M84で田保橋淳のデジタル版画「虫ケラ曼陀羅」展、虫ケラを追悼

【銀座新聞ニュース=2020年10月4日】Art Gallery M84(中央区銀座4-11-3、ウインド銀座ビル、03-3248-8454)は10月5日から10日まで田保橋淳さんによる「曼荼羅蟲螻」展を開く。

アートギャラリーエムハッシー(Art Gallery M84)で10月5日から10日まで開かれる田保橋淳さんの「曼荼羅蟲螻」展のフライヤー。展示作品はすべて販売される。

デジタル版画の第一人者で、多摩美術大学名誉教授の田保橋淳(たぼはし・じゅん)さんが「曼陀羅」をテーマにした個展で、今回は造園50年になる「自慢の花も香りも実も災害からの影響かすっかりダメになったが、殺虫剤も不要なほど害虫がいなくなった」ことから、「ムシケラ野郎と目の敵(かたき)にした過去の亡きムシケラたちを追悼の意を捧げ」て、虫螻(むしけら)を曼荼羅で表現したデジタル版画、約30点を展示する。

田保橋淳さんは造園50年になる庭に花も香りも実も楽しみたいと果樹を多く植えた。「収穫が自慢で、ご近所にお裾分けして喜ばれ」てきたが、「地球性能の劣化が原因か、重連する激甚災害からの影響か、この最近、花も香りも実も、すっかりダメになった。これは大変と、素人ながらそれなりの手入れをしているのだが、効果がない。ひと抱え以上の大木のモクレン、サクラのほか、ミカン、レモン、スダチ、カボス、ビワ、キンカンなどがよくない」としている。

しかし、一方で、「殺虫剤散布が必要ないほど、害虫がいなくなった。病気もなくなって殺虫剤も不要になった」という。ムシケラ野郎と目の敵にしたことも、過去のことになった。思えば、何匹虐殺したか。しかし、いかに害虫とはいえ、命あるものをどんどん殺めてよい筈はなかろう」とし、今は亡きムシケラたちに追悼の意を捧げ、冥福を祈ることにした、としている。

ウイキペディアによると、「曼陀羅(曼荼羅)」は仏教(特に密教)において聖域、仏の悟りの境地、世界観などを仏像、シンボル、文字、神々などを用いて視覚的、象徴的に表したものという。

古代インドに起源をもち、インドでは諸神を招く時、土壇上に円形または方形の魔方陣、マンダラを色砂で描いて秘術を行う。色砂で土壇上に描くため、古い物は残っていないが、チベット仏教などでは今でも修行の一環として儀式、祭礼を行う時に描かれる。

曼陀羅はその形態、用途などによってさまざまな分類があるが、すべての曼陀羅に共通する点は、1)複数の要素(尊像など)から成り立っている、2)複数の要素が単に並列されているのではなく、ある法則や意味にしたがって配置されている、の2点としている。密教系の絵画でも、仏像1体だけを表したものは「曼陀羅」とは呼ばれない。

「曼陀羅」とは、複数の要素がある秩序のもとに組み合わされ、全体として何らかの宗教的世界観を表したものと要約できるとしている。

田保橋淳さんは1931年韓国ソウル市生まれ、1953年に金沢美術工芸大学美術科油彩専攻を卒業、東京教育大学(現筑波大学)教授の大智浩(おおとも・ひろし、1908-1974)に師事し、1957年に株式会社電通に入社、1969年から金沢美術工芸大学客員教授を兼務、1980年に電通第二クリエーティブ局長。

1991年に電通を退職、多摩美術大学教授(グラフィック学科長)、東京アートディレクタークラブ会員、日本グラフィックデザイナー協会会員、日本広告学会会員などを経て、2002年に多摩美術大学を退職し、現在、多摩美術大学名誉教授、金沢美術工芸大学名誉客員教授。

開場時間は10時30分から18時30分(最終日は17時)まで。入場は無料。