立川銀座で金春憲和ら能楽講座、辻井と国東薫が写真

【銀座新聞ニュース=2018年7月31日】ブラインド業界の最大手メーカー、立川ブラインド工業(港区三田3-1-12、03-5484-6100)の銀座ショールーム(中央区銀座8-8-15、03-3571-1373)地下1階「タチカワ銀座スペース Atte」は8月1日から7日まで「第34回能楽金春祭り 能楽講座」を開く。

立川ブラインドの銀座ショールームで8月1日から7日まで開かれる「第34回能楽金春祭り 能楽講座」の写真展に展示される辻井清一郎さんが撮影した「熊野」を演じる辻井八郎(つじい・はちろう)さん。

8月7日に銀座金春通りで開かれる「第34回能楽金春祭り」の関連イベントで、1985年に第1回能楽金春祭りが開かれて以来、2018年で34回目を迎え、2010年から能楽に関連した写真展、能楽講座を立川ブラインドの「オッテ(Atte)」で開いている。

能楽金春流シテ方(主人公)で、重要無形文化財保持者だった仙田理芳(せんだ・りほう、本名・辻井=つじい=みどり、1939-2010)の夫で、能楽写真家の辻井清一郎(つじい・せいいちろう)さんと、同じく国東薫さんによる金春流能楽の舞台写真を展示する。

辻井清一郎さんは会社員時代を含めて45年以上にわたって金春流の能楽写真を撮影しており、会社員生活の第一線を退いた20年ほど前から本格的に能楽写真の撮影に取り組んでいる。8月2日、5日、7日は金春流能楽師が展示作品を解説するなどギャラリートークを開く。

1日12時から金春流能楽師の柏崎真由子(かしわざき・まゆこ)さんによる小学生、中学生を対象とした能体験を行う。14時からシテ方で、金春流81世宗家の金春憲和(こんぱる・のりかず)さんとシテ方金春流80世宗家(前宗家)で、重要無形文化財「能楽」保持者の金春安明(こんぱる・やすあき)さんが「家元継承とは」と題して対談する。

2日12時から金春流能楽師で「金春円満井会(こんぱるえんまんいかい)」常務理事の山井綱雄(やまい・つなお)さんによるギャラリートークを開く。14時から能楽師笛方一噌流(いっそう)の藤田貴寛(ふじた・たかひろ)さんによる「笛」の楽器体験を開く。

3日12時から金春流能楽師の村岡聖美(むらおか・きよみ)さんによる小学生、中学生を対象とした能体験を行う。14時から東京国立博物館研究員で、染織研究者の小山弓弦葉(おやま・ゆづるは)さんが「能装束の歴史-金春家伝来品に見る」と題して講演する。

4日12時から金春流能楽師の中野由佳子(なかの・ゆかこ)さんによる小学生、中学生を対象とした能体験を行う。14時から金春円満井会常務理事で、重要無形文化財総合指定、金春流能楽師の本田光洋(ほんだ・みつひろ)さんが「扇」について講演する。

5日12時から金春流能楽師の本田芳樹(ほんだ・よしき)さんによるギャラリートークを開く。14時から金春円満井会理事で、重要無形文化財総合指定保持者の金春穂高(こんぱる・ほだか)さんによる「謡・仕舞」の体験会を開く。

7日12時からシテ方の金春流能楽師本田布由樹(ほんだ・ふゆき)さんによるギャラリートークを開く。

柏崎真由子さんは1980年北海道函館市生まれ、東京造形大学美術学科絵画専攻領域を卒業、能楽師となった。

金春憲和さんは1982年東京都生まれ、金春安明さんの長男、6歳で能「邯鄲」にて子方、13歳で能「経政」にて初シテ、2017年に父親の金春安明さんに代わって、金春流81世宗家に就任した。現在、金春円満井会常務理事。

