シャネルでV・ヨガナンタンが風景とシーンで「ラーマーヤナ」世界展

【銀座新聞ニュース=2019年9月1日】フランスの総合ファッション企業「シャネル」の日本法人、シャネル合同会社(中央区銀座3-5-3、シャネル銀座ビルディング、03-5159-5555)は9月3日から29日まで4階シャネル・ネクサス・ホールでヴァサンタ・ヨガナンタンさんによる写真展「A Myth of Two Souls 二つの魂の神話」を開く。

9月3日から29日までシャネル・ネクサス・ホールで開かれるヴァサンタ・ヨガナンタンさんの写真展「ミス・オブ・ツー・ソウル(A Myth of Two Souls)二つの魂の神話」に展示される作品「ロンギング・フォー・ラブ、ダヌシコディ、インド(Longing For Love, Danushkodi,India)」(2018年、(C)Vasantha Yogananthan)。

フランス人写真家のヴァサンタ・ヨガナンタン(Vasantha Yogananthan)さんが紀元前300年頃に古代インドの詩人、ヴァールミーキ(Maharshi Valmiki、生涯についてはまったくわかっていないが、紀元前500年ころから紀元前100年ころまでの約400年の間のいずれかに生まれたと考えられている)が編さんした「ラーマーヤナ」に着想を得て制作したのが「ミス・オブ・ツー・ソウル(A Myth of Two Souls)」プロジェクトだ。

風景写真と「ラーマーヤナ」の役柄を演じる人物の写真によって展開され、風景写真では「ラーマーヤナ」の中で描写された、現代インド人にとっては伝説的な風景を撮影し、「ラーマーヤナ」は地元の人々に自分の心に刻まれたシーンを演じてもらっている。

4×5インチ大判カメラでモノクロ撮影した作品には、伝統的な手彩色を学んだインド人画家が着色を施している。現実とフィクションの境界線が曖昧になった、叙事詩的な旅へと見る者を誘うとしている。

「ミス・オブ・ツー・ソウル」プロジェクトは2016年から2020年にかけて、「ラーマーヤナ」の全7巻に対応して、7冊のフォトブック、アーリー・タイムズ(Early Times)、プロミス(The Promise)、エグザイル(Exile)、ダンダカ(Dandaka)、ハウリング・ウインズ(Howling Winds)、アフターライフ(Afterlife)、アマ(Amma)として2016年から2020年に出版される。

同じく「シークレット・ドア、アヴァニ、インド(Secret Door,Avani,India)」 (2016年、(C)Vasantha Yogananthan)。

ウイキペディアによると、「ラーマーヤナ」はヒンズー教の聖典の一つであり、サンスクリットで書かれ、全7巻、総行数は聖書にも並ぶ4万8000行に及ぶ。成立は紀元3世紀頃で、ヴァールミーキがヒンズー教の神話と古代英雄コーサラ国のラーマ王子の伝説を編さんしたものとされる。この叙事詩は、ラーマ王子が、誘拐された妻シーターを奪還すべく大軍を率いて、ラークシャサの王ラーヴァナに挑む姿を描いている。ラーマーヤナの意味は「ラーマ王行状記」だ。

紀元3世紀当時のクシャトリヤ勢力の台頭を反映し、この叙事詩で活躍する人物はすべてクシャトリヤで、また、ラーマーヤナの核心部分は第2巻から第6巻とされ、その成立は紀元前4世紀から5世紀頃で、第1巻と第7巻よりも古いとされる。

シャネルによると、物語の登場人物は王国から14年間追放されたアヨーディヤーの王子ラーマとその妃シータ。国を追われて暮らしているうちに、シータはスリランカの王ラーヴァナにさらわれてしまう。これを機に、2つの王国は戦争に突入する。

「ラーマーヤナ」は古典的な叙事詩、恋物語、誘拐、戦争であると同時に哲学的な物語でもある。ヨガナンタンさんは、2013年からインドを北から南へ「ラーマーヤナ」の物語の道筋を辿り、現地の人々と生活を共にし、「ラーマーヤナ」からインスピレーションを受けて撮影した。ヨガナンタンさんの一連の作品は時空の旅という概念を核として、この古典作品を現代的に読み直すことを提案している。

ヴァサンタ・ヨガナンタンさんは1985年生まれ、ドキュメンタリーとフィクションの狭間を写し出す作品に取り組み、長年にわたり、自然光に基づく特有のカラーパレットを展開し、「二つの魂の神話(A Myth of Two Souls)」プロジェクト(2013年から2019年)では、地元のインド人画家とコラボして伝統的な手彩色を復活させた。本プロジェクトは、ヨガナンタンさんが2014年に共同設立した出版社「コース・コミュン(Chose Commune)」から、2016年から2020年の間に7冊の写真集として順次、刊行している。

2015年にマグナムフォトアワード、2016年にルヴァロワ賞、2017年にICP(国際写真センター)インフィニティアワード、FOAM タレント(Talents)、2018年にカメラ・クララ賞を受賞している。

3日18時30分からヴァサンタ・ヨガナンタンさんと写真家の川内倫子(かわうち・りんこ)さんによるトークイベントを開く。事前申し込みだが、すでに締め切っている。

開場時間は12時から19時30分、入場は無料。期間中、無休。