丸善丸の内で山下純一郎「和紙装飾絵画」展

【銀座新聞ニュース=2018年11月4日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ、03-5288-8881)は11月7日から13日まで4階ギャラリーで山下純一郎さんによる作品展「平安の継紙を今に」を開く。

丸善・丸の内本店で11月7日から13日まで開かれる山下純一郎さんによる作品展「平安の継ぎ紙を今に」に出品される作品4

和紙装飾絵画を描く山下純一郎(やました・じゅんいちろう)さんが和紙の持つ柔らかな色、温かな色、含みのある色や紙質の厚薄、透けなどの違いを使い分け、熟練の技術を駆使して手作りされた「継ぎ紙(つぎがみ)」の作品を展示する。

「王朝継ぎ紙の世界」によると、「継ぎ紙」とは平安時代に作られた和紙工芸の一種で、和紙をさまざまな色に染め、文様をきら刷りするなどしてさまざまな種類の紙を用意し、これを直線的に切り継いだり、自由な線で破り継ぎし、あるいは、少しずつ色の段階の付いた紙を重ねるなどし、その上に金銀の砂子や切箔を施したり、文様を描き加えると、華やかで滋味のある繊細な料紙ができあがる。

当時の継ぎ紙の作品としては、唯一「西本願寺三十六人家集」が残っており、世界にも類まれな芸術品として「平安の美とは何か」を教えてくれている。

「西本願寺三十六人家集」は1112(天永3)年3月に妃(女御)の1人、藤原道子(ふじわらの・みちこ、1042-1132)が白河上皇(しらかわ・じょうこう、1053-1129、1086年に皇太子=堀河天皇(ほりかわ・てんのう、1079-1107)=に譲位し、天皇から上皇となる)の60の賀の祝いに献上したといわれている。36人の歌人たちの個人歌集で、文字の筆者としては20人ぐらいの筆が入っている。西本願寺に伝わるこの「三十六人家集」は、全体39帖の内、32帖が制作当初の作と考えられ、他の7帖は後世のものであり、鎌倉時代と江戸時代寛文期に補われた。

ウイキペディアによると、このうち、伊勢集と貫之集下は1929年に冊子の形を解体して一葉ずつの断簡に分割された。これは宗教女子大学(現武蔵野大学)設立の資金に当てるために、浄土真宗本願寺派第22世法主、大谷光瑞(おおたに・こうずい、1876-1948)が実行した。両帖合わせて300数十頁あるものを32組に分け、1組約10枚2万円で売却された。現在は掛軸などに改装されて各地の美術館や収集家に分蔵されており、1931年に国宝に指定されている。

山下純一郎さんは1947年埼玉県生まれ、1962年に「有限会社ヤマデザインルーム」を設立、1978年に銀座・ゆふきや画廊で作品展を開き、1984年に写真家の秋山庄太郎(あきやま・しょうたろう、1920-2003)の着物をデザインし、1984年に9代目松本幸四郎(まつも・こうしろう、現2代目松本白鸚=まつもと・はくおう)さんの着物の花吹雪をデザインしている。

1989年に紙彩流墨展、1990年に松屋銀座店で創作きもの展、アメリカ・ロサンゼルスの日米文化会館で紙彩流墨展、ジュデイオングさんのブランド着物をデザイン、1992年2松屋銀座店で個展、1996年に東京ドームの世界らん展美術工芸部門に出品し(2012年にも出品)、2004年に神奈川県藤野町の山里に「工房紙の匠」を開いている。

2005年に「彩」汐留店に和紙による壁面と紙彩石を設置し、2006年に和紙継ぎ紙による紙彩流「ひな屏風」を発表、2013年にモナコの日本芸術祭2013に出品、2014年にフランス・パリのマドレーヌ寺院の「祈りの美術展」に出品し、東京・三番町倶楽部で作家活動40周年記念展を開いている。

開場時間は9時から21時(最終日は16時)まで。