中央の百貨店10月、全店ともプラス、外国人需要は斑模様

【銀座新聞ニュース=2018年11月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の10月売上高(速報値、店頭ベース)は日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の全5店がプラスだった。全5店がいずれもプラスになるのは、6月以来、4カ月ぶり。

10月の売上高で5カ月ぶりに前年を上回った日本橋高島屋。

10月は前年よりも日曜日が1日少なく、「その影響度合いは約1.2%減」(松屋銀座店)とあったものの、全体では「国内消費が好調に推移」(高島屋)し、「月の平均気温が高かったこともあり、秋物衣料品が動きをみせ」(三越伊勢丹ホールディングス)たとしている。また、訪日外国人観光客需要(免税売上高、インバウンド)は松屋銀座店が前年並み(マイナス)となるなど、店舗によってまだら模様になってきた。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比10.6%増(9月速報値1.7%減、確定値8.3%減の99億円、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む)と店頭ベースでは4カ月ぶりに前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同2.2%増(同速報値0.5%減、確定値0.5%減の67億円、但し空港型免税店の売り上げを除く)と2カ月ぶりにプラスだった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、日本人、訪日外国人観光客需要(免税売上高、インバウンド)ともに堅調なラグジュアリーブランドの雑貨や衣料品、化粧品が売り上げを牽引し、首都圏の三越伊勢丹の既存店売り上げは前年実績を上回った。

新宿伊勢丹店、日本橋三越、銀座三越の基幹店では好調なラグジュアリーブランドに加え、月の平均気温が高かったこともあり、ジャケットやワンピース、スカートなどの秋物衣料品が動きをみせ、売り上げを押し上げた。また、10月24日に再開発第1期グランドオープンをした日本橋三越は好調に推移した。また、一部店舗では鈍化がみえるものの、全体の訪日外国人観光客需要は引き続き堅調に推移し、日本人客と同様に、ラグジュアリーブランド、化粧品への関心が高いとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同1.5%増(同速報値7.5%減、確定値7.5%減)と5カ月ぶりに前年を上回った。日本橋店は、日本橋高島屋S.C.の開業効果により、売り上げを伸ばした。また、9月からレストラン街の運営を東神開発に移管したため、百貨店としての売場面積が縮小している。このため、レストラン街を除いた調整後の実質では3.9%増としている。

国内消費が好調に推移し、訪日外国人観光客需要も9月のマイナスから10月には回復し、前年を3.0%増となった。17店舗ベースの商品別では、特選衣料雑貨、宝飾品、食料品が大きく売り上げを伸ばし、婦人雑貨、スポーツ、リビングがプラスとなった。その一方で、紳士服、紳士雑貨、婦人服、子ども服、ホビーなどは前年に届かなかった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同0.5%増(同速報値4.8%増、確定4.7%増)と26カ月連続でプラスとなった。

全体では、訪日外国人観光客需要を含め、化粧品、ラグジュアリーブランドが好調に推移し、秋物衣料が堅調に動き、菓子や惣菜も伸びたとしている。大丸松坂屋百貨店の訪日外国人観光客需要(速報値)は16%増(客数同31%増、客単価同12%減)だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、9月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同22.3%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同4.4%増(同速報値2.0%増、確定値2.0%増)と3カ月続けて前年を上回った。

銀座店は、キャリアゾーンの婦人衣料品が秋物の主力アイテムとなるニットやジャケットなどの不調があり、売り上げが伸び悩んだが、素材や製法などに特化した高価格帯やラグジュアリーゾーンでのコートなどのアイテムが好調に推移し、婦人衣料品全体では前年を上回った。

その一方で、訪日外国人観光客需要については、化粧品に代表される自家需要商材に買い上げ動向が大きくシフトし、全体を牽引したものの、売上高はほぼ前年並み(同0.9%減、客数は同0.6%増)にとどまったとしている。

訪日外国人観光客需要を除いた、国内客の需要については、8月末にリニューアルした和洋菓子売場が好調に推移し、話題性のある文化催事の開催など加え、入店客数(前年比4%増)は前年を越え、売上高も同5.8%増となった。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内79社219店舗(総従業員6万8327人)の9月売上高(店舗調整後)は前年同月比3.0%減の4197億円で、3カ月続けてマイナスとなった。

9月は2度の台風上陸や北海道胆振東部地震などのたび重なる自然災害により、多くの店舗で休業や営業時間の短縮などが響き、マイナスだった。94.1%を占める国内市場はマイナスだったが、5.9%の訪日外国人観光客需要(免税売上高、インバウンド)では大阪が台風による関西空港の一時閉鎖の影響を受けたものの、名古屋や福岡などの他地区が補う形で、プラスだった。

全国の百貨店の営業日数は前年同月より0.5日少ない29.3日、120店舗の回答によると、入店客は26店が増え、57店が減ったとし、うち83店舗の回答によると9月の歳時記の売り上げについては8店が増え、28店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の9月の売上高は同0.3%増の1188億3517万円と2カ月続けてプラスだった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の9月の免税売上高は同6.3%増の約246億5000万円で、22カ月連続のプラス、国内の百貨店に占めるシェアが6.3%としている。

このうち、一般物品売上高は同0.9%減の約122億7000万円で、19カ月ぶりに前年を下回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同14.6%増の123億8000万円、購買客数が同18.1%増の約40.6万人と2013年2月から68カ月続けてプラスとなり、1人あたりの購買単価が同10.0%減の6万1000円で、3カ月続けて前年を下回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2017年1月から2018年8月まで1位)、2位にはハイエンドブランド(2017年1月と2月4位、3月2位、4月4位、5月3位、6月2位、7月3位、8月から11月2位、12月3位、2018年1月から8月2位)、3位に食品(2017年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月3位、6月4位、7月から12月4位、2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から8月3位)と前月と同じだった。

4位に婦人服飾雑貨(2017年1月2位、2月と3月3位、4月と5月2位、6月3位、7月2位、8月から11月3位、12月2位、2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から8月4位)、5位に婦人服・用品(2017年4月は6位以下、5月から2018年2月まで5位、3月4位、4月4位、5月5位、6月6位、7月と8月5位)と前月と同じだった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2017年1月から8月まで1位)、2位が韓国(2017年1月から7月まで4位、8月2位、9月4位、10月から12月3位、2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月2位)、3位に香港(2017年1月から7月まで2位、8月3位、9月2位、10月4位、11月から2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月3位)と前月と同じだった。

4位に台湾(2017年1月から7月まで3位、8月4位、9月3位、10月3位、11月4位、12月4位、2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から8月4位)、5位にタイ(1月から11月まで5位、12月6位、2018年1月から8月5位)、6位にシンガポール(2017年1月から11月まで6位、12月5位、2018年1月から8月6位)、7位がマレーシア(2017年1月から2018年8月まで7位)だった。