丸善日本橋で本荘正彦が木版画「花」展、多色摺木で

【銀座新聞ニュース=2019年10月5日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は10月9日から15日まで3階ギャラリー特設会場で本荘正彦さんによる「花の木版画展」を開く。

丸善・日本橋店で10月9日から15日まで開かれる本荘正彦さんの「花の木版画展」に出品される「菊花金秋」。

江戸時代に完成された浮世絵の伝統を継承する多色摺木(すりき)版画の技法を自ら「自画、自刻、自摺」で制作している木版画家の本荘正彦(ほんじょう・まさひこ)さんが花や草木など季節の花の作品を展示する。

「多色摺木版画」とは1765年に浮世絵師の鈴木春信(すずき・はるのぶ、1725-1770)が重ね摺りの「錦絵」と呼ばれる技法をつくりあげ、これが「多色摺木版画」で、錦絵が大流行した。

1600石取りの旗本・大久保甚四郎(おおくぼ・じんしろう、1722-1777、俳名は巨川=きょせん)と1000石取りの阿部八之丞(あべ・はちのじょう、1724-1778、俳名は莎鶏=しゃけい)が、薬種商の小松屋三右衛門(こまつや・みえもん、1720-1794、俳名は百亀=ひゃっき)らと協力し て、画期的な多色摺りの技術を開発し、1765年以降に絵暦(えごよみ)交換会を開いた。

鈴木春信らが多色刷りによる東錦絵(吾妻錦絵)を編み出したことで、浮世絵文化は本格的開花期を迎えた。多色刷りが可能になった背景には、重ね刷りの際の目印となるよう「見当」が工夫されたこと、複数回の刷りに耐えられる丈夫で高品質な紙が普及したことが挙げられる。

越前奉書紙、伊予柾紙(いよまさがみ)、西野内紙(にしのうちし)などの「こうぞ」を原料とした紙が用いられ、下絵師、彫師、摺師と複雑な工程の分業体制が整えられた。高度な技術でつくられたカラフルで美しい木版画「錦絵」は、以後、浮世絵の代名詞ともなった。

本荘正彦さんは1963年兵庫県神戸市生まれ、1986年に京都教育大学教育学部美術科を卒業、卒業後に木版画をはじめ、1993年に日本版画協会展で入選、京展で入選、1994年に花の美術大賞展でスポンサー賞、日本版画協会展で入選、1995年からアメリカンクラブのCWAJ展に毎年出品、1996年 に京展で入選、東京国際ミニプリント・トリエンナーレ展で入選、1997年から個展を開催し、1999に京展で入選、2003年に日本版画協会展で入選し ている。

9日、10日10時から17時まで本荘正彦さんが来場する。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は17時)、入場は無料。