志門で大島貞男展、100号中心の制作

【銀座新聞ニュース=2019年4月22日】ギャルリー志門(中央区銀座6-13-7、新保ビル3階、03-3541-2511)は4月22日から27日まで大島貞男さんによる個展を開いている。

ギャルリー志門で4月27日まで開かれている大島貞男さんの個展のフライヤーに使われている作品。

日本画家の大島貞男(おおしま・さだお)さんが新作を中心に展示する。

美術評論家の日夏露彦(ひなつ・つゆひこ)さんは大島貞男さんの作品について、「一見寡黙な表情だが、やがて面妖さが迫り出してくる起伏(レリーフ)絵画。ものの変容の一瞬を掴まえたような起伏フォルムが精緻なモノクローム塗色で覆われる」としている。

「大島は美大時代フレスコ画の長谷川路可(はせがわ・ろか、1897-1967)に師事したという貴重な経験がある。試行錯誤のうち30代には斎藤義重(さいとう・よししげ、1904?2001)などストイックな造形の道を辿る。色彩はほぼモノクロームで合板にハードエッジな矩形が重ねられ、静まり返ったなかに変化が萌す緊張感が追求された」と白黒画に取り組んだという。

「いくつかのコンクール展入賞を経て、しかし、世紀変わる前後、起伏状フォルムが生々しさを帯びることに。ほぼモノクロームだが、人間を含む存在というものの変容の面妖さが際立ってくるのだ」と少しずつ変化していることを指摘する。

「蠢(うごめ)く生体、拡大された口唇の妖しい起伏、カフカの『変身』につながろう『ザムザ氏の羽化』(2014年)の眩惑感など、存在というものがいかに避け難く、信じ難く変容し、反転し、または豹変し、あるいは破局に瀕するか、面妖なサスペンスへと誘うといっていい。俗受け、市場狙いの声高、浮華、小手先芸がはびこる美術界のなかで、ほとんどが百号大以上で続けられるそのシリアスなまでの追究は見守るのに値する」と大島貞男さんの大作中心の制作姿勢を絶賛している。

大島貞男さんは1941年京都府福知山市生まれ、1966年に武蔵野美術大学を卒業、1980年から1983年まで埼玉美術の祭典コンクールに入選(1980年佳作賞、1982年大賞)、1985年に現代日本美術展に入選(1987年、1998年にも入選、1998年は賞候補)、1986年に伊豆美術祭絵画公募展で入選、優秀賞(1987年も入選)、日本国際美術展で入選、賞候補。

2002年と2013年に「風の芸術祭」トリエンナーレまくらざきで入選(2013年に佳作賞)、2007年と2008年にアート・ナウ・カナザワ(KANAZAWA)北陸中日美術展で入選、2016年にあさごアートコンペティションで入選している。

開場時間は11時から19時(最終日は17時)、入場は無料。

注:「大島貞男」の「島」は正しくは、異体字で「山かんむり」の下に「鳥」を合わせた漢字です。