丸善丸の内で稀覯書「西洋の名著」展、創業150周年記念で

【銀座新聞ニュース=2019年10月7日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ、03-5288-8881)は10月9日から15日まで4階ギャラリーで「丸善」創業150周年記念で「稀覯書展『西洋の名著との出会い』」を開く。

丸善・丸の内本店で10月9日から15日まで開かれる「丸善」創業150周年記念「稀覯書(きこうしょ)展『西洋の名著との出会い』」のフライヤー。

明治以降、「丸善」は海外の先進の法律や経済といった社会のしくみや学問、文学、文化、文明、芸術などを、多くは書籍(洋書)を通じて紹介してきた。今回は、150年の間に日本へ紹介し、現在は大学などの教育・研究機関や、愛書家に所蔵されている西洋の名著(原書)91点を展示する。展示される書籍は一度は見たことや聞いたことがある名著ばかりで、長いものでは数百年にわたって受け継がれてきた人類にとって貴重な資料・知的遺産という。

ウイキペディアによると、丸善は1869(明治2)年1月1日(1869年2月11日)に創業した。社名は「丸屋商社」(1869年に横浜に創業)の登記簿に、代表者として「丸屋善八」という架空の人物を記載したことから丸善の名が生まれ。最初の店舗である日本橋店は「丸屋善八店(英名Z.P.Maruya & Co.Ltd.)」を名乗り、創業者は福沢諭吉(ふくざわ・ゆきち、1835-1901)の門人で、「丸屋商社」を創業した早矢仕有的(はやし・ゆうてき、1837-1901)だ。

経済学者の和田垣謙三(わだがき・けんぞう、1860-1919)によれば、この屋号は早矢仕が福沢と相談の上選定したものであり、元は「球善(まるぜん)」であり、球(たま)は地球を意味し、洋書を輸入販売することは知識を世界に求めることであるとの意味が込められているという。

1870年に東京・日本橋に店を開設、1871年に大阪、1872年に京都にと支店を設けている。また、設立当初から、世襲が基本だった当時の商習慣を廃し、所有と経営を分離するなど、事実上日本初の近代的会社として知られる。丸善は近代日本における西洋の文化・学術紹介に貢献し、その紹介する商品によって培われた気風は「丸善文化」と呼ばれ、多くの文化人に愛された。また書店のみならず、学術情報から服飾・高級文具・建築まで幅広く手がけており、創業時よりの商社的性質が現在も残る。1947年には司忠(つかさ・ただし、1893-1986)が社長に就任し、「ワンマン独裁宣言」を行った。

司忠は洋書部門の再建や著作権法改正に尽力し、国外に流出していた松方コレクションの返還交渉にも関与している。1945年の大空襲により、本支店の建物のほとんどが被災し、戦後の9月26日にGHQに米国書輸入斡旋を要請し、1949年に洋書輸入を再開し、「英国書展覧会」や「新刊米国書展覧会」などを開き、5月16日に東京証券取引所に株式を上場した。

1990年代、丸善の経営が悪化し、東証1部上場の株式は仕手株となり、1999年、プリンストン債事件に巻き込まれ、56億円もの多額の特別損失を計上した。2004年9月、旧・日本橋店に代わる基幹店「丸の内本店」を丸の内オアゾに出店、日本橋店は一旦閉店して建て替えを実施する。

2005年8月3日に経産省に提出した産業再生法に基づく事業再構築計画が認定され、登録免許税の軽減措置を受け、8月4日に大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツから1000億円の出資を受け、同社が21.66%の筆頭株主となり、再構築計画を実施することとなった。

2007年8月3日に大日本印刷(DNP)と資本・業務提携、同月10日の大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツからの株式譲渡、2008年5月13日と8月20日の第三者割当増資を経て、大日本印刷の子会社となった。2009年9月に大日本印刷の出資の下で、丸善株式会社、株式会社図書館流通センター、株式会社ジュンク堂書店の3社が経営統合案を発表した。

2010年2月1日、丸善と図書館流通センターが事業持株会社 「CHIグループ株式会社」を設立し、株式移転を行い、経営統合した。これにより丸善は上場廃止となり、代わりにCHIグループが新規上場した。2010年8月、店舗運営部門を分社し「丸善書店株式会社」を設立、2011年2月、ジュンク堂書店と丸善書店がCHIグループの子会社となる。

また、出版事業部を分社化して「丸善出版株式会社」を設立し、同日付でCHIグループの完全子会社へ移行、2011年5月にCHIグループが「丸善CHIホールディングス株式会社」に商号変更し、2015年2月に丸善書店がジュンク堂書店を吸収合併し、商号を「株式会社丸善ジュンク堂書店」に変更、2016年2月1日に丸善株式会社が雄松堂書店を吸収合併し、商号を「丸善雄松堂株式会社」に変更している。

14日14時から作家・博物学者の荒俣宏(あらまた・ひろし)さんによる「丸善」創業150周年記念講演会を開く。「荒俣流愛書のススメ!-古書の魅力と収集の愉しみ」を題して、稀覯書(きこうしょ)について語る。入場は無料だが、ですに申込を締め切っている。
開場時間は9時から21時(最終日は16時)。