実写のエイリアンが魅力的な新「MIB」(266)

【ケイシーの映画冗報=2019年6月27日】本作「メン・イン・ブラックインターナショナル」(Men in Black:International、2019年)で、幼き日、偶然エイリアンと遭遇した少女モリーは、地球にひそむエイリアンを追跡する謎の組織「メン・イン・ブラック(MIB)」の存在を知り、あこがれるようになります。FBI捜査官に合格しながら、MIBへの情熱を捨てられないモリーは、ついにニューヨークのMIB秘密基地にもぐり込みますが、アッサリと見破られてしまいました。

現在、一般公開中の「メン・イン・ブラック:インターナショナル」。制作費が1億1000万ドル(約110億円)で、興行収入は世界で1億8209万ドル(約182億900万円)。

対面したエージェントO(演じるのはエマ・トンプソン= Emma Thompson)に熱意を認められたモリーは、「エージェントM」(演じるのはテッサ・トンプソン=Tessa Thompson)として、仮採用となります。

Mのはじめての任務は、ロンドン支部への応援でした。現地で出迎えたのはエージェントH(演じるのはクリス・ヘムズワース=Chris Hemsworth)と支部長のエージェントハイT(演じるのはリーアム・ニーソン=Liam Neeson)で、ふたりはかつて地球の危機を救った伝説のコンビで、MはHと組んで、最初の任務に就きますが、守るべき宇宙からのVIPが殺されてしまいます。

「MIB内にスパイがいる」、MとHは世界各地に捜査の手を広げていきますが、一連の事件はHの過去に絡んだものだったのです。

「UFOや宇宙人に関わる人物には、全身黒ずくめの男が訪れ、詳細をきいたり、忠告・警告をおこなう」

このフォークロア(都市伝説)を原型に、スティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)が製作総指揮についた「メン・イン・ブラック」(Men in Black)は1997年から2012年にかけて3作がつくられ、興収の合計が15億ドル(約1500億円)という、大ヒットとなりました。

刑事モノの定番中の定番である“バディ(相棒)・ムービー”は、主人公コンビのキャラクターの違いが作品の成否を決めると個人的には考えています。

1作目でコンビを結成したベテランの白人捜査官Kと、かれにスカウトされた若いパワフルな黒人捜査官Jは、寡黙と雄弁、思慮深さと瞬発力というおたがいの差異を魅力的に表現していました。

本作でも、情熱と努力でMIBエージェントとなったMは黒人女性で、ハンサムながら、どこか軽薄なHは白人男性となっており、マジメと愛嬌、知識と経験という、両者の対比は見ていても楽しいものがありました。

本作と同様におおくのエイリアンが登場するのが、1977年に第1作が公開され、本年の12月に本編の9作目が公開される「スター・ウォーズ」(Star Wars)です。

第1作を監督したジョージ・ルーカス(George Lucas)が創造した「スター・ウォーズ」の世界は「遠い昔、はるかかなたの銀河系」の物語で、現代の地球を舞台とした「MIB」と場面設定はことなりますが、「多種類のエイリアンが人間と同居している」という世界観は相通ずるものといえるでしょう。

スピルバーグ、ルーカスはともに、映画ファンの少年という位置からスタートし、1970年代からハリウッドで映画監督として活躍しており、決して王道ではなかったSF映画を「世界で大ヒットする映画」に変換していったという共通点があります。

「MIB」の世界観も、アイディアだけなら、インパクトはありますが、大きなヒットには結びつかなかったのではないでしょうか?エイリアン事件の目撃者の記憶を消してしまうという「ニューラライザー」や各種のビームガンといったMIB装備品も楽しいですが、ここはやはり「エイリアン」のキャラクターが魅力的であることが重要でしょう。

もちろん、現在では一般化したコンピュータ・グラフィックスによるキャラクターも多いのですが、一方で実写のキャラクターも少なくありません。本作でも、エイリアンが変身した双子の暗殺者が登場し、見事なダンスと身体能力を披露しますが、実際に双子の天才ダンサーであるレ・トゥインズ(Les Twins)が演じています。

現在の技術ならひとりをふたりに、時には無数にすることも可能ですが、双子に実演させるほうが、やはり映像的インパクトでは効果的なのは確かです。

なお、ほとんどのフォークロアは無害なものですが、マスメディアや権力とむすびつくと恐ろしい結果を生み出した事例は歴史に散見しています。民族学の大家であった折口信夫(おりくち・しのぶ、1887-1953)は、「フォークロアはナチズムにつながる」という一文を残しています。

フォークロアは、本作のような明るく楽しいエンターティンメントの源泉ぐらいであってほしいです。次回は「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」を予定しています(敬称略。【ケイシーの映画冗報】は映画通のケイシーさんが映画をテーマにして自由に書きます。時には最新作の紹介になることや、過去の作品に言及することもあります。当分の間、隔週木曜日に掲載します。また、画像の説明、編集注は著者と関係ありません)。

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