インドでは各州が独自の強化策、コロナが大気汚染解消効果も(2)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2020年4月15日】現地発コロナルポ・第2回弾をお届けする。

新型コロナ効果(?)のせいか、街の空気が清浄になり、椰子も生き生きとしている。

当オディシャ(ODISHA)州は今日でロックダウン(都市封鎖)3週間目に入った。そろそろ外出禁止疲れからか、夕方にかけて珍しく、下の道を4、5人の人が群れて行き交うのを目撃、女性も混じっている。自転車やバイクも、昨日に比べると、少し増えた感じだ。日曜ということもあるのかもしれない。

隣のヒンドゥ寺院も、賑やかに鉦(かね)を叩きつつ祈りの歌「バジャン」(寺院や宗教的な集いで歌われるヒンドゥー教の神を讃える内容をもった歌)を合唱しながらの集会、マスクを着けて、ベランダから覗くと、5人くらいとそう多くはないようだけど、時期が時期だけに自粛してもらいたいところだ。

当州は感染者数は54人だが、全土で9152人(編集注:4月14日現在1万363人)と急増して(857人回復、308人死亡)、万人台に達するのも時間の問題、首都デリーで行われた多人数のイスラム集会から集団感染が発生、信徒の移動で各州に飛び火したのだから、つい神経質にもなる。

街灯の灯る夕刻、バイクで行き過ぎる人影を目撃した。

28州(+9連邦直轄領)ある広大なインド亜大陸、州の権限は強く、独自の強化策を打ち出して、既に当州はじめ、パンジャブ、マハラシュトラ州、タミルナドゥ州と、中央政府が発令した4月14日までのロックダウンを4月末まで延期、解除を待ちわびていた当方としては、がっくり、しかし、インドの事情を鑑みると、しょうがないのかもしれない。

それにしても、果たしてロックダウン効果は現れるのか。中央政府は、ロックダウンなしでは、感染者は82万人にのぼったろうとの見解を示しているのだが、規律にルーズな国民ゆえ、違反者も多い。2064人と(致死率10%近く)、インド最悪のマハラシュトラ州は、ダラビ(DHARAVI)と呼ばれる最大スラムで感染者が43人(死者4人)出ており、事前に私が危惧した通りになってしまった。

同州の州都、人口1839万人の巨大商都ムンバイには、息子が拠点を置いているが、1182人と最悪、わが子は巣ごもりに徹し、食料品はネット経由のデリバリー、首都デリー(人口1634万人、感染者1103人)では食料は政府からの配給で買い出しも禁じられている完全自宅封鎖地域もある程だ。

それに比べると、当州はまだましで、何でか感染者も回復率が高く、実質的な患者は39人、無症状か軽症者が7割を占めるという。

さて、ネガティヴに偏向しがちな日本のメディアに比べ、こちらはポジティブ面にスポットを当てた報道も目立ち、ケララ州でイタリア帰りの子ども夫婦にうつされた93歳と88歳の老夫婦がICUから奇跡の生還、話題になった。思えば、第1号感染者は同州からで、ドバイ帰りが持ち込んだのだった。

ケララは中近東への出稼ぎが多く、彼らが仕送りする外貨で潤い、豪邸が建ち並ぶエリアもあるほどなのだ。5人出た後、ウイルスはしばらくなりを潜めていたが、日本に遅れることひと月、3月半ば頃から増えはじめ、3月25日の全土ロックダウン宣言となったわけだ。

とはいえ、新型コロナも、悪役一辺倒ではない。ロックダウン効果で大気汚染が解消している。日頃、車2台がすれ違うのがやっとの前の混雑ロードが車やバイク、自転車、人や犬、牛とごった返していたのが、がら空き、稀にバイクや自転車が行き交うのみ、埃っぽかった大気が清浄になり、椰子の木々が見違えるように精彩を取り戻した。

清澄な夜気にフルムーンもいつも以上に輝かしく、見とれる美しさ、浜に出れない私はベランダで思う存分月見、そういえば、汚染された川もきれいになったとの報道もあり、パンジャブ州では、何十年かぶりにヒマラヤ山系が遠望できたそうだ。

悪者扱いされている新型コロナだが、それなりにいい側面もあることになる。でも、やっぱり怖い、ネットでロンドン在住のジャーナリストが警告してたけど、ヨーロッパでは今、食料危機が恐れられているらしい。

実は私も密かに恐れていたこと、インドでは既に食料不足が報じられている。感染しなくても、飢えて死んだら目も当てられない。その点、日本は少なくとも餓死することはなさそう。やはり、逃げ帰るべきか。まじでヤバくなったら、日本政府が差し向ける救援フライトに期待したい。

インドの片田舎に閉じ込められ身動きの取れない憐れな初老の自国未亡人を頼むから、見殺しにしないでくれい!(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家でホテルを経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは感染していません。また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長した)

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