インド、1日6万台に減少、不安の中ホテル再開に向け準備(45)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2020年11月3日】10月17日付けの統計では、インド全土の感染者数は743万人(回復者652万人、死者11万3000人)だが、1日の感染者数が6万3371人と鈍化(アメリカの809万人、1日7万0451人より少ない)、先月末までとどまることを知らぬ勢いだった感染爆発にようやく歯止めがかかったようで、ほっとしている。

今は去ること32年前、新婚時代の初々しかった私と今は亡きインド人夫。海辺の古い洋館を借りて、日本人バックパッカー向けの民宿(「Hotel Love & Life」の前身、東インドのベンガル湾沿いの聖地プリー在)を開業、そのテラスで、旅行者によって撮影された貴重な一枚。

この分だと、世界ワーストを免れ、2位のポジションを維持できるかもしれない。同時に、当オディシャ州(Odisha)も減少傾向、総感染者数は26万人超だが、実質患者数は2万5000人ほど、死者は1100人超と、4600万人という人口比率から言えば、日本と比べても、極少だ。

ピーク時は4~5%の勢いで急増していたのが、0.8%と急減、PCR検査は既に400万回行われており、10分の1程度の州民が受けた計算になり、日本と比べても、格段に多い。

これを受けて、当ホテルに避難中だった甥一家も昨夜、4キロ離れた住み慣れた我が家に帰っていった。

同時に7カ月近く休業を強いられた当ホテルも、客用の消毒薬や体温計などのサニタイザーを買いに走らせたり、徹底清掃させるなど、営業再開に向けて着々と準備を進めつつある。周辺のホテルや「小店」はほぼ開業、来たるお祭りに向けて準備万端だ。

2012年12月、ウダイプールの湖に浮かぶ宮殿ホテル・レイクパレス(当時で1泊46000円の超有名高級ホテル)をバックに結婚歴24年目の私と亡き夫。2人とも年相応に変貌し、スリムだった夫は肥えて腹がせり出し、手には吸いかけの煙草が。片時もシガーを手離せぬニコチン中毒ぶりが7年後、命取りになった。

感染リスクなどの一抹の不安はあるものの、同業他社がこぞって開業体制、遅れを取らぬよう、半年以上も閉め切ったままのレセプションオフィスを一両日中に開けるつもりだ。

●身辺こぼれ話/故竹内結子の映画鑑賞2

先月下旬自殺した竹内結子(たけうち・ゆうこ、1980-2020年9月27日)の映画レビュー第2弾をお届けする。「黄泉がえり」(2003年東宝配給、梶尾真治=かじお・しんじ=原作)を観たが、個人的な嗜好から言うと、「ストロベリーナイト」よりよかった。

「亡くなった大切な家族や恋人が蘇る」というテーマが、昨秋夫を亡くした私の心情にぴたりと来たせいかもしれない。その前に、同じ故人主演の「いま、会いにゆきます」(2004年東宝、市川拓司=いちかわ・たくじ=原作)の抄訳版を観ていたが、こちらも、幼い男児を遺して逝った愛妻が、6週間だけ蘇るというお話。

「黄泉がえり」の死人たちも結局は、消えてゆくのだが、竹内演じるヒロインが終盤まで実在していると思わせる演出が心憎い。実は、彼女自身も、黄泉がえりで、心を寄せていた男友達に会いに来た、というオチ。

黄泉がえりとわかって消えたあとのお葬式シーンでは、黒縁の遺影が画面に映るのも、17年後の自死を思うと、不吉な符合で感慨深い。

コンビ役の新聞記者を演じる草なぎ剛(くさなぎ・つよし)も、なかなかいい。ただ記者という役作りには、失敗している。全編通して役所勤めかと思ったくらい、記者らしくない記者だ。とはいえ、人間を演じるという意味では、そこそこ見せるが。

余談だが、「SMAP(スマップ)」のメンバーは、木村拓哉(きむら・たくや)はいうまでもなく、達者な役者揃いて、中居正広(なかい・まさひろ)も、「白い影」(2001年、TBSドラマ)で熱演していた。

歌手上がりで、本当にうまい俳優がいるもんだ。一芸に秀でる者は多芸に通ずというが、歌手と俳優は同じ芸能ジャンルだけに、歌がうまければ、演技もそれなりにうまい、ということになるのかもしれない。

本題に帰ると、私事で恐縮だが、夫が急死して11カ月近くになる私とて、例外でなく、いまだに夫が生き返って欲しいと思うことがよくある。

6週間などと、贅沢なことは言わない、1日、1時間でもいい、蘇ってくれたら、謝罪と感謝の気持ちを伝えたいのだ。夢の中でなく、向き合って、実在する肉体を、肉声を直に感じて、心からごめんなさいとありがとうを伝えたいのだ。

かけがえのない人を亡くした、深い喪失感は、同じところに旅立つまで癒されないのかもしれない。懐かしむだけの、想い出の人になって欲しくないとごねながら、偲ぶことしか叶わない懐旧の人になってしまったことが口惜しく哀しい。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、感染していません。

また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人超と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長し、5月1日に17日まで再延長、17日に5月31日まで延長し、31日をもって解除しました。これにより延べ67日間となりました。ただし、5月4日から段階的に制限を緩和しています。

11月3日現在、インドの感染者数は822万9313人、死亡者数が12万2607人、回復者が754万4798人、アメリカに次いで2位になっています。アメリカの感染者数は920万6975人、死亡者数が23万0995人、回復者が363万0579人です。州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。

また、インドでは3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています)

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