中央の百貨店11月、大丸、松屋、銀三はプラス、日本橋2店減

【銀座新聞ニュース=2018年12月4日】中央区とその周辺の主要百貨店の11月売上高(速報値、店頭ベース)は、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の3店がプラスだったが、日本橋三越、日本橋高島屋店の2店はマイナスだった。

11月の売上高で2カ月ぶりにプラスとなった銀座三越。

11月は2017年11月に比べて休日が1日少なかったものの、「全国的に気温が高かったことでコートを中心に冬物婦人衣料品の動きが鈍かった」(三越伊勢丹ホールディングス)という。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比0.3%減(10月速報値10.6%増、確定値2.6%増の115億円、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む)と店頭ベースでは2カ月ぶりに前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同0.7%増(同速報値2.2%増、確定値2.2%増の74億円、但し空港型免税店の売り上げを除く)と2カ月続けてプラスだった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、冬物婦人衣料品の動きが鈍かったものの、ラグジュアリーブランドや化粧品が売り上げを牽引し、とくに新宿伊勢丹店、日本橋三越、銀座三越の基幹店はラグジュアリーブランドやアクセサリー、化粧品が伸長し前年実績を上回ったとしている。

第1期再開発を行った三越日本橋本店は2017年に営業終了した三越千葉店関連の特殊与件に伴い、前年実績を下回るが、特殊与件を除いた店頭売り上げはコンシェルジュサービスによる客単価上昇もあり、堅調に推移したとしている。訪日外国人の増加に伴う客数増加によって訪日外国人観光客需要(免税売上高、インバウンド)売り上げは堅調に推移した。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同3.7%減(同速報値1.5%増、確定値1.7%増)と2カ月ぶりに前年を下回った。

日本橋店は、日本橋高島屋S.C.の開業効果により、売り上げを伸ばした。また、9月からレストラン街の運営を東神開発に移管したため、百貨店としての売場面積が縮小している。

国内消費が好調に推移し、訪日外国人観光客需要も前年比8.5%増となった。17店舗ベースの商品別では、特選衣料雑貨が大きく売り上げを伸ばしたほか、婦人雑貨、宝飾品、食料品などが前年比プラスとなったが、一方で、紳士服、紳士雑貨、婦人服、子ども服ホビー、リビングなどは前年に下回った。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同5.0%増(同速報値0.5%増、確定0.5%増)と27カ月連続でプラスとなった。

全体では、訪日外国人観光客需要を含め、化粧品、ラグジュアリーブランド、高級時計が好調を持続するとともに、食品では菓子が伸びたとしている。大丸松坂屋百貨店の訪日外国人観光客需要(速報値)は同17%増(客数同27%増、客単価同8%減)だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、10月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同19.8%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同6.0%増(同速報値4.4%増、確定値4.4%増)と4カ月続けて前年を上回った。

銀座店は、婦人衣料品において、平年より高い気温の影響もあり、ニット・ブラウスなどの軽衣料は好調も、防寒衣料最盛期におけるコート、ジャケットの売り上げが鈍く、婦人衣料品全体の売上高はわずかに前年を下回った。食品は、9月にリニューアルオープンした和洋菓子に加え、和洋酒が堅調に売上を伸ばし、歳暮ギフト商戦も好調に推移した。

その一方で、訪日外国人観光客需要については、化粧品が前年に対して2桁増となるなど全体を強く牽引した。また、訪日外国人観光客需要を除いた国内客の売り上げも、各種販売促進策が奏功し、4.5%の伸びを示した。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内79社219店舗(総従業員6万8327人)の10月売上高(店舗調整後)は前年同月比1.6%増の4717億5691万円で、4カ月ぶりにプラスとなった。

10月は前年に比べ日曜日が1日減というマイナス要因があったが、気温の低下に伴い、秋冬商材が活発に動いたり、改装効果や各社が展開した物産展などの食品催事の人気施策もあり、盛況で集客に寄与したとしている。顧客別では、国内市場(シェア93.7%が1.3%増)が4カ月ぶりのプラスとなり、訪日外国人観光客需要(シェア6.3%)も298億円(6.5%増、23カ月連続)と過去2番目(過去最高は2018年年4月の316億円)を記録し、10月までの累計で2817億円と、2カ月残す中で、前年の年間実績(2704億円)を上回った。

全国の百貨店の営業日数は前年同月と同じ30.9日、125店舗の回答によると、入店客は46店が増え、45店が減ったとし、うち83店舗の回答によると10月の歳時記の売り上げについては6店が増え、16店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の10月の売上高は同2.6%増の1293億9793万円と3カ月続けてプラスだった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の10月の免税売上高は同6.5%増の約298億5000万円で、23カ月連続のプラス、国内の百貨店に占めるシェアが6.3%としている。

このうち、一般物品売上高は同4.4%減の約158億5000万円で、2カ月続けて前年を下回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同22.2%増の140億円、購買客数が同18.6%増の約46.8万人と2013年2月から69カ月続けてプラスとなり、1人あたりの購買単価が同10.3%減の6万4000円で、4カ月続けて前年を下回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2017年1月から2018年9月まで1位)、2位にはハイエンドブランド(2017年1月と2月4位、3月2位、4月4位、5月3位、6月2位、7月3位、8月から11月2位、12月3位、2018年1月から9月2位)、3位に食品(2017年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月3位、6月4位、7月から12月4位、2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から9月3位)と前月と同じだった。

4位に婦人服飾雑貨(2017年1月2位、2月と3月3位、4月と5月2位、6月3位、7月2位、8月から11月3位、12月2位、2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から9月4位)、5位に婦人服・用品(2017年4月は6位以下、5月から2018年2月まで5位、3月4位、4月4位、5月5位、6月6位、7月から9月5位)と前月と同じだった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2017年1月から9月まで1位)、2位が韓国(2017年1月から7月まで4位、8月2位、9月4位、10月から12月3位、2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月と9月2位)、3位に香港(2017年1月から7月まで2位、8月3位、9月2位、10月4位、11月から2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と9月3位)と前月と同じだった。

4位に台湾(2017年1月から7月まで3位、8月4位、9月3位、10月3位、11月4位、12月4位、2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から9月4位)、5位にタイ(1月から11月まで5位、12月6位、2018年1月から9月5位)、6位にシンガポール(2017年1月から11月まで6位、12月5位、2018年1月から9月6位)、7位がマレーシア(2017年1月から2018年9月まで7位)だった。