ヴァニラで石原豪人/林月光「美」展

【銀座新聞ニュース=2019年7月29日】ヴァニラ画廊(中央区銀座8-10-7、東成ビル、03-5568-1233)は7月30日から8月11日まで特別展示「石原豪人、林月光‐美のイデアを描いた人」を開く。

ヴァニラ画廊で7月30日から8月11日まで開かれる「石原豪人、林月光‐美のイデアを描いた人」に出品される作品。

昭和30年代からおよそ40年間、第一線で活躍したさし絵画家の石原豪人(いしはら・ごうじん、1923-1998)、また、林月光(はやし・げっこう)としても官能系雑誌やSM誌、ゲイ雑誌、少女向け耽美雑誌などで活躍した。今回は、膨大な作品群の中から、「少女、怪奇、耽美、エロス」の4つのキーワードにより選んだ作品を展示する。

「平和本陣記念館」によると、石原豪人は青年時代にモンゴルにわたり、会社勤めの傍ら映画看板を描き、そこで戦争を体験し、生死の境を生きる激烈な青春時代の中で奇怪で毒々しく、かつ色気という要素が加わり、何よりもカリスマ的な人をひきつける力が画に備わっていた。戦後、松江や東京で映画看板を描き、肺を患うと、さし絵の世界に移り、「明星」や「平凡」などでスターの似顔絵を描いた。

「少年マガジン」をはじめ「少年サンデー」や「少年画報」、さらに「キング」や「ぼくら」、小学館の学年誌など巻頭企画で注目され続け、少女雑誌では江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ、1894-1965)と組み、少年誌では、特撮監督の円谷英二(つぶらや・えいじ、1901-1970)、「ゴジラ」の原作者、香山滋(かやま・しげる、1904-1975)らの「ウルトラQ」から始まった怪獣ブーム時代にも数え切れないさし絵を描いた。

3日で100匹の怪獣を描くといわれた。次第に石原豪人は官能雑誌へメインを移し、林月光というペンネームで、妖しい美少年、美女を描き、時代の変化に多様に進化し、自宅の床が抜けたほどの原画を描き続けた。

ウイキペディアによると、石原豪人は1923年島根県簸川郡大社町生まれ、日本大学芸術学部を中退、18歳で満州に渡り、映画看板などを描く。体調を崩したため、1955年頃(昭和30年)からさし絵画家としての仕事をはじめ、以後40年間にわたって描き続けた。

テレビがなかった時代の映画の看板から、光文社の江戸川乱歩(えどがわ・らんぽ、1894-1965)シリーズのさし絵(「魔法人形」など数巻)、立風書房のジャガーバックスシリーズを始めとする怪奇系児童書、小学館の「なぜなに学習百科」シリーズ、各社の学年誌、少年雑誌、少女雑誌の怪獣、怪人、幽霊、妖怪、怪奇現象などのイラストを手がけた。

平成に入ってからはサブカルチャー雑誌やトレンド雑誌、家庭用ゲーム誌のさし絵までカバーし、「林月光」名義でゲイ雑誌やSM雑誌の濃厚なさし絵も手がけた。注文されれば分野を問わず何でも描いた。

手がけた分野は、紙芝居、映画看板、カストリ雑誌、学習雑誌、少年雑誌、少女雑誌、芸能雑誌、新聞小説、劇画、広告、アメリカンコミックまで幅広く、日清シスコの「キャプテンウルトラ」チョコのパッケージと包装紙も手がけ、ファミ通にスーパーマリオブラザーズの絵を描いたこともある。作品点数があまりに多く、自宅の床が抜けたというエピソードもある。

開場時間は12時から19時(土・日曜日、祝日17時)。入場料は500円。