資生堂でアートエッグ賞入選展、今村文、小林清乃、遠藤薫

【銀座新聞ニュース=2019年7月11日】国内最大の化粧品メーカーの資生堂(中央区銀座7-5-5、03-3572-5111)は7月5日から9月22日まで資生堂ギャラリー(中央区銀座8-8-3、東京銀座資生堂ビル、03-3572-3901)で「第13回shiseido art egg展」を開く。

資生堂ギャラリーで9月22日まで開かれている「第13回シセイドウ アートエッグ(shiseido art egg)展」で、7月28日まで個展を開く今村文さんの「水のない池(部分)」(2018年、紙に水彩、墨、写真はMina Ino)。

「シセイドウアートエッグ(shiseido art egg)」は資生堂が2006年からはじめた若手作家を対象にした公募展で、応募者の中から3人を選んで、例年は1月から3月にかけて、2018年から6月ころから8月にかけて個展を開き、最終的に「アートエッグ」賞(賞金20万円)を決める。

同じく小林清乃さんの「ポリフォーニー(Polyphony)1945(部分)」(2017年、ミクストメディア)。

最終審査に挑む3人は、東京芸術大学教授で資生堂ギャラリーアドバイザーの伊藤俊治(いとう・としはる)さん、美術評論家で資生堂ギャラリーアドバイザーの光田由里(みつだ・ゆり)さんと資生堂社会価値創造本部の3人が決める。

同じく遠藤薫さんの「ウエス(Waste)」(2018年、雑巾、映像)。

また、「アートエッグ」賞は毎年変わる3人の特別審査員が決める。2019年はグラフィックデザイナーの有山達也(ありやま・たつや)さん、アートプロデューサーの住吉智恵(すみよし・ちえ)さん、美術家の小野耕石(おの・こうせき)さんが務める。

13回目は2019年1月15日から29日まで募集し、269人の応募があり、その中から1982年愛知県生まれ、2008年金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科絵画専攻油画コースを修了した今村文(いまむら・ふみ)さん、1982年愛媛県生まれ、2005年に日本大学芸術学部映画学科を卒業した小林清乃(こばやし・きよの)さん、1989年大阪府生まれ、2013年沖縄県立芸術大学工芸専攻染めコースを卒業し、2016年志村(しむら)ふくみさんの主宰する「アルスシムラ」を卒業した遠藤薫(えんどう・かおり)さんが入選した。

7月5日から28日が今村文さん、8月2日から25日が小林清乃さん、8月30日から9月22日が遠藤薫さんがそれぞれ個展を開く。

今村文さんは自然界の小さな花や虫に精神性を見出し、植物や生物のイメージを創り上げている。独自のドローイングが形づくる花や虫に囲まれた世界をインスタレーションとして構成している。抽象化された自然が生みだす複数のイメージは、ギャラリー空間のなかで溶け合い、来場者は不思議なリアリティをともなった自然のイメージ世界を体験することになるとしている。

小林清乃さんは、人間によって「書かれる言葉」「語られる言葉」に関心を持ち、個人と社会との関わりを問いかける作品を発表している。戦時下の1945年に女学校を卒業したばかりの女性たちが綴った手紙をもとに、手紙を朗読する複数の人の声を組み合わせたサウンドインスタレーションを構成し、発語の作用によって過去の時間に生きた人々の生を呼び起こしていく作品としている。

遠藤薫さんは「テキスタイル」=「織りなすこと」と捉え、布の持つテクスチャーの背後に複雑な現代社会のあり様や生を見つめなおす行為を織り込んでいるという。沖縄やアジアの人々の生活のなかで育まれてきた布地を起点にしながらも、今日の生活に根差した工芸の可能性を切り開く、複層的な視点を鑑賞者に提示してくれている。

7月6日14時から今村文さんによるギャラリートークを開く。すでに終了している。

8月3日14時から小林清乃さんによるギャラリートークを開く。

8月31日14時から遠藤薫さんによるギャラリートークを開く。

開場時間は11時から19時(日曜日、祝日18時)、毎週月曜日が休み(祝日でも休み)。入場はギャラリートークも含めて無料。