国際フォーラム等GWに「新世界」でクラシック400公演

【銀座新聞ニュース=2018年4月24日】クラシック専門の演奏家、マネジメント会社の株式会社KAJIMOTO(中央区銀座6-4-1、東海堂銀座ビル、03-3574-0969)、東京国際フォーラム(千代田区丸の内3-5-1、03-5221-9000)、東京都豊島区(豊島区南池袋2-45-1、03-3981-1111)、三菱地所(千代田区大手町1-1-1、大手町パークビル、03-3287-5100)で構成される「ラ・フォル・ジュルネTOKYO2018運営委員会」(03-3574-6833)は5月3日から5日の3日間、東京国際フォーラム、東京芸術劇場、池袋西口公園、南池袋公園などで「ラ・フォル・ジュルネTOKYO2018」を開く。

5月3日から5日の3日間、開かれる「ラ・フォル・ジュルネTOKYO2018」で、ヨアヒム・コンクールを優勝したバイオリン奏者のアレクサンドラ・コヌノヴァ(Alexandra Conunova)さんはベートベンのバイオリン協奏曲を演奏する。

2005年5月から東京国際フォーラムを中心に、大手町、丸の内、有楽町で開いてきた「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)・オ・ジャポン」は、今回から「ラ・フォル・ジュルネ・トウキョウ(TOKYO)」と改称し、東京芸術劇場(豊島区西池袋1-8-1、03-5391-2111)、池袋西口公園(豊島区西池袋1-8-26)、南池袋公園(豊島区南池袋2-22-1)など開催場所を増やしてクラシック演奏会を開く。

「ラ・フォル・ジュルネ」は1995年にフランスの港町ナントで生まれたクラシック音楽祭で、毎年テーマとなる作曲家やジャンルを決め、ナント市のコンベンションセンター「シテ・デ・コングレ」の9つの会場で、同時並行的に約45分間のコンサートが、朝から夜まで開かれ、コンサート数は5日間で300公演になる。

中世の地中海沿岸地域の多彩な音楽を自在に融合し、色彩豊かな音楽を奏でるアンサンブル「カンティクム・ノーヴム」。

2000年にはポルトガル・リスボン、2002年にはスペイン・ビルバオ、2005年5月から東京国際フォーラムで開かれている。2009年に石川県金沢市とブラジル・リオデジャネイロ、2010年に新潟市、滋賀県びわ湖、ポーランド・ワルシャワ、2011年に佐賀県鳥栖市(とすし)でも催されている。

2018年が14回目となり、2015年から従来の音楽家を取り上げる方式から、横断的なテーマを設定して、それに関連するクラシック曲を演奏しており、2018年は「UN MONDE NOUVEAU-モンド・ヌーヴォー新しい世界へ」がテーマで、3日間で有料、無料含めて約400公演(うち有料が178公演、うち丸の内地区125公演、池袋地区53公演)が上演される。

バイオリン奏者のアレーナ・バーエワ(Alena Mikhailovna Baeva)さんはハリウッド映画音楽の礎を築いたコルンゴルトのバイオリン協奏曲を演奏する。

アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタン(Rene Martin)さんは「いつの時代も作曲家たちは人生のある時期、母国を離れて外国」に移り住んだという。20世紀には「政治的な理由で、多くの作曲家が生まれ故郷や住み慣れた街に別れを告げ」たが、バロック時代には、作曲家たちは「異国への好奇心に突き動かされ新天地を目指し」た。「作曲家たちが自分たちのルーツから遠く離れた場所で書きあげた作品は、どれも意味深く、感動的」とし、「そこにはノスタルジーとともに、『新しい世界』と出会う欲求や希望を感じとることができる」としている。

今回、取り上げる作曲家と曲目は「全体主義体制や内戦から逃れ、新しい世界へ亡命・移住した」人として、ポーランド出身で、主にフランスで活躍したショパン(Fryderyk Franciszek Chopin、1810-1849)「ピアノ協奏曲第1番・第2番、マズルカ、バラード」、ロシア出身で、ロシア革命によりヨーロッパを経てアメリカに移ったラフマニノフ(Sergei Vasil’evich Rachmaninov、1873-1943)「ピアノ協奏曲第4番、交響的舞曲」。

ユダヤ音楽クレズマーを代表するクラリネット奏者ヨム(Yom)さんが、弦楽四重奏団と組んだ「ヨム&クアチュール・イクシィ」がジャンルを超えて異次元サウンドを披露する。

