中央の百貨店2月、高島屋のみ減、銀三と松屋2ケタ増、外国客堅調

【銀座新聞ニュース=2018年3月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の2月売上高(速報値、店頭ベース)は日本橋高島屋がマイナスだったが、ほかの日本橋三越、銀座三越、大丸東京店、松屋銀座店の4店がプラスだった。

2月の売上高がプラスとなり、8カ月連続で前年を上回り、3カ月ぶりに2ケタ増となった松屋銀座店。

日本橋高島屋を除く日本橋三越、銀座三越、大丸東京店、松屋銀座店の4店がプラスになるのは4カ月連続となる。日本橋高島屋は2017年に催した店外催事の反動が響いている。

2月は「不安定な株式市場の心理的影響に加え、月初の降雪の影響もあり」(高島屋)、「寒さが続き、春物ファッションアイテムの動きは鈍かった」(三越伊勢丹ホールディングス)などマイナス要因が大きかったが、中国の「春節連休時期のずれがあり、ほとんどの商品カテゴリーで免税売上高は前年を上回った」(同)、松屋では「土・日曜日の数増(増加による影響は約0.2%増)、春節期間のずれ(前年は1月、ずれによる影響は約6%増)によるプラス要素が売り上げに大きく反映した」としている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比0.1%増(1月速報値0.6%増、確定値8.5%減の119億円、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む)と店頭ベースでは4カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同12.7%増(同速報値1.3%増、確定値1.3%増の73億円、但し空港型免税店の売り上げを除く)と11カ月続けてプラスだった。

新宿伊勢丹本店を含む首都圏の基幹3店では、大型催事の開催月がずれたことや肌寒い日が続いたことで客数は伸び悩んだが、ラグジュアリーブランドや宝飾時計などの高額品の売り上げが客単価を押し上げ、売上高も前年実績を上回ったとしている。訪日外国人観光客(免税売上高、インバウンド)においては、日本人顧客と同じような購買嗜好が見られ、ラグジュアリーブランドや化粧品の売り上げが高いシェアを占めているという。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同6.4%減(同速報値4.0%減、確定値4.1%減)と5カ月続けて前年を下回った。日本橋店は2017年に開いた店外催事の反動の影響が大きく、前年に届かなかったという。17店舗ベースの商品別では、高額品である特選衣料雑貨、宝飾品に加え、堅調な動きが続く紳士服が前年を上回ったが、一方で、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、リビング、食料品などはマイナスだった。ただ、訪日外国人観光客需要は前年に比べて14.6%増だった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同4.0%増(同速報値3.9%増、確定値4.0%増)と18カ月続けてプラスとなった。全体では、気温が平年より低く推移したことにより婦人春物ファッションの動きが鈍かったものの、帽子、手袋が活発に動いたほか、バレンタイン商戦が好調に推移し、化粧品、ラグジュアリーブランド、美術宝飾品も大きく売り上げを伸ばしたことから、大丸松坂屋百貨店合計ではプラスだった。また、訪日外国人観光客需要は前年に比べて55%増だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、1月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同213.2%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同13.1%増(同速報値1.4%増、確定値1.4%増)と8カ月続けて前年を上回った。銀座店が2ケタ増となるのは、2017年11月以来3カ月ぶり。

銀座店は、曜日廻りによる土日数増、春節期間のずれ、恒例の半期に1度のカード顧客向け特別招待会「春の松美会・感謝祭」で春物が好調に推移したという。婦人部門は気温などの影響によりキャリアの売り上げ動向がやや弱かったものの、高価格帯衣料品のゾーニングを中心にニットなどの動きがよく、衣料品全体の売上高は前年を超えた。 訪日外国人観光客需要についても化粧品と時計が引き続き好調に推移した。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内80社226店舗(総従業員7万1546人)の1月売上高(店舗調整後)は前年同月比1.2%減の5157億1417万円で、2カ月続けてマイナスとなった。1月の気候は前半が比較的好調に推移したが、後半に入って大雪や厳しい寒波などから入店客数に大きく影響を受けた。顧客別では94.5%を占める国内市場が同2.6%減だったの対し、シェアが5.5%の訪日外国人観光客需要は春節の前年とのズレ(2017年が1月28日、2018年が2月16日)がありながら、過去最高となる同31.6%増の284億円となった。

全国の百貨店の営業日数は前年同月よりも0.1日少ない30日、129店舗の回答によると、入店客は28店が増え、63店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の1月の売上高は同0.2%減の1368億4874万円と3カ月ぶりにマイナスだった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の1月の免税売上高は同31.6%増の約284億9000万円で、14カ月連続のプラス、単月としては過去最高を記録し、国内の百貨店に占めるシェアが5.5%としている。

このうち、一般物品売上高は同16.7%増の約171億円で、11カ月続けて前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同62.9%増の113億9000万円、購買客数が同27.5%増の約41.7万人と2013年2月から60カ月続けてプラスとなり、1人あたりの購買単価が同3.3%増の6万8000円で、9カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2016年12月から12月まで1位)、2位にはハイエンドブランド(12月2位、1月、2月4位、3月2位、4月4位、5月3位、6月2位、7月3位、8月から11月2位、12月3位)が再び帰り咲き、3位には婦人服飾雑貨(12月3位、1月2位、2月、3月3位、4月2位、5月2位、6月3位、7月2位、8月から11月3位、12月2位)が下がった。

4位の食品(12月4位、1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月3位、6月4位、7月から12月4位)、5位の婦人服(4月は6位以下、5月から12月5位)と4位と5位は前月と同じだった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(12月から12月まで1位)、2位に香港(12月から7月まで2位、8月3位、9月2位、10月4位、11月と12月2位)と変わらず、3位に台湾(12月から7月まで3位、8月4位、9月3位、10月3位、11月4位、12月4位)が上がり、4位に韓国(12月から7月まで4位、8月2位、9月4位、10月から12月3位)が下がった。

5位にタイ(12月6位、1月から11月まで5位、12月6位)が再び上がり、6位にシンガポール(12月5位、1月から11月まで6位、12月5位)が下がり、7位がマレーシア(12月から12月まで7位)だった。