、シナイ警棒40本」

「1月17日朝、佐世保に着いた三派系全学連の学生は約800人。バリケードをこわしにかかる学生たちに催涙弾が投げられ、放水された。ずぶぬれの学生が警官隊に投げる石も、散発的で権力の厚い壁はびくともしなかった。敗戦後の焼け野原のまちまちに鳴り響いたサーカス団の呼込みのトランペットの響きが、新しい時代への予感がした。変貌する、山谷・浅草・原宿の人々の生きざまに興味はつきない」としている。

森田一朗さんは1939年東京都生まれ、写真家として、サーカス、見世物、ストリップ、バイクライダー、女子プロレスなどアジアの情勢を追い続けており、現代書館から1988年から1994年まで刊行された雑誌「マージナル」の編集委員を務め、岩波書店のグラフィック・レポートなどの制作に参加している。日本写真家協会会員。1993年に「東京ストリート ドキュメンタリーで綴る都市生活者の記録」(三一書房)などを刊行している。

また、森田一朗さんは100年前のフランス・パリのポストカードや雑誌、現在のフランスのエロティックなピンクチラシなどのコレクションでも知られている。

開場時間は12時から19時(土曜日・祝日17時)で、入場料500円。会期中、無休。