中央の百貨店11月、5店とも2カ月連続減、増税前駆込反動続く

【銀座新聞ニュース=2019年12月3日】中央区とその周辺の主要百貨店の11月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋、大丸東京店、銀座三越、松屋銀座の5店とも2カ月続いてのマイナスだった。

11月は5店とも2カ月連続マイナスだった中で、マイナス幅がもっとも小さかった松屋銀座店。

11月は土曜日が1日増だったが、9月の消費税増税前の駆け込み需要の反動が続いており、5店とも10月よりも減少幅が縮小したとはいえ、2カ月連続でマイナスとなった。

2014年4月の消費税増税後の影響は日本橋三越が14.7%減、日本橋高島屋が15.9%減と大きく減少したが、銀座三越がプラス、大丸東京店が3.6%減、松屋銀座店が5.8%減だった。

5月は日本橋三越が4.5%減、日本橋高島屋が9.6%減とマイナスが続いたが、銀座三越がプラスを続け、大丸東京店が2.3%増、松屋銀座店が6.7%増とプラスに転じている。このため、今回の増税後の反動減の方が影響が大きいと言える。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比9.6%減(10月速報値25.2%減、確定値24.7%減、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は5月から未公表)と店頭ベースでは2カ月続けて前年を下回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同6.0%減(同速報値18.5%減、確定値18.5%減、但し空港型免税店の売り上げを除く)と2カ月続けてマイナスとなった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、消費増税前駆け込み需要の反動減から回復基調にはあるものの、まだ影響が残ったとしている。また、全体が厳しい中、月後半に日本橋三越のジュエリー売場が改装オープンし、多くのお客が来店しており、ピークを迎えた歳暮商戦も堅調に推移している。

訪日外国人観光客売上高に関しては、伊勢丹新宿本店が8カ月ぶりに前年を上回り、好調なカテゴリーは、宝飾、ラグジュアリーアイテム、食品としている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同2.7%減(同速報値26.7%減、確定値26.6%減)と2カ月続けてマイナスとなった。日本橋店は2018年9月からレストラン街の運営を子会社の東神開発に移管し、百貨店としての売場面積が縮小している。

店頭売り上げは、消費増税前の駆け込み需要の反動が続き、前年実績を下回った。訪日外国人観光客売上高は13.0%減だった。17店舗ベースの商品別では、特選衣料雑貨、食料品が好調だった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同5.2%減(同速報値15.7%減、確定16.0%減)と2カ月続けて前年を下回った。

百貨店事業は、化粧品、食品の売上が前年並みとなったほか、多くの基幹店でマイナス幅がひと桁台に縮小するなど、消費増税後のマイナス影響からの着実な回復傾向が見られたとしている。訪日外国人観光客売上高(速報値)は前年約1%増(客数同2%増、客単価同1%減)とプラスに転じた。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、10月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同2.3%増だった。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同0.8%減(同速報値20.4%減、確定値20.4%減)と2カ月続けて前年を下回った。

銀座店は、海外のラグジュアリーブランドなどでその影響が続いた一方で、ここ数年、訪日外国人による買上げが顕著だった化粧品においては、免税を除く売上高(国内のお客の買上げ額)が前年ベースで復調、推移するなど、アイテムによって増税後の回復進捗の差異が見られたとしている。

婦人衣料品においても、ボリュームゾーンを軸としたキャリアウェアはコートなどの重衣料が苦戦し、売上高が9.1%減だったが、国内外のデザイナーを軸とした高価格帯の婦人服は3.2%増になるなど、強みとなる商品群は増税後などの影響も軽微に好調に推移したという。

訪日外国人観光客売上高については、一部のラグジュアリーブランドにおける特注などが全体を牽引したため一般品の売上高は前年比3.1%増、一方、化粧品を軸とした消耗品について約3割減となった。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内76社208店舗(総従業員6万4593人)の10月売上高(店舗調整後)は前年同月比17.5%減の3863億7440万円で、3カ月ぶりのマイナスとなった。

10月は「消費税率引上げに伴う駆け込み需要(9月が23.1%増)の反動に加え、台風19号の影響による臨時休業や営業時間短縮などマイナス与件が重なり、売上高は厳しい結果となった」としている。各社が企画した物産展や外国展などの人気催事やカード会員施策が集客に寄与した他、一部店舗では改装効果も見られたものの、増税前後の需要変動は、前回(2014年3月前年同月比25.4%増、同年4月12.0%減)と同様に大きく振幅した。

顧客別では、国内市場(シェア93.4%)が同17.7%減、訪日外国人観光客売上高(シェア6.6%)は購買単価がプラス(1.2%増)したが、円高基調の為替動向や米中貿易摩擦等の不安定な国際情勢が響き、13.8%減(256億円)と2カ月ぶりに前年実績を下回った。

商品別では、9月駆け込み需要で高伸した高額商材を中心に下げ幅が大きく、主要5品目すべてでマイナスとなった。

高額品(美術、宝飾、貴金属31.3%減)、化粧品(21.3%減)を含む雑貨(24.3%減)、ラグジュアリーブランドなどの身のまわり品(23.4%減)、9月に重衣料が動いた衣料品(21.4%減)など3品目では、20%を超える減少となった。家庭用品(19.9%減)もマイナスとなった。ただ、構成比が小さく外販中心の家電のみ0.8%増と5カ月連続でプラスしている。

軽減税率対象の食料品(5.1%減)は、地方物産展など食品催事が好評で、月の半ば以降盛り返しを見せたものの、台風・大雨等の天候与件もあって前年実績には及ばなかったとしている。

全国の百貨店の営業日数は前年同より0.4日少ない30.5日、116店舗の回答によると、入店客は9店が増え、83店が減ったとし、うち81店舗の回答によると10月の歳時記(秋物商戦、秋の行楽)の売り上げについては4店が増え、47店が減ったとしている。東京地区(13社25店)の10月の売上高は同19.0%減(店舗調整後)の1043億9813万円と3カ月ぶりのマイナスとなった。

国内93店舗の訪日外国人観光客需要の10月の売上高は同13.8%減の約256億4000万円と2カ月ぶりにマイナスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが6.6%としている。

このうち、一般物品売上高は同9.3%減の約143億6000万円で、2カ月ぶりに前年を下回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同19.0%減の112億8000万円、購買客数が同14.9%減の約39万6000人と5カ月続けてマイナスとなり、1人あたりの購買単価が同1.2%増の6万5000円で、9カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2019年9月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から9月2位)が5カ月連続で2位、3位が食品(2018年1月4位、2月3位、3月5位、4月3位、5月4位、6月から2019年4月まで3位、5月2位、6月、7月3位、8月4位。9月3位)が2カ月連続で3位だった。

4位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月4位)と2カ月連続で4位だった。5位に子ども服・雑貨(6月に5位、当時は子ども服・玩具、9月5位)が2カ月連続で5位だった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2019年9月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月2位)が2カ月連続で2位だった。3位に香港(2018年1月2位、2月4位、3月3位、4月4位、5月と6月3位、7月2位、8月と10月3位、11月と1月2位、2月4位、3月から6月3位、7月2位、8月と9月3位)と前月と同じだった。

4位が韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月4位)と2カ月連続の4位、5位にタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位)が6位から上がった。

逆に6位にシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位)が5位から下がり、7位がマレーシア(2018年1月から2019年9月まで7位)と変わらなかった。