ウクライナ出身でロシア革命により日本などを経てアメリカにわたり、さらに後にソ連に帰国し、スターリン(Joseph Stalin、1878-1953)と同じ1953年3月5日に亡くなったプロコフィエフ(Sergei Sergeevich Prokofiev、1891-1953)「ピアノ協奏曲第3番、古典交響曲」。

ロシア出身で、ロシア革命により、フランスを経てアメリカに移り住んだストラヴィンスキー(Igor Fyodorovich Stravinsky、1882-1971)「弦楽のための協奏曲、兵士の物語」、オーストリア=ハンガリー帝国のブリュン(現チェコ・ブルノ)出身で、ナチス・ドイツによるオーストリア併合によってアメリカに亡命したコルンゴルト(Erich Wolfgang Korngold、1897-1957)「バイオリン協奏曲」。

オーストリア=ハンガリー帝国出身でナチス・ドイツから逃れてアメリカに移住し、この間、ユダヤ教からプロテスタントに改宗し、さらにナチスに抗議するため、ユダヤ教に再改宗したシェーンベルク(Arnold Schonberg、1874-1951)「ピアノ協奏曲」、オーストリア=ハンガリー帝国(ハンガリー王国)出身で、第2次世界大戦によりアメリカに移り住んだバルトーク(Bartok Bela Viktor Janos、1881-1945)「ピアノ協奏曲第3番、管弦楽のための協奏曲」。

スペイン出身で、英国、フランスで活動したアルベニス(Isaac Manuel Francisco Albeniz y Pascual、1860-1909)「イベリア」、スペイン出身で、幼児期に失明し、主にフランスとスペインで活動したロドリーゴ(Joaquin Rodrigo Vidre、1901-1999)「アランフェス協奏曲」。

「自らの意志で母国を離れ、新しい世界へ移住した」人として、ドイツ出身で、後に英国に帰化したバロック時代のヘンデル(George Frideric Handel、1685-1759)「合奏協奏曲第1番、シャコンヌ」、イタリア出身で、ポルトガルでマリア・マグダレーナ・バルバラ(Maria Magdalena Barbara Xavier Leonor Teresa Antonia Josefa de Braganca、1711-1758)王女(後にスペイン王フェルナンド6世= Fernando 6、1713-1759)=の王妃)に音楽を教え、その後、マリア・バルバラがスペイン王家に嫁いだため、同行する形でスペインに移り住んだバロック時代のスカルラッティ(Domenico Scarlatti、1685-1757)「ソナタ」。

オーストリア帝国(現チェコ)のプラハ近郊出身で、 英国やアメリカで活躍した後期ロマン派のドヴォルザーク(Antonin Dvorak、1841-1904)「交響曲第9番『新世界より』、チェロ協奏曲」。

「魂の深淵に新しい世界を求めた」人として、神聖ローマ帝国(9世紀から10世紀ころに成立し、1806年まで存在した、現在のドイツ、オーストリア、チェコ、イタリア北部を中心に存在した国家)ケルン大司教領(現ドイツ)出身で、20代後半から難聴になり、宮廷や有力貴族に仕えることなく、大衆に向けた作品を発表したベートーベン(Ludwig van Beethoven、1770-1827)「交響曲第3番『英雄』、ピアノ協奏曲第5番『皇帝』」。

神聖ローマ帝国ウィーン出身で、ドイツ歌曲などで功績を残したシューベルト(Franz Peter Schubert、1797-1828)「冬の旅、幻想曲」、ザクセン王国(現ドイツ)出身で、当時の最高のピアノ奏者のクララ・シューマン(Clara Schumann、1819-1896)と結婚し、作曲家として音楽評論も行い、ドイツを中心に活動したシューマン(Robert A.Schumann、1810-1856)「幻想曲」。そのほか、中世の放浪の歌や地中海沿岸地方の音楽などのワールドミュージック、ジャズ、映画音楽などを取り上げる。

期間中、東京国際フォーラムの地上広場キオスクステージの無料公演は当日に公表される。

期間中、東京国際フォーラムの地下2階ホールE(ハイネ)でも無料公演が開かれるが、参加するには有料公演のチケット、または半券が必要となる。

会期中の入場者数は約50万人(丸の内は44万人、池袋6万人)の入場を見込んでいる。

1曲あたりの演奏時間は45分で、有料公演の料金は1500円から。ほかに、期間中、無料の地上広場の演奏もある。チケットはすでに販売しており、一部は売り切れ。詳細はHPで。問い合わせは0120-086-720まで。無料公演でもチケットの半券が必要な場合もある。