中央の百貨店7月、銀座三越以外減、天候影響で

【銀座新聞ニュース=2018年8月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の7月売上高(速報値、店頭ベース)は銀座三越を除いて、日本橋高島屋、日本橋三越、松屋銀座店、大丸東京店の4店がマイナスだった。

7月の売上高で23カ月ぶりに前年を下回った大丸東京店。

とくに、好調に推移してきた大丸東京店が23カ月ぶりに前年を下回った。7月はクリアランスセールの1日前倒しの影響が大きく、豪雨・台風などの天候影響もあり、高額品や訪日外国人観光客(免税売上高、インバウンド)需要が好調だったものの、銀座三越を除いて、4店舗ともマイナスだった。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比9.5%減(6月速報値3.4%増、確定値1.1%減の144億円、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む)と店頭ベースでは2カ月ぶりに前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同1.6%増(同速報値17.3%増、確定値17.3%増の77億円、但し空港型免税店の売り上げを除く)と16カ月続けてプラスだった。

新宿伊勢丹本店を含む首都圏の基幹3店では、クリアランスセールの前倒し影響が大きく、また、猛暑の影響もあり、傘やサングラス、子どものTシャツなどUV関連アイテムについて前年実績を上回った。訪日外国人観光客売り上げは好調に推移し、訪日客の増加に伴い、来店客数も増え、引き続き好調で高額品への関心度も高いとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同10.9%減(同速報値0.0%増、確定値0.1%減)と2カ月続けて前年を下回った。日本橋店は店内改装の影響などにより前年比マイナスが続いている。

6月末からのクリアランスセールが2017年より1日早くスタートした影響に加え、豪雨・台風などの天候影響もあり、前年を下回った。ただ、訪日外国人観光客売上高は前年比19.5%増だった。17店舗ベースの商品別では、化粧品が引き続き好調な婦人雑貨、高額品の宝飾品、呉服、美術が前年比プラスとなった。中元商戦は、オンラインの伸びもあり、好調に推移したという。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同1.5%減(同速報値5.0%増、確定値5.3%増)と23カ月ぶりにマイナスとなった。

全体では、訪日外国人観光客を含め化粧品、ラグジュアリーブランド、高級時計が引き続き好調だったものの、前年に比べクリアランスセールの立ち上がり期間が土曜日が1日少ないことに加え、関西地方を中心とする上旬の豪雨や、首都圏から九州地方の広範囲に及ぶ下旬の台風の影響などにより、百貨店事業ではマイナスとなった。訪日外国人観光客需要(速報値)は、同13%増(客数同27%増、客単価同11%減)だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、6月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同23.7%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同1.6%減(同速報値19.7%増、確定値19.7%増)と13カ月ぶりに前年を下回った。銀座店は、1)クリアランスセール開始日のズレ、2)土曜日の1日減(1.9%減の影響)、3)下旬週末の台風(0.9%減の影響)、4)前年の大口計上の売り上げ差異(ラグジュアリーブランドの限定コラボ商品の売上で4.4%減の影響)などの諸条件が要因となり、マイナスとなった。

ただ、サングラスを筆頭とした盛夏好適商材が好調で、文化催事「羽海野チカの世界展」の賑わいもあり、店全体は活況を呈したとしている(入店客数は前年比1.5%増)。訪日外国人観光客の売上高については、化粧品が全体を牽引し、引き続き好調に推移した(外国人観光客の売上高が店全体に占める割合は、約4分の1程度)。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内80社220店舗(総従業員7万0051人)の6月売上高(店舗調整後)は前年同月比3.1%増の4869億9680万円で、2カ月ぶりにプラスとなった。

6月は大阪北部地震で一部店舗の営業時間減少など若干の影響があったが、下旬にスタートしたクリアランスセールの前倒し効果や気温上昇による季節需要の高まり、土曜日1日増などのプラスが重なり、商況を好転させたと分析している。その結果、主力の衣料品が7カ月ぶりに前年実績を上回り、高額消費やシェア5.8%を占める訪日外国人観光客(免税売上高、インバウンド)需要も引き続き好調で、中期トレンドを示す3カ月移動平均値もプラスに転換したという。

顧客別では、訪日外国人観光客需要(シェア5.8%)が同52.5%増の約281億円と好調を維持しているが、その一方で、国内市場(シェア94.2%)は低調だったもののプラスに転じている。

全国の百貨店の営業日数は前年同月より0.1日少ない29.8日、120店舗の回答によると、入店客は49店が増え、38店が減ったとし、うち89店舗の回答によると6月のお中元、父の日の売り上げについては10店が増え、29店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の6月の売上高は同6.9%増の1406億8657万円と5カ月続けてプラスだった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の6月の免税売上高は同52.5%増の約281億5000万円で、19カ月連続のプラス、国内の百貨店に占めるシェアが5.8%としている。

このうち、一般物品売上高は同43.8%増の約151億円で、16カ月続けて前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同64.1%増の130億2000万円、購買客数が同51.5%増の約46.3万人と2013年2月から65カ月続けてプラスとなり、1人あたりの購買単価が同0.7%増の6万1000円で、2カ月ぶりに前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2017年1月から2018年4月まで1位)、2位にはハイエンドブランド(2017年1月と2月4位、3月2位、4月4位、5月3位、6月2位、7月3位、8月から11月2位、12月3位、2018年1月から5月2位)、3位に食品(2017年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月3位、6月4位、7月から12月4位、2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位)が上がった。

4位に婦人服飾雑貨(2017年1月2位、2月と3月3位、4月と5月2位、6月3位、7月2位、8月から11月3位、12月2位、2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位)が3位から下がった。5位に子ども服・洋品がランキングし、5月に5位だった婦人服(4月は6位以下、5月から2018年2月まで5位、3月4位、4月4位、5月5位)が6位以下に下がった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2017年1月から5月まで1位)、2位が韓国(2017年1月から7月まで4位、8月2位、9月4位、10月から12月3位、2018年1月4位、2月から5月2位)、3位に香港(2017年1月から7月まで2位、8月3位、9月2位、10月4位、11月から2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月3位)とトップ3は5月と同じだった。

4位に台湾(2017年1月から7月まで3位、8月4位、9月3位、10月3位、11月4位、12月4位、2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月4位)、5位にタイ(1月から11月まで5位、12月6位、2018年1月から5月5位)、6位にシンガポール(2017年1月から11月まで6位、12月5位、2018年1月から5月6位)、7位がマレーシア(2017年1月から5月まで7位)と5月と同じ順位だった。