中央の百貨店6月、大丸と高島屋が増、銀座2店減、訪日需要息切れか

【銀座新聞ニュース=2019年7月2日】中央区とその周辺の主要百貨店の6月売上高(速報値、店頭ベース)は、大丸東京店、日本橋高島屋の2店がプラスで、日本橋三越、銀座三越、松屋銀座店の3店がマイナスだった。

6月の売上高が4カ月ぶりにマイナスとなった銀座三越。

6月は28日より「国内百貨店全店でクリアランスセールをスタートし、堅調に推移した店舗もあったものの、初日の台風やその後の悪天候の影響もあり売り上げ押上げには至らず」(三越伊勢丹ホールディングス)や「28日にスタート(一部店舗を除く)したクリアランスセールの動きが鈍かった」(J.フロントリテーリング)ところもあれば、「店頭売り上げは、ラグジュアリーブランドを中心とした高額品が引き続き伸長したほか、クリアランスセールが2018年より1日早い28日にスタートしたことなどから、前年実績を上回った」(高島屋)という百貨店もある。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比5.4%減(5月速報値5.4%減、確定値5.7%減、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は5月から未公表)と店頭ベースでは3カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同1.8%減(同速報値1.6%増、確定値1.6%増、但し空港型免税店の売り上げを除く)と4カ月ぶりにマイナスだった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、28日よりクリアランスセールをスタートしたが、初日の台風やその後の悪天候の影響もあり、売り上げが低迷したが、新宿伊勢丹、日本橋三越、銀座三越の基幹3店は特選、宝飾が2桁増で好調に推移し、店頭(催事場を除く)も前年を上回ったとしている。

訪日外国人観光客売上高(免税売上高、インバウンド)は一部の店舗では前年比プラスだったが、全体ではマイナスだった。ただ、ラグジュアリーブランドの衣料品と雑貨、宝飾・時計などは好調だった。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同1.9%増(同速報値1.8%増、確定値1.8%増)と2カ月続けて前年を上回った。

店頭売り上げは、ラグジュアリーブランドを中心とした高額品が引き続き伸長したほか、クリアランスセールが2018年より1日早い6月28日にスタートしたことなどから、前年実績を上回ったとしている。訪日外国人観光客売上高は前年比8.2%減とマイナスだった。

日本橋店は昨年9月からレストラン街の運営を子会社の東神開発に移管し、百貨店としての売場面積が縮小しているが、それらを調整した実質では前年比4.1%増になる。

17店舗ベースの商品別では紳士服、特選衣料雑貨、宝飾品、子ども情報ホビー、食料品などが前年比プラス、一方で、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、リビングなどは前年比マイナスだった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同1.3%増(同速報値1.4%増、確定1.6%増)と5カ月続けて前年を上回った。

百貨店事業は、28日にスタート(一部店舗を除く)したクリアランスセールの動きが鈍かったものの、化粧品が国内、訪日外国人観光客売上高ともに好調を持続したほか、ラグジュアリーブランド、美術宝飾品が売り上げを伸ばした。また、訪日外国人観光客売上高は対前年約12%増(客数同9%増、客単価同3%増)だったが、伸び率は5月の約23%増よりも下がっている。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、5月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同3.9%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同0.2%減(同速報値1.6%増、確定値1.6%増)と4カ月ぶりに前年を下回った。

銀座店は婦人部門において、帽子、サングラスや傘などの夏雑貨が好調に推移し、 加えて、国内外のデザイナーなどのの高価格帯の婦人服、およびキャリア層に向けた婦人服も、28日からスタートしたクリアランスセールも加勢し、売上高は前年を上回った。

一方、訪日外国人観光客売上高については、ラグジュアリーブランドを軸とした一般品とともに、化粧品に代表される消耗品の売上高が前年を下回った(前年比6.5%減)。

訪日外国人観光客売上高は店全体の売上高の25%程度を占めており、この前年割れが全体を下振れさせる要素となった。ただし、時計や宝飾品などの高額品、婦人靴、バッグなどは好調に推移し、銀是店全体ではわずかに前年を下回ったにとどまった。訪日外国人観光客売上高を除く国内客の売上高は、堅調で前年を上回った(前年比1.4%増)。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内78社215店舗(総従業員6万6476人)の5月売上高(店舗調整後)は前年同月比0.8%減の4443億1858万円で、2カ月続けてマイナスとなった。

5月は「改元による祝賀ムードや10連休となったGWのほか、気温上昇に伴う夏物需要の盛り上がりなどのプラス要素があった半面、連休後の反動や改装による面積減などから、商況は総じてまだら模様の推移」により、マイナスとなった。

訪日外国人観光客売上高や高額品は引き続き好調で、顧客別では、訪日外国人観光客売上高(シェア7.0%、同8.0%増)は309億円と4か月連続プラスだったが、国内市場(シェア93.0%、同1.4%減)はマイナスだった。

商品別では、雑貨(4.0%増)が4か月連続プラス、化粧品(6.1%増)は引き続き国内外顧客共に好調で、UV対策商品、スキンケアなどが高伸した。高額品もラグジュアリーブランドや時計、宝飾を中心に活況が続いている、としている。

また、食料品(0.8%減)は3か月ぶりにマイナス、改元や母の日などのアニバーサリー需要を背景に、菓子や弁当、惣菜などは好調だったが、生鮮食品が苦戦し、前年には届かなかった。さらに、衣料品(2.5%減)と身のまわり品(1.2%減)は、天候の影響で一部夏物衣料や晴雨兼用傘、帽子などが動いたものの全体ではマイナスだった。

全国の百貨店の営業日数は前年同月と同じ30.8日(祝日は2日増)、117店舗の回答によると、入店客は40店が増え、40店が減ったとし、うち78店舗の回答によると5月の歳時記(GW、母の日)の売り上げについては7店が増え、22店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の5月の売上高は同1.6%減の1228億4111万円と2カ月続けてマイナスだった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の5月の売上高は同8.0%増の約309億9000万円と過去最高で、4カ月続けてプラスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが7.7%としている。

このうち、一般物品売上高は同0.3%減の約159億4000万円で、4カ月ぶりに前年を下回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同18.3%増の150億5000万円、購買客数が同3.7%増の約47万4000人と2013年2月から76カ月続けてプラスとなり、1人あたりの購買単価が同4.1%増の6万5000円で、4カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2019年4月まで1位)、2位に食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から2019年4月まで3位)が3位から上がり、3位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位)が下がった。

4位に婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から4月まで4位)、5位に子ども・玩具(2019年4月5位)だった。2019年1月は5位が婦人服・用品、2月と3月が美術・宝飾品だったが、いずれも6位以下に下がった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2019年4月まで1位)、2位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月と10月2位、11月と1月まで3位、2月から4月2位)、3位に香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月と1月2位、2月4位、3月と4月3位)だった。

4位に台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月と4月4位)、5位にタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、1月から4月5位)、6位にシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、1月から4月6位)、7位がマレーシア(2018年1月から4月まで7位)と変わらなかった。