中央の百貨店4月、大丸、銀三、松屋が増、日本橋2店減、天候か

【銀座新聞ニュース=2019年5月8日】中央区とその周辺の主要百貨店の4月売上高(速報値、店頭ベース)は、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座店の3店がプラスだったが、日本橋三越、日本橋高島屋店の2店舗は前年を下回った。ただ、前年を上回った3店のうち、大丸東京店、銀座三越とも1%未満の伸び率で事実上、横ばいだった。

4月の売上高で前年比1%超の伸び率となった松屋銀座店。

4月は「気温が前年より低く推移したことから、婦人・紳士ファッションの動きが鈍かった」り(J.フロントリテーリング)、「天候は寒暖差が激しく、初夏物が伸び悩んだ」(三越伊勢丹ホールディングス)と苦戦を強いられた。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比4.3%減(3月速報値5.0%増、確定値3.9%減の130億円、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む)と店頭ベースでは3カ月ぶりに前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同0.7%増(同速報値1.9%増、確定値1.9%増の79億円、但し空港型免税店の売り上げを除く)と2カ月続けてプラスだった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、ラグジュアリーブランドや宝飾、時計は引き続き好調に推移するものの、天候は寒暖差が激しく、初夏物が伸び悩んだとしている。基幹店では婦人コートやラグジュアリーブランドの衣料品、雑貨、宝飾、時計、化粧品などが好調に推移した。

また、日本橋店はリモデル工事に伴う催事場閉鎖などのマイナス与件もあったとしている。訪日外国人観光客売上高(免税売上高、インバウンド)は3月ほどの伸びはなかったが、基幹店計及び国内百貨店共に前年を上回ったという。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同1.3%減(同速報値2.1%増、確定値1.9%増)と3カ月ぶりに前年を下回った。店頭売り上げは、ラグジュアリーブランドを中心とした高額品と訪日外国人観光客売上高が引き続き伸長したが、初夏ものをはじめとした衣料品が苦戦した。訪日外国人観光客売上高は前年比2.7%増だった。

日本橋店は、2018年9月からレストラン街の運営を「東神開発」に移管したため、百貨店としての売場面積が縮小している。

17店舗ベースの商品別では、特選衣料雑貨、宝飾品、食料品などが前年比プラスとなったが、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、子どもホビー・リビングなどはマイナスだった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同0.5%増(同速報値0.4%増、確定0.6%増)と3カ月続けて前年を上回った。

百貨店事業は、気温が前年より低く推移したことから、婦人・紳士ファッションの動きが鈍かったものの、化粧品とラグジュアリーブランドが国内・訪日外国人需要ともに売り上げを伸ばし、食品も好調に推移した。

また、訪日外国人観光客売上高(速報値)は前年比約22%増(客数同8%増、客単価同13%増)だった、4月27日から5月6日の10連休については、前年の同曜日期間(4月28日から5月7日)と比較して、入店客数は約1割増、売上高は約7%増だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、3月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同9.6%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同2.1%増(同速報値5.7%増、確定値5.7%増)と2カ月続けて前年を上回った。

銀座店は、4月を通して気温の寒暖差が大きかったことが影響し、婦人衣料品のボリュームゾーンにおいて、この時期の主力となるワンピースなどの動きがやや鈍かった一方、国内外のデザイナーによる高価格帯の婦人衣料品ゾーンは、堅調に推移した。

訪日外国人観光客売上高(速報値)については、「自家需要ニーズのさらなる高まりを受け、化粧品が大幅な伸び(前年比約8%増)を示し、全体を牽引するも、高単価となる一部ラグジュアリーブランドが前年の売り上げを越えず、全体としては前年をわずかに下回った」という。

一方、国内客の売り上げについては、引き続き堅調に推移し、特に文化催事などの各種来店施策が奏功したことにより、売上高が前年比3.4%増だった。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内78社216店舗(総従業員6万6334人)の3月売上高(店舗調整後)は前年同月比0.1%増の5148億7878万円で、2カ月続けてプラスとなった。

3月は「ラグジュアリーブランドを中心に高額品と訪日外国人観光客需要(インバウンド)が好調を維持し、雑貨と身の回り品が前年をクリア」したとしている。また、「催事などが好評だった食料品もプラスに転じ」たという。

顧客別では、国内市場(シェア93.5%、同0.8%減)とマイナスで、訪日外国人観光客需要は319億円(シェア6.5%、同14.9%増)と2カ月続けて過去最高を記録し、2カ月続けてプラスだった。

商品別では、身の回り品(同1.2%増)、雑貨(同3.6%増)と2カ月続けてプラス、
化粧品(同5.7%増)と48カ月連続プラスで、美術、宝飾品、貴金属などの高額品(同6.7%増)が引き続き好調で、食料品(同0.1%増)も5カ月ぶりにプラスに転じた。

一方で、衣料品(同1.4%減)は気温の上昇に伴い、ジャケットやワンピースなど春もの商材が動いたが、前年を上回らなかった。

全国の百貨店の営業日数は前年同月と同じ30.9日、121店舗の回答によると、入店客は40店が増え、40店が減ったとし、うち79店舗の回答によると3月の歳時記(ホワイトデー、卒業、入学、新生活)の売り上げについては6店が増え、20店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の3月の売上高は同0.6%増の1423億3759万円と4カ月ぶりにプラスだった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の3月の免税売上高は同14.9%増の約332億8000万円と過去最高で、2カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが6.5%としている。

このうち、一般物品売上高は同12.3%増の約161億9000万円で、2カ月続けて前年を上回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同17.4%増の170億9000万円、購買客数が同7.7%増の約45万2000人と2013年2月から74カ月続けてプラスとなり、1人あたりの購買単価が同6.7%増の7万4000円で、2カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2019年2月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年2月まで2位)、3位に食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から2019目2月まで3位)と前月と同じだった。

4位に婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2月まで4位)、5位に美術・宝飾品(2019年2月と3月は5位)で、1月に5位だった婦人服・用品(2018年1月と2月が5位、3月4位、4月4位、5月5位、6月6位、7月から1月まで5位、2月と3月6位以下)が6位以下に下がっている。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2019年2月まで1位)、2位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月と10月2位、11月と1月まで3位、2月2位)、3位に香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月と1月2位、2月4位)が台湾を抜いて上がった。

4位に台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位)が3位から下がり、5位にタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、1月に5位)、6位にシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、1月6位)、7位がマレーシア(2018年1月から1月まで7位)と変わらなかった。