丸善丸の内で博物画展、ケーツビー、ターナーら

【銀座新聞ニュース=2019年3月30日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ、03-5288-8881)は4月3日から9日まで4階ギャラリーで「ボタニカルアート・博物画の世界展-植物・動物・風景・アンティーク版画」を開く。

丸善・丸の内本店で4月3日から9日まで開かれる「ボタニカルアート・博物画の世界展-植物・動物・風景・アンティーク版画」に出品される博物画。

植物画(ボタニカルアート)、博物画(ナチュラルヒストリー)などを扱う「オランジェリーコレクション」(狛江市和泉本町1-32-11、03-3489-3341)が主催する17世紀から19世紀にかけてヨーロッパで制作された植物画や博物画のコレクションを展示即売する。

ベルギー出身で「バラの画家」として知られたピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ (Pierre-Joseph Redoute、1759-1840)のオリーブや初展示となるマーク・ケーツビー(Mark Cateby、1682-1749)の鳥など博物画の稀少な作品、ウィリアム・ターナー(Joseph Mallord William Turner、1775-1851)の銅版画作品、天体図などを展示する。

また、リチャード・ドイル(Richard Doyle、1824-1883)、カイ・ニールセン(Kay Nielsen、1886-1957)、エドモンド・デュラク(Edmund Dulac)らの絵本のさし絵や、手軽に楽しめる植物図譜シート、木版画入りロンドンニュースなども充実させている。

ウイキペディアによると、オリーブはモクセイ科の常緑高木で、古代から重要な油糧作物として知られ、原産地が西洋文明の発祥区域であった地中海沿岸であるため、聖書の記述をはじめ多くの文化的記録が残っている。

紀元前700年頃から古代ギリシアはオリーブの栽培によって国力を蓄え、今日の産油国のように繁栄を迎えた。オリーブには希少価値があり、ヘロドトス(Herodotus、生没年不詳)は紀元前5世紀頃に「アテナイを除き、世界のどこにもオリーブの木は存在しない」と記述している。

ギリシアが地中海各地に植民市を建設するとともに、オリーブの木も移植され広まっていった。紀元前370年頃イタリア半島に移植され、やがてオリーブの主要生産地の一つとなった。

オリーブの木材は硬く(爪の先で押してもほとんど傷つかない)重く(比重は約0.9)緻密で、油分が多く耐久性がある。このため装飾品や道具類、特にまな板、すり鉢・すりこぎ、スプーン、調理用へらなどの台所用品を作るのによく用いられる。木製品としてはかなり高価である。日本では印鑑の材料にされることもある。

オリーブは重要な商品作物で、国際連合食糧農業機関(FAO)の統計資料によると、98%以上の生産国は地中海に面し、そのうち、3分の2がヨーロッパ州に集中している。2002年のオリーブの実の生産量は1398万トンで、全体の30.8%をスペインが生産(430万トン)している。上位10カ国は、スペイン、イタリア(19.5%)、ギリシャ(14.3%)、トルコ(10.7%)、シリア(7.1%)、モロッコ(3.0%)、ポルトガル、エジプト、アルジェリア、ヨルダンとなっている。

ボタニカルアート(植物画)とは古代エジプトや中国などで薬草を見分けるために図譜が作られたのがはじまりで、大航海時代になって、ヨーロッパ各国が世界各地を探検するようになり、植物学者と画家が一緒に組んで珍しい植物の詳しい絵が本国に送られ、それらの絵がイギリスやフランスで19世紀に大流行した。植物の姿を正確で細密に描く植物図鑑のための絵画とされている。

博物画は動物、植物、鉱物などの観察対象の姿を詳細に記録するために描かれる絵で、植物画(botanical art)と動物画(zoological art)に大別され、動物画はさらに外形を描く肖像画(portait)と内部を描く解剖画(anatomical art)に区分されている。

科学性が重視され、正確な観察には博物学や解剖学の知識も不可欠であり、学者の指示によって作画された。屋外で素早く写生する必要性から速乾性のガッシュが用いられ、後にこれを銅版画に起こし、点描で陰影をつけ手彩色も行われるようになった。19世紀に写真が登場しても、描いた者の手と認識を通した写真にはない説明性と抽象化があるため、今日でも図鑑や医学書などではイラストが用いられ続けている。

オランジェリーコレクションは大根均(おおね・ひとし)さんと大根恒子(おおね・つねこ)さんが1992年10月に設立した植物画(ボタニカルアート)、博物画(ナチュラルヒストリー)などの作品を取り扱う会社で、丸善をはじめ、三越、阪急、伊勢丹、高島屋などで版画展を開いている。

開場時間は9時分から21時(最終日は16時)まで。入場は無料。