17年日本商業用不動産投資、16%増の4兆円回復、海外から2倍

【銀座新聞ニュース=2018年2月19日】総合不動産サービス大手のJones Lang LaSalle(JLL、アメリカ・イリノイ州シカゴ)の日本法人、ジョーンズ ラング ラサール(JLL、千代田区永田町2-13-10、プルデンシャルタワー、03-5501-9200)はこのほど、2017年の日本の商業用不動産投資額(確定値)を発表した。

中央区銀座2-6の再開発ビル。完全に工事が中断されてしまい、工事計画を示す掲示板も取り払われている。ここには、ギョーザで知られた「天龍」が入っていたが、再開発に伴い、移転し、再開発の竣工時期は不明になっている。

JLLの投資分析レポートによると、2017年の日本の商業用不動産投資額は、前年比16%増の4兆2520億円(ドルベースで前年比13%増の380億ドル、1ドル=108.8円で換算すると、約4兆1375億円)と3年ぶりに増加した。

日本の商業用不動産投資額は2008年の「リーマンショック」前のピーク(2007年)の7兆円以降、2011年には2兆円を割るところまで落ち込んだが、2012年から増加に転じ、2014年まで3年連続で増え続け、4兆円を超えるまでに回復した。しかし、2015年から再びマイナスとなり、2016年には3兆円台まで減少し、2017年にようやく増加に転じた。

売買金額が増加した背景は、利回りが継続して低く物件価格が高値圏に留まる中、さらなる賃料上昇による劇的な価値向上が期待できない物件の売却を模索する売り手と、低い利回りでも安定した賃料収入が得られる物件を求める買い手の思惑が合致したことが挙げられる、としている。

また、海外投資家による2017年の国内不動産への投資は、1兆580億円と対前年比では約2倍に増加し、国内投資額にしめる割合は26%と2007年以降最大となった。また、2010年以降初めて海外投資家の国内不動産の購入額が売却額を上回り、金利が低位で安定している日本の不動産への積極的な姿勢がうかがえる、としている。

2018年については、日本では買い手と売り手の価格目線がより近づくことで売買が増加することから、日本の不動産投資額は2017年より5%から10%増加し、4.3兆円から4.5兆円になると予測している。

同社のリサーチ事業部アシスタントマネージャーの谷口学(たにぐち・まなぶ)さんは「大量供給を控える都心オフィスやすでに高値圏にあるリテールでは市場賃料の大幅な上昇も考えにくく、賃料上昇による物件価格の上昇も難しい物件が現れ始めました。このように今後の大幅な価格上昇の可能性が低くなる中で、過去の賃料回復・価格上昇を享受しえた物件については売り時と考えるプレイヤーが増加したことで、多数の大型物件の売買が成立し、投資総額の増加につなが」ったと分析している。