インド、最高裁が山車祭に中止命令、州政府が催行を嘆願(24)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2020年6月26日】6月20日で、ロックダウン(都市封鎖)も91日、3カ月を超えたことになる。よくもまあ、一歩も敷地内から出ない軟禁生活が持ったものよと、自分の耐久力に我ながら驚くが、ひとつにはやはりヨガの威力が大きい。まさに、ヨガ様様様、だ。

当地プリーの名物、恒例の山車祭は、23日予定通り催行されるのだろうか。最高裁の中止命令で、岐路に立たされ、延期の噂も流れている。

さて、現在、インド全土の感染者数は39万5000人(死者1万2948人)、新規に1万3586人と1日の感染者数がまたしても記録更新、南インドでワーストのタミルナドゥ(Tamil Nadu)の州都チェンナイ(Chennai)は、ロックダウンを再発令することを余儀なくされた。

このコロナ下の混乱時、どさくさに紛れて、国境(ラダック=Ladakh=地方東部。1962年の印中国境紛争時後の停戦ライン、Line Of Control=LOC、管理ライン)では印中が小競り合い、インド側の兵士20人が死亡したとの速報が15日、コロナトピックスを差し置いて、メディアの巻頭を飾った。

経済がらみの代替戦争か?なにやらきな臭い模様である。インドはこの混乱に乗じて、世界各国から非難の矢が集中している中国を出し抜いて、製造業で踊り出ようとの色気をちらつかせているのだ。モディ(Narendra Damodardas Modi)首相のメイド・イン・インディア作戦だが、インド製はまだまだ粗悪で、世界に通用する品質とはとうてい思えない。

それはさておき、6月末以前に感染者数が50万人突破することは間違いないが、3カ月以上も完全封鎖を強いられたせいで、当初の緊張や警戒が緩み、急上昇していく一途の数字を見てもまったくパニックに陥らず、神経が麻痺してしまったようだ。いちいち反応していては身が持たないとの、防衛本能も働いているのかもしれない。

山車祭時、メインテンプル内の聖所から、寺外の山車へと担ぎ出される主神、ユニバース・ロード(宇宙の主)、ジャガンナート様、化身のひとつが仏陀で、異教徒の日本人にも親しみやすい。

当オディッシャ州(Odisha)も5000人に達する勢いで増えているのだが、人口4600万人の比率から見ると、人口77万人の我が故郷・福井県が122人で収束したので、7000人から8000人は許容範囲かと見越している。とはいえ、このまま歯止めがかからないと、来月末には1万人に達しそうな懸念も出てきた。ただし、死者数は11人とインド一僅少だ。

さて、そんな中、23日行われる予定だった当地名物・山車祭が、最高裁が15日に中止命令を発したことで、危うい雲行きになってきた。オディッシャ州政府ならびに寺院管理委員会は即座に控訴、名高いヒンドゥ巡礼地、プリータウン(Puritown)を完全封鎖して、町外からの信者の流入を阻止する強化案を提示した上で、ステイオーダーを解除するよう嘆願中であるが、結果はどうなるかわからない。

何せ、このお祭りはいったんキャンセルされると、その後12年は開けないという慣例がある。もし、今回、キャンセルされると、284年ぶりの中止という歴史的事件となり、そういう意味からいっても、古来の伝統行事のキャンセルという由々しき事態になる。

プリー地方は現在までに200人以上の感染者が出ているが(そのほとんどが移民労働者)、プリータウンはグリーンゾーンなので、祭催行でアウトサイダーの流入を防げないと、感染者数が一気に増えることが懸念されているわけだ。

三位一体神が祀られた3台の巨大な山車を、メインテンプルのジャガンナート(Jagannath)寺院から、3キロ離れた生誕寺院・グンディチャテンプル(Gundicha Temple)まで引いていくには、500人から600人の信徒が必要とかで、威勢よく掛け声をあげながら引っ張っていく力仕事だけに、飛沫感染リスクは避けられず、在外住民としては安全を期して中止してもらいたいと思ってしまうが、事はそんな簡単な話でなく、4大聖地の歴史的伝統行事なので、関係者はなんとしてでも催行に持ち込みたいと必死なのだ。

強行して、感染激増の手に負えない事態になったら、どう責任をとってくれるんだと、在留邦人で異教徒の私など声を大にして訴えたいが、大勢に無勢、多分敢行されてしまうのだろうとの予測はついている。

私事では、5日後に息子の帰省を控え、準備にあわただしい昨今である。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、感染していません。

また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人超と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長し、5月1日に17日まで再延長、17日に5月31日まで延長し、31日をもって解除しました。これにより延べ67日間となりました。ただし、5月4日から段階的に制限を緩和しています。

6月25日現在、インドの感染者数は47万3105人、死亡者数が1万4894人。すでにイギリスを抜いて、アメリカ、ブラジル、ロシアに次いで4位になっている。州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。また、インドでは3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決めています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています)

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