「宣言」27日、竹中「ヤンマービル」工事継続、安藤ハザマ「森ホテル」も

(写真説明は本文の後にあります)
【銀座新聞ニュース=2020年5月4日】「緊急事態宣言」が出されて27日目となる5月4日は、朝から小雨が降っており、昼過ぎから止んで晴れてきたので、夕方、回ってみた。

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この「宣言」後の銀座とその周辺を歩いてみている中で、気になったのが、実は日本橋、銀座、有楽町などでかなりの工事が進められていることだ。「宣言」後に東京駅前を歩くと、竹中工務店が建設中の「ヤンマー東京ビル新築工事」(地下3階、地上14階)は休みなしで工事をしており、4日も朝から工事をしているのを見て、力の入れ方が違っていると思った。

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2020年2月5日に着工したばかりで、2022年1月末に完成予定で、本格的な工事がはじまったばかりなので、クレーン車なども複数あり、土台造りのところで、トラックの出入りも激しく、いかにも工事現場という雰囲気を醸しだしている。

その前に銀座を歩いていると、清水建設が手がけている銀座7丁目の「Nプロジェクト」が早々と工事を中断していることに気づいた。ネットで調べてみると、この「Nプロジェクト」はルイ・ヴィトンジャパンが発注したビルの建設工事で、北海道新聞銀座ビルの建て替え工事で、2019年7月1日に着工しており、2020年11月15日に完成予定となっている。

この中断している工事を見て、調べてみると、西松建設、清水建設が新型コロナウイルスの感染拡大を懸念して、すべての工事を中断していることがわかった。「Nプロジェクト」も1カ月近く中断していることから、11月に予定通り完成するかどうかは不透明だ。

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そこで、この大手のゼネコンの建設現場を見たことから、銀座、日本橋周辺の工事現場はどうなっているのかを見て回ることにした。実は、4月30日、5月1日と回り、何とか記事にしようとしたが、予備知識が不足しており、わからないことが多すぎて、もう少していねいに回ってみることにし、4日も回った。

今回、まわってみて、工事日程がそれぞれ現場に掲示されているのだが、5月1日前後からからGW中は工事を休むという現場がかなりあり、感染症の拡大を懸念して休むというよりも、この連休の時期は工事も休むというのが一般化していることがわかった。

この周辺では最大の建設現場である主に戸田建設が手がけている「大手町2丁目常盤地区第1種市街地再開発事業新築工事」(三菱地所が発注、千代田区大手町2-8-1と中央区八重洲1-2-1)で「トウキョウ・トキワバシ(TOKYO TOKIWABASHI)2027」がプロジェクト名のようだ。大和呉服橋ビル、旧JXビル、朝日生命大手町ビル、日本ビル、JFE商事ビルの5棟のビルを解体して2017年4月から2027年9月までに4棟を新設する大規模再開発計画だ。

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2018年1月着工、2021年4月末完成のA棟(地下5階、地上40階、高さ212メートル)、2023年1月着工、2027年4月末完成のB棟(地下5階、地上61階、高さ390メートル)、2018年1月に着工、2021年4月に完成と2027年に完成のC棟(地下4階、地上1階、高さ10メートル、東京電力の変電所)、2017年4月に着工し、2022年に完成する、ここだけ施工が三井住友建設が手がけているD棟(地下3階、地上9階、高さ65メートル)の4棟で、現在、A棟がかなり出来上がっているが、工事はGW中の10日まで休んでいる。

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また、オフィス近くで建設中の安藤ハザマが手がけている「銀座2丁目計画新築工事」(森トラストが発注したホテル建設、地下1階、地上14階)は2019年6月28日に着工し、2021年2月28日完成予定で、GW中も外から見るとあまりトラックなどの出入りがなく、工事をしているかどうかわからない。しかし、工事現場で何かをしている音が激しくするので、中を覗いてみると、人が何かをしているのが見えるので、工事中ということがわかった。

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銀座では、高松建設が銀座4丁目で工事中の「天賞堂ビル建替え計画」(地下1階、地上12階)は2020年1月6日に着工し、2021年9月30日に完成予定だが、まだ基礎工事段階なのだろうか、ほとんど進んでいない中で、建設機械をそのままにして、GWは休みで、7日から9日まで障害物撤去工事を実施する、となっている。

前田建設が銀座6丁目で手掛けている「銀座6丁目並木通り開発計画」(地下2階、地上12階、ヒューリックが発注)は5月1日に着工予定で、2022年7月31日に完成予定だったが、4月27日から5月10日まで休んでいる。ここは解体工事が2月17日から進められ、10月31日に終える予定で、その途中だったのだが、2週間も休むことになり、解体工事に遅れがでてきそうだ。

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大成建設が銀座6丁目で工事をしている「銀座6丁目開発計画」(地下1階、地上4階、ヒューリックが発注)は2019年10月1日に着工し、今年12月15日に完成予定だが、やはり10日まで工事を休んでいる。

フジタが銀座6丁目で手掛けている「銀座6丁目計画」(地下1階、地上13階)は「オエノンホールディングス」の本社ビルを建て替えて、全館を三菱地所グループのロイヤルパークホテルズアンドリゾーツに賃借し、ホテルになる予定で、2022年秋に完成する。この春に解体工事に着工したが、まだ解体工事もほとんど進まない中での休みなので、どう影響が出るか、まだ既存の建物がそっくり残っているので気になる。

