ヴァニラで高木智広、所伸一、たまら10人「失楽園の新たな扉」

【銀座新聞ニュース=2020年7月17日】ヴァニラ画廊(中央区銀座8-10-7、東成ビル、03-5568-1233)は7月21日から29日まで愛実さん、池谷友秀さんらによる「Paradise Lost-楽園の喪失」を開く。

ヴァニラ画廊で7月21日から29日まで「パラダイス・ロスト(Paradise Lost)-楽園の喪失」のフライヤー。

今回は英国の詩人、ジョン・ミルトン(John Milton、1608-1674)のルネサンス期の長編叙事詩「失楽園(Paradise Lost)」の新たな扉を開くもので、「現代の表現規制の中で知らず知らずのうちに奪われつつある人々の自由意志を呼び覚ます、禁断の果実のような魅惑の作品群」を油彩画、水彩画、立体作品、写真作品など国内外10人の作家が展示する。

出品者のひとり、高木智広(たかぎ・ともひろ)さんは「楽園を失い、アートは生まれた」とし、旧約聖書のアダムとイブのエピソードを元にして、「どんなに美しい楽園もそれを美しいと感じる感情がなければ、地獄のような光景もそれを惨いと思う感情がなければ、それらの世界は無に等しい。現代では社会的モラルや倫理の支配の元に表現も規制され、心の自由も知らず奪われている。そんな人々の自由意思を呼び覚ます禁断の果実にも似た、感情を生み出す装置、それがアートではないだろうか」としている。

出品者は人形作家の愛実(まなみ)さん、写真家の池谷友秀(いけや・ともひで)さん、少女画のゴージャスシェル・ダリダ(Gorgeoushell Dalida)さん、彫刻家の桜井結祈子(さくらい・ゆきこ)さん、彫金、コラージュ作家のスズキエイミ(すずき・えいみ)さん。

ヨーロッパの古典技法を用いた絵画を制作している高木智広さん、少女主義的水彩画家のたまさん、幻想絵画家の所伸一(ところ・しんいち)さん、創作人形作家の林美登利(はやし・みどり)さん、油絵画家の冷墨清志(ひやずみ・きよし)さん。

愛実さんは2004年から人形教室「ドールスペースピグマリオン」で学び、吉田良(よしだ・りょう)さんに師事し、その後、さまざまなグループ展に出品し、2013年にヴァニラ画廊で初個展、2014年にホルベイン賞を受賞している。

池谷友秀さんは1974年神奈川県小田原市生まれ、1992年から1999年までレストランで働き、2001年に東京総合写真専門学校を卒業、2002年に「キャラッツ」勤務を経て、2002年に独立し、広告、CDジャケット、エディトリアル撮影を中心にムービーも手掛ける。2007年に「IPA」で1位、2008年に「PX3」で名誉賞、2010年に「xto」で1位、「PX3」で2位、2012年に「IPA」で2位などを受賞している。

桜井結祈子さんは1993年長野県生まれ、2016年に愛知県立芸術大学美術学部彫刻科を卒業、2018年に同大学大学院美術研究科彫刻領域を修了している。

スズキエイミさんは1993年生まれ、文化学園大学生活造形学科ジュエリー・メタルワークコースを卒業し、人体や生物、解剖学的モチーフに独自の解釈を加え、ジュエリーやオブジェを制作し、名画を異なる角度から読み解くコラージュ作品も発表している。

2013年に第2回「絆 ジュエリー展」で入賞、2014年にヴァニラマニアで個展、第5回「帯留公募コンテスト応募作品展」で最優秀賞、2015年に第44回「伝統工芸日本金工展21+部門」で入選し、2018年にヴァニラ画廊で個展を開いている。

高木智広さんは1972年岐阜県生まれ、1992年に武蔵野美術大学短期大学部美術科を卒業、1995年にフランスにわたり、古典絵画技法を研究、パリ自然史博物館で動物骨格を研究し、1997年に帰国、2006年に個展を開き、2010年に第29回損保ジャパン美術財団選抜奨励展に出品、2012年に第15回岡本太郎(おかもと・たろう)現代芸術賞(川崎市岡本太郎美術館)を受賞、2015年にヴァニラ画廊で個展を開き、2017年にニューヨークのギャラリー小暮で個展を開いている。

たまさんは1977年福井県鯖江市生まれ、2000年に大阪芸術大学芸術学部美術学科を卒業、2001年に福井市のグループ展に参加、2003年に「ゲイサイ(GEISAI)-3」のイラスト部門に参加、2004年に大阪で個展、2007年に第4回ものづくりビッグギャラリーイン(in)東京ビッグサイト「第3回ポストカードコンテスト(POSTCARD CONTEST)」で優秀賞を受賞した。

2008年にヴァニラ画廊で個展を開き、2009年、2011年、2012年、2014年、2016年、2017年などにヴァニラ画廊で個展を開いている。現在、京都嵯峨芸術大学客員教授。

所伸一さんは1956年三重県明和町生まれ、長く団体公募展に出品するも、合わなくなり、出品を取りやめ、その後、グループ展、個展を中心に活動している。ヴァニラ画廊では2006年と2007年に個展を開き、2010年からほぼ毎年のようにグループ展に参加している。

林美登利さんは山口県生まれ、2000年に吉田良(よしだ・りょう)さんに師事し、2003年に黒川早恵美(くろかわ・さえみ)さんによるサーニットの短期集中講座を受講し、2004年にサーニット人形の制作をはじめ、2011年6月 に個展を開き、2012年にマンタムさんに師事し、2014年に作品集を刊行している。

冷墨清志さんは1960年和歌山県生まれ、東京で20年余りグラフィックデザイナーとして働き、2012年春から油絵の制作をはじめ、2013年に第1回ヴァニラ画廊大賞で大賞を受賞、以降、本格的に創作活動に入った。

開場時間は12時から19時(土・日曜日、祝日と最終日は17時)、入場料は500円。入場については事前に(https://t.livepocket.jp/t/paradiselost2020)からチケットを購入する必要がある。また、入場に際してはマスク着用、検温などがある。

注:「桜井結祈子」の「桜」と「高木智広」の「高」は正しくは旧漢字です。名詞は原則として常用漢字を使用しています。