中央の百貨店12月、大丸、松屋プラス、ほか3店減、冬物苦戦

【銀座新聞ニュース=2019年1月4日】中央区とその周辺の主要百貨店の2018年12月売上高(速報値、店頭ベース)は、大丸東京店、松屋銀座店の2店がプラスだったが、銀座三越、日本橋三越、日本橋高島屋店の3店はマイナスだった。

12月の売上高で5カ月続けてプラスとなった松屋銀座店。

12月は「例年と比較して前半の気温が高く、主力の冬物アイテムが軒並み苦戦」(三越伊勢丹ホールディングス)したり、「前年に比べて気温が高くコート、マフラー、手袋などの防寒衣料・雑貨が苦戦したものの、前年比休日1日増」(J.フロントリテーリング)もあって、「訪日外国人観光客売上高(免税売上高、インバウンド)を含め化粧品、高級時計、ラグジュアリーブランドが好調」としている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比4.7%減(11月速報値0.3%減、確定値5.4%減の156億円、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む)と店頭ベースでは2カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同0.2%減(同速報値0.7%増、確定値0.7%増の77億円、但し空港型免税店の売り上げを除く)と3カ月ぶりにマイナスだった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、気温が例年並みに下がった後半から月末にかけて、基幹店ではコートが2ケタ増と伸長したが、1月にセールを控えていることから一部で買い控えも見られたという。基幹店や大都市圏を中心にラグジュアリーブランドは好調を維持し、衣料品、雑貨ともに伸長した。

訪日外国人観光客売上高(免税売上高、インバウンド)は一部店舗では鈍化がみえるものの、全体では堅調に推移し、ラグジュアリーブランドの衣料品や雑貨、化粧品への関心が引き続き高いとしている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同2.2%減(同速報値3.7%減、確定値3.8%減)と2カ月続けて前年を下回った。

ラグジュアリーブランドを中心とした高額品売り上げと訪日外国人観光客売上高が伸長したことなどにより、全店では2カ月ぶりに前年を上回った。訪日外国人観光客売上高は前年比6.5%増だった。

日本橋店は、日本橋高島屋S.C.の開業効果もあるが、2018年9月からレストラン街の運営を東神開発に移管したため、百貨店としての売場面積が縮小しており、それらを調整した実質では、0.4%減にとどまったとしている。

17店舗ベースの商品別では、特選衣料雑貨が大きく売り上げを伸ばしたほか、紳士服、宝飾品、スポーツ用品などが前年比プラスとなったが、その一方で、紳士雑貨、婦人服、子供服ホビー、リビングなどはマイナスだった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同3.6%増(同速報値5.0%増、確定5.2%増)と28カ月連続でプラスとなった。

全体では、大丸松坂屋百貨店合計は3カ月連続で前年実績を上回り、訪日外国人観光客売上高は全店で前年比13%増(客数同19%増、客単価同5%減)だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、11月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同10.7%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同2.4%増(同速報値6.0%増、確定値6.0%増)と5カ月続けて前年を上回った。

銀座店は、気温が引き締まったことにより、コート、ニットなどの防寒衣料が好調に推移し、婦人衣料全体の売上高は前年を上回った。また、訪日外国人観光客売上高については、引き続き化粧品や海外ブランドなどのラグジュアリーゾーンが堅調に推移するも、時計において前年の売り上げとの差異があり、全体の売上高はほぼ前年並みだった。

一方、訪日外国人観光客売上高を除いた国内の売り上げは、各種施策などが奏功して、前年を上回った。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内79社219店舗(総従業員6万301人)の11月売上高(店舗調整後)は前年同月比0.6%減の5304億1910万円で、2カ月ぶりにマイナスとなった。

11月は高額品や訪日外国人観光客需要は好調だったものの、気温が高めに推移し、コートを中心とした重衣料など冬物商材の動きが鈍く、土曜日が1日減などのマイナス要因も響いたとしている。

顧客別では、国内市場(シェア94.8%、同1.1%減)はマイナスだったが、訪日外国人観光客需要は277億円(シェア5.2%、同9.6%増)と24カ月連続でプラスとなっており、1月から11月の累計で初めて3000億円を超え(3094億円、同27.8%増)、年間としては過去最高を記録した。

商品別では、雑貨が同5.4%増と24カ月連続プラス、国内外ともに人気の化粧品や高級腕時計を含む高額商材(美術、宝飾、貴金属)が牽引した。身のまわり品(同4.2%増)もラグジュアリーブランドを中心に動きがよく、2カ月連続のプラスとなった。衣料品(同4.5%減)は、天候からニットやカットソーなど軽衣料が動いたものの、重衣料や防寒アイテムが苦戦した。

食料品は同0.1%減とほぼ前年並みだが、鍋関連商材の不調により、生鮮食品などがマイナスだった。菓子類は同1.8%増と2カ月連続でプラスとなり、歳暮商戦前半戦については、特にWEB(インターンット)受注が伸長しており、堅調に推移しているとしている。

全国の百貨店の営業日数は前年同月と同じ29.9日、122店舗の回答によると、入店客は28店が増え、48店が減ったとし、うち85店舗の回答によると11月の歳時記の売り上げについては6店が増え、37店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の11月の売上高は同0.2%増の1498億4891万円と4カ月続けてプラスだった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の11月の免税売上高は同9.6%増の約277億円で、24カ月連続のプラス、国内の百貨店に占めるシェアが5.2%としている。また、1月から11月までの累計では前年同期比27.8%増の3094億3000万円と初めて3000億円を突破した。

このうち、一般物品売上高は同1.2%増の約145億3000万円で、3カ月ぶりに前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同20.7%増の131億7000万円、購買客数が同18.4%増の約43.3万人と2013年2月から70カ月続けてプラスとなり、1人あたりの購買単価が同7.4%減の6万4000円で、5カ月続けて前年を下回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2017年1月から2018年10月まで1位)、2位にはハイエンドブランド(2017年1月と2月4位、3月2位、4月4位、5月3位、6月2位、7月3位、8月から11月2位、12月3位、2018年1月から10月2位)、3位に食品(2017年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月3位、6月4位、7月から12月4位、2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から10月3位)と前月と同じだった。

4位に婦人服飾雑貨(2017年1月2位、2月と3月3位、4月と5月2位、6月3位、7月2位、8月から11月3位、12月2位、2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から10月4位)、5位に婦人服・用品(2017年4月は6位以下、5月から2018年2月まで5位、3月4位、4月4位、5月5位、6月6位、7月から10月5位)と前月と同じだった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2017年1月から2018年10月まで1位)、2位が香港(2017年1月から7月まで2位、8月3位、9月2位、10月4位、11月から2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位)と3位から2位に上がった。逆に3位は韓国(2017年1月から7月まで4位、8月2位、9月4位、10月から12月3位、2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月と10月2位)で、香港に逆転された。

4位に台湾(2017年1月から7月まで3位、8月4位、9月3位、10月3位、11月4位、12月4位、2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から10月4位)、5位にシンガポール(2017年1月から11月まで6位、12月5位、2018年1月から10月6位)とタイを上回り、6位にタイ(1月から11月まで5位、12月6位、2018年1月から10月5位)が下がった。7位がマレーシア(2017年1月から2018年10月まで7位)だった。