中央の百貨店3月、5店ともプラス、免税と日曜増要因か

【銀座新聞ニュース=2019年4月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の3月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋店、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の全店がプラスだった。5店舗ともプラスになるのは、2018年10月以来5カ月ぶり。

3月の売上高で4カ月ぶりにプラスに転じた銀座三越。

3月は「グジュアリーブランドの雑貨や衣料品、化粧品が引き続き好調に推移し、売り上げを牽引し」(三越伊勢丹ホールディングス)、また、「気温が上昇したことで春物へのマインドが上がってきている」(同)。さらに、日曜日1日増の影響は「約2%程度の上乗せ」(松屋銀座店)としている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比5.0%増(2月速報値3.3%増、確定値5.1%減の97億円、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む)と店頭ベースでは2カ月続けて前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同1.9%増(同速報値2.0%減、確定値2.0%減の72億円、但し空港型免税店の売り上げを除く)と4カ月ぶりにプラスに転じた。

三越伊勢丹ホールディングスでは、日本人、訪日外国人観光客売上高(免税売上高、インバウンド)問わず、ラグジュアリーブランドの雑貨や衣料品、化粧品が引き続き好調に推移し、売り上げを牽引し、とくに基幹店ではデザイナーズブランドを中心に婦人のジャケットやワンピース、ストール、紳士のブルゾンやトップスなど春物アイテムが堅調に推移した。

また、気温が上昇したことで春物へのマインドが上がってきている、としている。さらに、訪日外国人観光客売上高は昨年末から続いていた中国の個人消費マインドの低下や電子商務法の影響がほとんど見られなかったという。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同2.1%増(同速報値0.5%増、確定値0.5%増)と2カ月続けて前年を上回った。店頭売上げは、ラグジュアリーブランドを中心とした高額品売り上げと訪日外国人観光客売上高が引き続き伸長し、とくに、訪日外国人観光客売上高は前年比7.3%増となった。

日本橋店は、昨年9月からレストラン街の運営を東神開発に移管したため、百貨店としての売場面積が縮小している中で、前年を上回った。

17店舗ベースの商品別では紳士服、紳士雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、食料品などが前年比プラスとなった一方で、婦人服、婦人雑貨、リビングなどは前年に届かなかったとしている。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同0.4%増(同速報値2.7%増、確定2.6%増)と2カ月続けて前年を上回った。

百貨店事業は、訪日外国人観光客売上高による売上高を含めたラグジュアリーブランド、化粧品が好調を持続したほか、ホワイトデー商戦も堅調に推移し、美術品も売り上げを大きく伸ばした。また、大丸松坂屋百貨店合計の訪日外国人観光客売上高は対前年比20%増(客数同12%増、客単価同7%増)となった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、2月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同6.9%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同5.7%増(同速報値1.7%減、確定値1.2%減)と3カ月ぶりに前年を上回った。

銀座店は、 主として高価格帯の婦人衣料品おいて、春物のジャケット、ワンピースの動きが好調に推移し、紳士部門でも衣料品や雑貨などで堅調に売り上げを伸ばした。訪日外国人観光客売上高については、化粧品、時計が前年を大幅に上回り、全体を強く牽引し、ラグジュアリーブランドの売り上げも堅調の推移した。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内79社217店舗(総従業員6万6971人)の2月売上高(店舗調整後)は前年同月比0.4%増の4220億1266万円で、4カ月ぶりにプラスとなった。

2月は「株価や為替が安定したことで、1月に苦戦した高額商材が好転し、春節商戦を中心に訪日外国人観光客需要(インバウンド)も活況を取り戻した」という。

顧客別では、国内市場(シェア92.4%、同0.6%減)がマイナスで、訪日外国人観光客需要は319億円(シェア7.6%、同14.8%増)と過去最高を記録し、2カ月ぶりにプラスに転じた。

商品別では、化粧品が9.8%増と47カ月連続プラスで、美術、宝飾品、貴金属などの高額品2.7%増、ラグジュアリーブランドなどがけん引し、雑貨も同5.1%増と2カ月ぶりにプラス、身の回り品(同1.3%増)もプラスに転じた。衣料品(同1.1%減)、食料品(同0.9%減)も4カ月連続でマイナスだった。

全国の百貨店の営業日数は前年同月と同じ27.7日、121店舗の回答によると、入店客は42店が増え、41店が減ったとし、うち87店舗の回答によると2月の歳時記(バレンタイン、節分)の売り上げについては18店が増え、20店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の2月の売上高は同2.9%減の1328億9395万円と2カ月連続でマイナスだった。
国内93店舗の訪日外国人観光客需要の2月の免税売上高は同14.8%増の約319億2000万円と過去最高で、2カ月ぶりにプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが7.6%としている。

このうち、一般物品売上高は同0.4%増の約175億2000万円で、2カ月ぶりに前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同39.0%増の144億円、購買客数が同8.1%増の約42万5000人と2013年2月から73カ月続けてプラスとなり、1人あたりの購買単価が同6.2%増の7万5000円で、2カ月ぶりに前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から12月まで1位、2019年1月1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年1月2位)、3位に食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から2019目1月3位)と前月と同じだった。

4位に婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から1月4位)、5位に美術・宝飾品(過去不明)で、1月に5位だった婦人服・用品(2018年1月と2月が5位、3月4位、4月4位、5月5位、6月6位、7月から12月5位)が6位以下に下がった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2019年1月まで1位)、2位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月と10月2位、11月と1月まで3位)が1月の3位から上がり、3位に台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位)と4位から上がった。

逆に1月に2位だった香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月と1月2位)が4位に下がった。5位にタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、1月に5位)、6位にシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、1月6位)、7位がマレーシア(2018年1月から1月まで7位)と変わらなかった。