丸善丸の内で生田宏司「メゾチント銅版画」展

【銀座新聞ニュース=2020年7月22日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ、03-5288-8881)は7月22日から28日まで4階ギャラリーで生田宏司さんによる「銅版画(メゾチント)展」を開く。

丸善・丸の内本店で7月22日から28日まで開かれる生田宏司さんの「銅版画展」に展示される「蓮に翡翠」。

メゾチント技法による銅版画家の生田宏司(いくた・こうじ)さんが漆黒の小宇宙に浮かぶ鳥や花などをモチーフにした作品を展示する。

メゾチント(Mezzotint)とは「マニエル・ノワール(黒の技法、maniere noir)」とも呼ばれる版画の凹版技法のひとつで、金属凹版に「ロッカー」というクシのような刃がついた器具で版全体に無数の刻みを入れたり、ささくれ状態の線をつくり、その上を「バニッシャー」や「スクレーパー」という金属のヘラのような器具でささくれを削ったり、ならしたりして絵を描く。

刷る際にはインクを細かな刻みに擦り込んだ後に、刻みのない部分から拭い落とす。これにより、刻みが残っている部分はインクの色が濃く現れ、刻みが削られたり、ならされたりした部分は白く浮き出るという効果が得られ、微妙な明暗の加減を楽しめる。

しかし、この技法はヨーロッパで17世紀に生まれたが、写真術の発達に伴い、一時、途絶えていた。浜口陽三(はまぐち・ようぞう、1909-2000)がメゾチント技法を復興させ、さらにカラーメゾチント技法も開拓した。

生田宏司さんは1953年山形県鶴岡市生まれ、1976年に多摩美術大学絵画科日本画専攻を卒業、1982年に千葉サンケイ現代洋画展で佳作賞、1986年にアメリカの国際ミニチュア版画展でグランプリ、1987年にブラジルのカンピナス国際版画でビエンナーレ賞(最優秀賞)、1987年から1988年のアメリカのワークスオンペーパー展で買上賞、1989年にスペインのカダケス国際小版画展で最高賞、1990年に旧ソ連(ウクライナ)のインタープリント国際版画美術展で名誉メダル賞を受賞した。

1993年にアメリカの第7回国際ミニアチュール版画展で佳作賞、1995年にアメリカのワシントンDCササガワ平和財団USAギャラリーで個展を開いている。1994年から2002年まで東北芸術工科大学非常勤講師、2012年にロレーヌ国際版画ビエンナーレで個展、2013年に喜多方市美術館で個展、2015年にパリ・サンシュルピス広場「版画の日」で個展、2016年にバルビゾンで「インプレション・版画展」に招待出品している。

開場時間は9時から21時(最終日は16時)まで。