丸善日本橋で富山ガラス工芸展、小暮紀一、坂田裕昭ら

【銀座新聞ニュース=2018年6月5日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は6月6日から12日まで3階ギャラリーで「とやまのガラス5人+α展」を開く。

丸善・日本橋店で6月6日から12日まで開かれる「とやまのガラス5人+α展」に出品される作品。上段左から佐野猛さんの柔らかいワイングラス、林裕子さんのとんぼ玉正絹房飾り、中段左から坂田裕昭さんのななこ文様のフリーカップ、佐野曜子さんの織パッチワーク片口、下段は小暮紀一さんのコアガラス茶入れ。

「富山ガラス作家協会」(富山県中新川郡舟橋村東芦原145-3)が後援するイベントで、小暮紀一(こぐれ・のりかず)さんら富山に工房を構える5人の作家がオブジェ、フィギュア、器、とんぼ玉、和装小物、アクセサリーなどのガラス細工の工芸品を展示する。

また、会場では、とんぼ玉や勾玉を使った装身具の仕立て実演や、購入したアクセサリーをその場で仕立て直してもらうこともできる。

出品するガラス工芸作家は工房「蜻蛉(とんぼ)玉 丙午(へいご)」(富山市古沢237-3-4A、076-427-0550)を主宰する小暮紀一さんのほか、吹きガラス作家の坂田裕昭(さかた・ひろあき)さん、「グラス・スタジオ・サノサノ(Glass Studio SANOSANO)」(富山県富山市古沢157-2、076-436-3930)を主宰する、富山ガラス作家協会の理事、佐野猛(さの・たけし)さんとその妻の佐野曜子(さの・ようこ)さん、小暮紀一さんの妻で、協会の副会長、林裕子(はやし・ひろこ)さん。

富山ガラス作家協会によると、富山市でガラス造形文化が誕生したのは1985年で、新しい文化の創出と地場産業育成の観点から、富山市がガラス芸術の振興に力を入れようと「富山市民大学ガラス工芸コース」を開講したのが始まりとしている。

富山市によると、300年以上の伝統を受け継ぐ富山の売薬に由来しており、明治、大正期にはガラスの薬瓶の製造が盛んで、富山駅を中心に溶解炉をもつガラス工場が10社以上あったといわれている。こうした多くのガラス職人が存在したことに着目して1985年に「市民大学ガラス工芸コース」を開講したのを皮切りに、「ガラスの街とやま」への取り組みがスタートした。

1989年3月に社会福祉法人富山市社会福祉協議会の「ガラス工芸共同作業所」が開設され、1991年に将来のガラス文化を担う人材育成のための学びの場として「富山ガラス造形研究所」を開校し、1994年4月に地場産業としての定着をめざして制作の場「富山ガラス工房」を開設した。

1997年4月にはガラス作家の独立を支援するための「個人工房」を開設し、富山市は「ガラスの街とやま」の実現に努め、2002年に「第1回現代ガラス大賞展・富山2002」を開き(3年ごとに開催)、2012年9月に「富山ガラス作家協会」を設立、2015年8月に鑑賞の場として「富山市ガラス美術館」を開設している。

富山ガラス作家協会は、作家がガラスアートを通じて富山の文化・産業の発展に寄与すると共に、作家同士の交流を図りながら創作環境の向上をめざしており、富山ガラス造形研究所」や「富山ガラス工房」と連携しながら、「富山のガラス文化」を日本全国及び世界へ発信している。

小暮紀一さんは1966年千葉県生まれ、1990年に武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン科を卒業、1994年に富山ガラス造形研究所造形科を卒業、トンボ玉の制作をはじめ、1995年に富山市内に工房「蜻蛉玉 丙午」を設立、2002年に林祐子さんと結婚し、2002年から2010年まで武蔵野美術大学工芸工業デザイン科の特別講師を務め、2013年にアートフェア富山2013・アートアワードで準グランプリを受賞している。

坂田裕昭さんは1973年生まれ、1994年に阿佐ヶ谷美術専門学校を卒業、1996から2002年まで赤川硬質ガラスに勤務、2004年に富山ガラス造形研究所造形科を卒業、2004年から2007年まで富山ガラス工房に勤務、2005年に朝日現代クラフト展で入選、2006年に秋田美術工芸短期大学においてワークショップを開き、2007年から2009年まで「なないろカン(KAN)ガラス工房」に勤務し、2008年に朝日町美術展で町展賞、2009年からフリーで活動、2013年に韓国陶磁財団ガラス工房においてワークショップを開いている。

佐野猛さんは1960年千葉県生まれ、1984年に法政大学を卒業、1986年に東京ガラス工芸研究所を卒業、1996年にオーストラリア国立大学キャンベラ美術学校ガラス大学院を修了、能登島ガラス工房スタッフなどを経て、1998年に富山に佐野曜子さんと「グラス・スタジオ・サノサノ」を設立、2003年に第19回伝統工芸第七部会展で文化庁長官賞、2007年に第21回伝統工芸諸工芸部会で朝日新聞社賞、国際ガラス展金沢2007で審査員特別賞、2015年にアートフェア富山2015で準グランプリ、2017年に日本クラフト展で大賞を受賞している。

佐野曜子さんは1962年東京都生まれ、1996年にオーストラリア国立大学キャンベラ美術学校ガラス大学院を修了、日産自動車情報システム部、能登島ガラス工房スタッフなどを経て、1998年にガラス工房を設立、2002年に韓国の第3回清州国際工芸ビエンナーレで銅賞、第46回日本伝統工芸富山展で高岡市長賞、2008年に第55回日本伝統工芸展でNHK会長賞などを受賞している。

林裕子さんは1963年生まれ、1995年に独学でランプワーク(とんぼ玉)をはじめ、1999年にグループ展などの作家活動をはじめ、2002年からコアガラスの制作をはじめ、2010年9月から「林裕子とんぼ玉教室」を開いている。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は17時)。