志門で辻えりか、喜屋武貞男らタロットカード展

【銀座新聞ニュース=2018年3月14日】ギャルリー志門(中央区銀座6-13-7、新保ビル3階、03-3541-2511)は3月17日までグループ展「現代作家によるタロットカード展Part2」を開いている。

ギャルリー志門で3月17日まで開かれている「現代作家によるタロットカード展パート(Part)2」のフライヤー。

2016年に第1回目を開いてから2年を経て2回目となるタロットカード展を開いている。東京芸術大学卒業、千葉県で教諭を務め、定年後沖縄で制作している造形作家の喜屋武貞男(きやたけ・さだお)さんら13人の現代作家が描いた新しいオリジナルのタロットカード(Tarot Card)を展示している。

2016年に出品したのは、喜屋武貞男さん、影山(かげやま)あつこさん、曽根原千代美(そねはら・ちよみ)さん、高橋洋子(たかはし・ようこ)さん、辻(つじ)えりかさん、渡辺豊重(わたなべ・とよしげ)さんの6人。

今回、初出品となるのが青木園(あおき・その)さん、猪爪彦一(いのつめ・ひこいち)さん、桜井孝美(さくらい・たかよし)さん、羽鳥載白(はとり・たいはく)さん、松岡暁子(まつおか・あきこ)さん、ミレ工房(Mire Studio)、横山タケ子(よこやま・たけこ)さんの7人(組)だ。

ウイキペディアによると、タロットカードは遊戯や占い(タロット占い)などに使用されるカードのことで、78枚1組が一般的で、その内訳は1から10までの数札、4枚の人物札をスートとした4スート56枚の小アルカナ(Minor Arcana)と、寓意(ぐうい)画が描かれた22枚の大アルカナ(Major Arcana)に分けられる。日本では、小アルカナは大アルカナに比べ認知度が低く、一般語のタロットは大アルカナのみを指している場合が多い。1組のタロットカードのセットを「デッキ」という。

タロットの起源を古代エジプトや古代ユダヤに求める説もあるが、学問的な根拠はなく、発祥は不明とされている。記録上では、15世紀前半の北イタリアで制作されたのが最古で、一般的には、ゲーム用として用いられ、その遊びの中の一つとして占いに使われたと考えられている。タロット占いの記録が文献に現れるのは18世紀以降である。

現存する最古のタロットは、「ヴィスコンティ・スフォルツァ版(Visconti Sforza Tarocchi)」と呼ばれ、さまざまな博物館、図書館、世界中の個人コレクションに散らばる、約15デッキのタロットを総称したものである。この中には1484年の日付の入ったものもあるが、それよりも古いもので1442年から1447年の間に作られたと推測されているものも存在する。この「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」はデッキごとにも微妙な違いがあるが、全体的にも「マルセイユ版」とは図柄がかなり異なっている。

1442年の日付で、北イタリアのフェラーラ侯(Ferrara、イタリア共和国エミリア=ロマーニャ州にある都市)であった「エステ家(famiglia d’Este)」の帳簿の中に「トリオンフィ(Trionfi、トライアンフと同義)のカードパックを購入」とあり、その後、1452年、1454年、1461年の日付入りで「トリオンフィ」に言及しており、15世紀半ば頃にはタロットカードが一般的に存在していたことがわかる。

当時は、貴族や富豪のために画家が手描きで描いて作成していた。この頃のタロットは、まだ枚数や絵柄など、どの程度確定していたのか不明であるが、すでに大アルカナと小アルカナが合体したものであることは推察できる。その後、16世紀頃から木版画の量産品が出回るようになり、徐々に庶民、全ヨーロッパへと普及した。特にタロットゲームによるギャンブルは盛んで、風紀を乱すという理由から何度も禁止令が出されている。

フランス最古のタロットは、1557年にリヨンで作られた「ケイトリン・ジョフロイ版(Catelin Geofroy)」だが、このデッキのトランプ(大アルカナ)は図像的にみるとかなり特徴的で、のちの「マルセイユ版(Tarot de Marseille)」の元祖とはいえない。いわゆる現在の「マルセイユ版」とほぼ同じ図像、絵柄が確立したのは、1650年頃のパリで発行された「ジャン・ノブレ版(Jean Noblet)」が最初で、マルセイユ版の元祖といわれている。

最古のタロット占いの記録は、18世紀前半のタロット占いのやり方を記した手書きのシートで、この記録によれば、タロットカードにはそれぞれの意味が1枚ごとに割り振られていたが、当初はもっぱらゲームに使われていた。この頃は1789年のフランス革命前後の不安定な社会を背景に、占い師エッティラ(Etteilla、1738-1791)が活躍していた頃に重なり、タロットを神秘的なものと見る風潮が高まり、占いに多用されるようになっていく。

最初の職業タロット占い師、エッティラが新解釈のタロットを作り出し、カード占いの方法をつかって最初の体系的なタロット占い術を編み出し、1783年から1785年にかけて「タロットと呼ばれるカードのパックで楽しむ方法」を出版し、エジプト起源説によってタロットに神秘主義的な意味づけをした。

またタロット占いに初めて「逆位置(リバース)」という解読法を加え、小アルカナの4スートに、4大元素を当てはめ、初めてタロットと占星術を具体的に結びつけ、大アルカナから3枚を除いた19枚に7惑星や12星座との関連を与え「机上の占星術」という一面をもたらした。これらのタロット大革命により、エッティラは事実上、現代につながる神秘主義系タロットの開祖となった

フランスでタロット占いが盛んになると、イギリスでもレヴィ(Eliphas Levi、1810-1875)のカバラ的解釈を継承する魔術結社「黄金の夜明け団」が生まれ、この系統から後にいくつかの名作タロットが生まれた。

タロット史の第2の革命は、アーサー・エドワード・ウェイト(Arthur Edward Waite、1857-1942)の「黄金の夜明け団」の解釈を元にデザインした「ウェイト版タロット(Waite Tarot)」である。このデッキは単調な数札であった小アルカナすべてに絵柄を与えるという創作を加えた。これが多くのタロット愛好家に受け入れられ、かつてのフランスで一時期はタロットといえば「エッティラ版」をさしたように、一時期の英米ではタロットといえば「ウェイト版」をさすほどであった。

現在では、魔術系タロットのみならず、さまざまなモチーフにアイデアをとった多くのオリジナルデザインのタロットカードが創作されており、映画「007」の小道具として創作されたタロット、ヒンズー教のタントラに基づくタロット、日本風の浮世絵タロット、不思議の国のアリスのタロット、サルバドール・ダリ(Salvador Dali、1904-1989)がデザインした巨大サイズのタロットなどが存在する。

開場時間は11時から19時(最終日は17時)、入場は無料。