一方で、日本橋では、もっとも目立つのは、中央通りに面した京橋1丁目の戸田建設による自社ビルの建て替え工事「新トダ・ビルディング(新TODA BUILDING、新TODAビル)計画」(地下3階、地上28階、高さ173メートル)で、2021年に着工し、2024年に完成予定だ。

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2019年12月17日から2022年2月15日まで旧戸田ビルディングを解体工事中で、その解体工事も、休んでいる。7、8日に「埋蔵文化財調査」を実施する予定で、この周辺では1657(明暦3)年、第4代将軍、徳川家綱(とくがわ・いえつな、1641-1680)の時代に、江戸時代最大の大火といわれた「明暦の大火」で焼けた人の骨が発掘された。このため、深く掘れば、江戸時代の文化財が見つかる可能性があり、その調査が行われることになっている。ただし、内部では延期される話も出ているようで、7、8日に実施されない可能性もあるが、その分、解体工事が遅れることになる。

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その近くでは、フジタが手がけている「日本橋3丁目共同ビル計画」(地下1階、地上12階、高島屋グループの東神開発が発注し、この2月上旬に着工したばかりでまだ基礎工事段階で、2021年12月27日に完成予定だが、GW中は休んでいる。

また、大成建設が京橋1丁目で進めている「関電不動産八重洲ビル新築工事」(地下1階、地上13階)は八重洲MIDビル(旧NTCビル)、西銀MIDビル、飯田好日堂、第2アザミビル、西勘第2ビルの5棟の建替え計画で、2019年10月1日から2020年12月31日まで八重洲MIDビルの解体工事中で、5月1日は工事を行っていたが、4日から休んでいる。

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新たな建設は2020年9月15日に着工し、2022年5月31日に完成する予定だが、第1段階の八重洲MIDビルの解体工事は見たところ、かなり進んでおり、GWに休んでもそれほど問題ないという判断なのだろう。

このほか、北野建設が京橋1丁目で手掛けている「京橋風土館建築計画」(地上5階、2019年10月1日着工、2020年10月31日完成)や松井建設が日本橋2丁目で工事している「プレリー日本橋ビル新築工事」(地下1階、地上11階、2020年3月1日着工、2021年8月31日完成)、三井住友建設が進めている「日本橋2丁目地区北地区新築工事(東京日本橋タワーアネックス)」(地下2階、地上4階、住友不動産が発注、2021年4月完成)などもGWは休んでいる。

こうして歩いて、工事現場を見ると、やはり、竹中工務店が進めている「ヤンマー東京ビル新築工事」がGWも「宣言」も関係なく進めているのが、ひたすらすごいと改めて感心してしまった。しかし、「宣言」は31日まで延長された。14日に政府は中間評価するが、それまでに工事を再開するかどうか、建設会社各社は苦悩するだろう(「宣言」は緊急事態宣言が出された後の銀座と周辺の風景を随時、掲載します。また宣言は4月7日深夜に発令されましたが、実際に影響を及ぼしたのは8日朝からなので、8日を「初日」としています。さらに、5月4日に5月31日まで延長されました)。

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竹中工務店が2月から着工した「ヤンマー東京ビル新築工事」は「宣言」後も休みなしで工事をしており、人出が少ない中、朝から東京駅周辺に工事の音が響き渡る。

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清水建設が2019年7月から手がけている銀座7丁目の「Nプロジェクト」は休んでいる。ルイ・ヴィトンの新たなビルで、近くにはショップもある。

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戸田建設が手がけている「大手町2丁目常盤地区第1種市街地再開発事業新築工事」(「トウキョウ・トキワバシ(TOKYO TOKIWABASHI)2027」)のA棟(地下5階、地上40階、高さ212メートル)はかなり出来上がってきたが、GW中は休んでいる。画像は完成予想図。

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安藤ハザマが工事をしている「銀座2丁目計画新築工事」のホテル建設計画は東京オリンピック後の観光需要をにらんで2021年2月に完成予定だが、オリンピックの1年延長でオリンピック前に完成することになる。

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高松建設が銀座4丁目で工事をしている「天賞堂ビル建替え計画」は1月に着工したばかりで、まだほとんど進んでいない中での休みを選んだ。7日から再開する予定だが、「宣言」が延長されることになり、どうなるのか。中央の樹木の後ろが工事現場。

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前田建設が手掛けている「銀座6丁目並木通り開発計画」は解体工事中だが、それも休みになっている。

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フジタが工事を進めている「銀座6丁目計画」は「オエノンホールディングス」の本社ビルを建て替え工事だが、旧ビルの解体工事もほとんど進んでいないのが気がかりだ。

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大成建設が進めている「銀座6丁目開発計画」は12月に完成予定で、躯体もほぼできており、計画通りに進んでいるのか、10日まで工事が休みとなっている。

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戸田建設による自社ビルの建て替え工事「新トダ・ビルディング(新TODA BUILDING、新TODAビル)計画」はまだ解体工事中だが、日本橋という歴史のある土地での再開発だけに、文化財が発見されると、工事が止まる可能性もあり、2021年に着工できるかどうかだ。

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大成建設が進めている「関電不動産八重洲ビル新築工事」も5棟の建替え計画のうち、2019年10月1日から2020年12月31日まで八重洲MIDビルを解体工事中で、5月1日は工事を行っていたが、4日から休んでいる。