銀座三越で金沢翔子展、実演とトークも

【銀座新聞ニュース=2019年12月2日】国内最大手の百貨店グループ、三越伊勢丹ホールディングス(新宿区新宿5-16-10)傘下の三越伊勢丹(新宿区新宿3-14-1)が運営する銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は12月4日から10日まで9階銀座テラスで、金沢翔子さんによる「-心を奏でる筆-」を開く。

銀座三越で12月4日から10日まで個展を開く金沢翔子さん。

ダウン症候群ながらも、「魂の書」として、人に勇気と励ましを与えている書家の金沢翔子(かなざわ・しょうこ)さんが描いた書の作品を展示販売する。

ウイキペディアによると、ダウン症候群とは体細胞の21番染色体が通常より1本多く存在し、計3本(トリソミー症)になることで発症する先天性疾患群で、年間1000出生あたり1人に現れる、新生児にもっとも多い遺伝子疾患となっている。

症状としては、身体的発達の遅延、特徴的な顔つき、軽度の知的障害などがあり、平均して8歳から9歳の精神年齢に対応する軽度から中度の知的障害があるものの、ばらつきが大きく、現時点で治療法は存在しないが、教育と早期ケアにより症状が改善されることが見込まれている。

かつてはヨーロッパを中心に「モンゴリズム(Mongolism、日本語では「蒙古症」)」と呼ばれ、黄色人種に特有のものとの偏見が広がり、ヨーロッパにおいて白人の子どもであるにもかかわらず、当時コーカソイドより劣っていると考えられていたモンゴロイドの遺伝子を持って出生したと考えて付けられた。

個展に出品される金沢翔子さんの作品、左が「雅」、右が「花」。

英国人医師のジョン・ラングドン・ダウン(John Langdon Haydon Down、1828-1896)が1866年に発見したが、当初「目尻が上がっていてまぶたの肉が厚い、鼻が低い、頬がまるい、あごが未発達、体は小柄、髪の毛はウェーブではなくて直毛で薄い」という特徴を捉えて「モンゴリズム」または「モンゴリアン・イディオシー(mongolian idiocy、蒙古痴呆症)」と称し、発生時障害により人種的に劣ったアジア人のレベルで発育が止まったために生じると説明していた。しかし、ダウン医師によるこの人種差別的な理論は、アジア人にもダウン症がみられることからすぐに破たんした。

1959年に21番染色体が1本多いことが原因ということがわかり、1961年に19人の遺伝学者が「ラングドン・ダウン・アノマリー(Langdon-Down anomaly)」などの用語を用いるべきとの声明を出し、「蒙古症」という語は次第に使われなくなり、1965年頃にはモンゴル人民共和国の代表がWHO事務局長に対して、非公式に病名としての「モンゴリズム(mongolism)」が不快であるとして将来的に使用しないように要請した。

1965年にWHOは発見者のラングドン・ダウンに因んで「ダウン・シンドローム(Down syndrome、ダウン症候群)」を名称とすることが決定し、2012年に「21番染色体トリソミー」にちなんで3月21日を国際連合が「世界ダウン症の日」に認定した。

金沢翔子さんは1985年東京都目黒区生まれ、5歳から母親の書道家の金沢泰子(かなざわ・やすこ)さんの指導で書を始め、1995年に全日本学生書道連盟展に「花」を初出品、1999年に日本学生書道文化連盟展に「龍」を出品し、銀賞(2000年銀賞、2001年金賞、2002年に金賞)、その後、矢口養護学校に進学し、2003年にステップアップアカデミー(現翔和学園)に入学し、その後、中退した。

2004年に書家としての号「小蘭」を取得、2005年に20歳で個展を開き、その後、建長寺、建仁寺、東大寺、薬師寺、中尊寺、延暦寺、熊野大社、厳島神社、三輪明神大神神社、大宰府天満宮、伊勢神宮、春日大社などで個展を開き、奉納揮毫(きごう)もしている。国体の開会式や天皇の御製を揮毫し、紺綬褒章を受章している。現在、日本福祉大学客員准教授、文科省スペシャルサポート大使。

6日14時から金沢翔子さんが来場し、席上揮毫(実演)とトークショーを開く。4日と5日に会場で作品を購入すると、招待席を利用できる招待券をもらえる。

開場時間は10時から20時(日曜日は19時30分、最終日は18時)まで。入場は無料。

注:「金沢翔子」の「沢」は正しくは旧漢字です。名詞は原則として常用漢字を使用しています。