丸善日本橋で備前焼伊勢崎淳らと子孫、柴岡紘一らも

【銀座新聞ニュース=2018年9月24日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は9月26日から10月2日まで3階ギャラリー特設会場で「第2回丸善備前焼展-伊勢崎一門の世界」を開く。

丸善・日本橋店で9月26日から10月2日まで開かれる「第2回丸善備前焼展-伊勢崎一門の世界」。

1000年の歴史をもつ備前焼(びぜんやき)の陶芸家で、岡山県重要無形文化財保持者に認定された伊勢崎陽山(いせさき・ようざん、1902-1961)、その長男で岡山県重要無形文化財に認定された伊勢崎満(いせざき・みつる、1934-2011)、次男で伊勢崎満の弟となる陶芸家で、2004年に国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された伊勢崎淳(いせざき・じゅん、1936年生まれ)さんらの伊勢崎一門21人の作品、花器、茶道具や掛け軸などを中心に展示販売する。

また、2017年4月28日に備前焼は越前焼、瀬戸焼、常滑焼、信楽焼、丹羽立杭焼とともに、正式に日本六古窯が「きっと恋する六古窯-日本生まれ日本育ちのやきもの産地」として「日本遺産」に認定されている。

今回、出品するのは、伊勢崎陽山、満、淳さんのほか、満の4人の子息、卓(たく、1963年生まれ)さん、紳(しん、1965年生まれ)さん、創(そう、1969年生まれ)さん、競(きょう、1970年生まれ)さんと淳さんの長男、晃一朗(こういちろう、1974年生まれ)さん、紳さんの長男、陽太郎(ようたろう、1995年生まれ)さん、競さんの長男、州(しゅう)さん、紳さんの次男、寛太郎(かんたろう、1998年生まれ)さん。

伊勢崎一門では柴岡紘一(しばおか・こういち、1941年生まれ)さん、隠崎隆一(かくれざき・りゅういち、1950年生まれ)さん、島村光(しまむら・ひかる、1942年生まれ)さん、山下譲治(やました・じょうじ、1947年生まれ)さん、その子息の山下有仁(やました・ゆうじん、1978年生まれ)さん、滝川卓馬(たきがわ・たくま、1977年生まれ)さん、金光教悟(かねみつ・きょうご、1981年生まれ)さんら21人が出展する。

ウイキペディアによると、備前焼は岡山県備前市周辺を産地とする陶器で、瀬戸焼(愛知県瀬戸市)、常滑焼(愛知県常滑市)、越前焼(福井県丹生郡越前町)、信楽焼(滋賀県甲賀市)、丹波立杭焼(兵庫県篠山市今田町立杭)と並んで「六古窯(ろっこよう)」のひとつに数えられる。2017年4月29日に備前焼は越前焼、瀬戸焼、常滑焼、信楽焼、丹羽立杭焼とともに、正式に日本六古窯として「日本遺産」(2015年度に創設)に認定された。

備前市伊部地区で盛んであることから「伊部焼(いんべやき)」という呼び方もある。平安時代に作られた須恵器(すえき、古墳時代から平安時代まで生産された陶質土器のこと)から発展し、鎌倉時代初期には還元焔焼成(かんげんえんしょうせい、炭素が多く酸素の欠乏した不完全燃焼の火焔で焼成すること)による焼き締め陶が焼かれる。

鎌倉時代後期には酸化焔焼成(さんかえんしょうせい、窯内に多く酸素を供給し、完全燃焼の火焔で焼成すること)による現在の茶褐色の陶器が焼かれる。当時は水瓶やすり鉢など実用本位のものが多く、「落としても壊れない」といわれ、当時の作品は「古備前」と呼ばれて珍重されている。

室町時代から桃山時代にかけて茶道の発展とともに茶陶として人気が高まるが、江戸時代には茶道の衰退とともに、安価で大量生産が可能な磁器も出てきて衰え、備前焼は再び水瓶やすり鉢、酒徳利など実用品の生産に戻っている。

明治、大正期に入ってもその傾向は変わらなかったが、昭和に入り、金重陶陽らが桃山陶への回帰をはかり芸術性を高めて人気を復興させる。金重陶陽(かねしげ・とうよう、1896-1967)が国の重要無形文化財「備前焼」の保持者(人間国宝)に認定され、弟子達の中からも人間国宝を輩出し、備前焼の人気は不動のものとなった。

ゆう薬を使わず「酸化焔焼成」によって堅く締められた赤みの強い味わいや、「窯変」によって生み出されるため、同じ模様にはならないのが特徴とされている。現在は茶器、酒器、皿などが主に生産されている。

会期中、「ボンサイ(Bonsai)屋粋ーiki」主宰の小林晶(こばやし・あきら)さんが伊勢崎一門の鉢を使った盆栽を販売する。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日15時)まで。入場は無料。今回は会場で作品を購入すると、キリンビールの岡山工場で作られた「キリン一番搾り」をプレゼントする。丸善では「備前焼のビールマグでいただくビールは、細やかな泡が立ち、ひじょうにおいしいといわれている」としている。

注:「伊勢崎」の「崎」は正しくは右側のつくりの「大」は「立」です。

注:「滝川卓馬」の「滝」は正しくは旧漢字です。名詞は原則として現代漢字(常用漢字)を使用しています。