金春安明さんは1952年奈良県奈良市生まれ、79世金春信高(こんぱる・のぶたか、1920-2010)の長男。1959年に興福寺での薪能(たきぎのう)「海人」子方で初舞台、1961年に「じょうじょう」で初シテ、1976年に学習院大学文学部国文科を卒業した。

1984年に「金春円満井会」を設立(1986年に社団法人化)、初代理事長に就任(現在顧問)、1991年に重要無形文化財「能楽」保持者に認定され、2006年に家元を継承し、2017年4月に家元を長男の金春憲和さんに譲った。

山井綱雄さんは1973年神奈川県横浜市生まれ、シテ方金春流能楽師の梅村平史朗(うめむら・へいしろう、1906-1979)の孫にあたり、5歳で初舞台、12歳で初シテ、以来、さまざまな能楽に出演し、1998年に金春流若手能楽師の会「座・スクエア(SQUARE)」を結成、2002年にアメリカ・ロサンゼルスで公演した。

2008年にイギリスの演劇祭「エジンバラ・フェスティバル・フリンジ」に現代演劇役者として出演、その後、現代演劇に出演したり、ほかの分野の音楽家と共演するなど、能の普及と可能性の探求に務めている。現在、社団法人「金春円満井会」理事、社団法人「能楽協会」会員。

藤田貴寛さんは1983年東京都生まれ、藤田次郎(ふじた・じろう、1952年生まれ)さんの長男で、父親と祖父で人間国宝の藤田大五郎(ふじた・だいごろう、1915-2008)に師事し、1997年に舞囃子「西王母」にて初舞台、能楽師一噌流(いっそう)笛方。

村岡聖美さんは1983年群馬県生まれ、国学院大学文学部日本文学科を卒業、2002年に山井綱雄(やまい・つなお)さんに師事し、2005年に能「羽衣」で初シテ、2011年に能楽協会に入会している。

小山弓弦葉さんは1971年大阪府生まれ、お茶の水女子大学を卒業、2011年に東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学専攻博士課程を修了、日本東洋染織史を専攻している。奈良県立美術館学芸員を経て、東京国立博物館主任研究員、現在、同博物館学芸研究部工芸室長、2016年に日本学士院学術奨励賞を受賞している。

中野由佳子さんは1981年生まれ、2008年に上野寧子(うえの・やすこ)さんに師事、2010年に富山礼子(とやま・のりこ)さんに師事し、2015年に能「清経」で初シテとしてデビューした。

本田光洋さんは1942年東京都生まれ、1947年に「三井寺」で子方にて初舞台、1948年に「初雪」で初シテ、1958年に入門免状、1965年に早稲田大学第一政治経済学部経済学科を卒業、1976年に文化庁芸術祭優秀賞、1982年に本職分免状、1987年から1991年まで能楽協会理事、1987年に重要無形文化財総合指定に認定されている。

本田芳樹さんは1977年生まれ、1980年に仕舞「老松」でデビュー、1981年に能「鞍馬天狗」稚児にて初舞台、能楽協会会員、円満井会会員。

金春穂高さんは1965年奈良県生まれ、金春栄治郎(こんぱる・えいじろう、1895-1982)の孫で、金春晃実(こんぱる・てるちか、1931-2002)の長男。神戸大学教育学部を卒業、1969年に子方で初舞台、1978年に初シテなどを経験する。重要無形文化財「能楽」保持者。

本田布由樹さんは1980年生まれ、父親の本田光洋(ほんだ・みつひろ)さんに師事し、東京芸術大学音楽学部を中退、1985年に「善知鳥」子方にて初舞台、1990年に「小鍛冶」前シテにて初シテ、1999年に「獅子」に出演、能楽協会会員、円満井会会員。
能楽講座は定員が30人で、当日、30分前から受け付ける。受講は無料だが、子ども体験に参加を希望する人は白足袋または白靴下を持参する。

開場時間は10時から18時(最終日は17時)で、月曜日が休み。入場、参加は無料。