ミキモト吉田社長、中国で尖閣の影響なし、北京、上海で増設へ

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【銀座新聞ニュース=2012年11月29日】ミキモト(中央区築地1-8-9、03-5550-5678)は11月29日午後、ザ・ペニンシュラ東京(千代田区有楽町1-8-1)で「ミキモト真珠発明120周年記念」発表会を開いた。

ミキモト 吉田均さん

ミキモトが11月29日にホテルで開いた「ミキモト真珠発明120周年記念」発表会であいさつする社長の吉田均さん。

あいさつに立った社長の吉田均(よしだ・ひとし)さんは2013年に御木本幸吉(みきもと・こうきち、1858-1954)が世界初の真珠の養殖に成功して以来120周年を迎えることから、「真珠業界、宝飾品業界で今まで以上に世界的に認知される企業へ」と海外での認知度を高めるため、真珠やアクセラリーに関するイベントを積極的に行っていく方針を明らかにした。

その後、吉田均さんは銀座新聞ニュースに対して、「今や真珠業界は南洋産などの黒真珠の輸入が増えて、業界が低迷しているが、来年は伝統的な日本文化である日本国産の真珠の人気を回復するため、積極的に取り組んでいきたい」と語り、業界の先頭に立って国産真珠の需要回復に向けてさまざまな取り組みを行うことを強調した。

また、ミキモトは中国では上海、北京、瀋陽、成都、南京にショップがあり、8月から尖閣諸島問題で中国国内でデモが発生したりして、多くの日本企業が休業に追い込まれたりしている中で、「日本企業というよりも、世界企業として認知されているせいか、すべての店舗で被害を一切受けていない」ことを明らかにした。

むしろ、日本への中国人観光客の減少により「これまで中国からの観光客の方々に購入していただいていたのが、ほとんど需要がなくなったので、日本での売り上げに影響を与えている」という。

このため、12月から2013年2月にかけて北京と上海に1店舗ずつ増やす計画で、最近、中国共産党総書記の習近平(しゅう・きんぺい)さんに近い経済部の要人が来日して会談した際に、そうした計画を表明すると「こうした時に中国に投資してもらえるとはありがたい、と喜んでもらえた」ことを明らかにした。ただ、吉田均さんは「中国には(何かあれば)撤退も視野に入れながら、慎重に投資していきたい」とも語った。

吉田均さんは東京都生まれ、1965年に早稲田大学商学部を卒業、御木本真珠店(現ミキモト)に入社、1988年に本店営業部長で退社し、ジェムフローレスに入社、専務取締役、2009年にジェムフローレスジュエリーサロン顧問、2011年11月に社長に就任している。

ミキモトは1893年に御木本幸吉が世界初の真珠の養殖(半円真珠)に成功し、1899年に「御木本真珠店」を銀座に開業し、1905年に真円真珠の養殖に成功し、1910年にイギリス・ロンドンに初進出、1949年に養殖と加工、輸出を行う「御木本真珠」と販売を行う「御木本真珠店」を設立、1951年に三重県鳥羽市に御木本真珠島を開業、1972年に「ミキモト」に改称、2007年に福岡県に「ミキモト博多真珠養殖」を設立している。