インド、1日5万台と感染増鈍化、海岸で映画ロケも、ぶり返し懸念(46)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2020年11月10日】本日20日の統計では、インド全土の感染者数は760万人だが、1日の感染者数は5万5722人と、ここ数日の6万~7万人台から5万人台まで減少した。先月末まで連日9万人超と、10万人の大台を目前にしていたことを考えると、ほぼ半減ということで、喜ばしい。死者数は、11万5000人だが、1日の増加数が579人とこちらも半減、希望が持てる現状だ。

現地に特有のトタン造りの屋台店。噛み煙草のパケットやミネラルウォーター、ビスケットなどが売られている。文字通りの零細店だが、コロナに負けずにオープン、生活がかかっているから、必死だ。

といっても、東インドでは盛大に祝われるプジャ(Puja)大祭目前で、この期間中、ソーシャル・ディスタンスを守らない人が続出し、密になりがちな事態が予想されることから、ぶり返しが懸念されている。インドのネックは、祭と宗教集会、冬の第2波より懸念されるところだ。

12月の冬季シーズンは、インドでも気温が下がり、寒めになるが、日本やヨーロッパほどではない。北インドの山間地は厳寒だが、南は常夏といっていいほど、暖かなところが多いのだ。

さて、当オディシャ州(Odisha)でも、総感染者数は27万人とアップしたが(実質患者数2万3000人、死者数1152人)、1日の感染者数が2カ月ぶりに2000人を下回り、一時期4300人台まで急上昇したことを考えると、半減してうれしい。

ただ、17日から全土ナブラトリ(Navratri、四季ごとに行われれる9夜祭で秋が盛大、菜食に精進する)と言われる9日間のお祭りが始まったことで、州都のバー・レストランで人数制限以上のパーティーを開いたり、寺院で制限数以上の集会が催されたりと、お上が取り締まりに乗り出すひと幕もあった。

退潮のベンガル海のひたひたのうしおにゴムサンダル履きの素足を浸すと、生温く、心地よかった。海がいつも以上に間近に感ぜられた。

実は、当ホテルも、近日中に再開を予定しているのだが、祭でぶり返し懸念のニュース情報を見ると、一抹の危惧を抱かないでもない。

おととい、浜に出ると、久々に多めの人々が群れており、9夜祭に合わせて州内から車で出てきたローカルツーリストの姿が目立った。

地元の子供達がクリケットに興じているのはいつものことだが、歩を進めると、20数人が群れて密になっている場があり、なんだろうと、ソーシャル・ディスタンスを取りながら、輪の中央を遠目に覗いてみると、真紅のロングドレスで着飾った地元女優が、演技の最中だった。現地語オリヤ(Oriya)映画のロケである。

これまでも、何度も遭遇してきたロケ現場だが、コロナ禍来、久しく見なかったもので、徐々にノーマルに戻りつつあるのだなと、実感した。ロケ隊は、背後の三ツ星ホテルに泊まっているもののようだ。

カメラが回り、アクションの呼び声に、駆け出すヒロイン、ベージュ一色の砂浜に、女優の引きずる長く真っ赤なドレスの裾が鮮やかに目を惹き、コロナ禍で鬱々とした気分も吹き飛ぶようだった。

帰途、周辺のホテルやレストランも偵察したが、ほぼオープン、いよいようちもとの思いを新たにした。

●身辺こぼれ話/故竹内結子のドラマレビュー

9月27日自ら命を絶った人気女優、竹内結子(たけうち・ゆうこ、1980-2020年9月27日)の映画レビューを前2回で、お届けしたが、最終回は、だいぶ前に観た、故人主演のドラマ動画のレビューで締めくくりたい。

コメディタッチの日本ドラマを探していて、偶然見つけたのが、「ランチの女王」(2002年7月から9月、フジテレビ系)だった。なんか面白そうだなと観出して、ハマってしまって、計12回トラマを3日で一気観、楽しませてもらった。

1987年、インド移住した私は、ドラマのヒロインを演じる女優について、知らなかったが、可愛くて印象に残ったため、冒頭に流れる出演者のテロップをチェックして、竹内結子とわかったわけだ。

若い頃の作品で、ショートカットの竹内はキュートだ。ストーリーはネタバレになるので、ここには詳しく記さないが、彼女がオムライスを一口食べるシーンが強い印象に残っている。

ウェイトレスをしながら、ランチタイムに外で美味しい昼食を食べることを生き甲斐にしているヒロインが美味なオムライスに出会ったときの幸福、ひと口頬張って本当に幸せそうな笑みをこぼすのだ。

演技とはいえ、地もちらりと覗いて、ふっくらとしたハッピーそのものの笑みを漏らしていた当人が後年自殺に走るとは、残念でならない。

ヒーローの1人である江口洋介(えぐち・ようすけ、洋食屋の次男坊役)との、間違って互いの唇がドッキングしてしまったシーンには、笑い転げた。

「東京ラブストーリー」(1991年1月から3月、フジテレビ系)のまだ若くてストレート・ロングヘアの江口も素敵だったが、30代半ばの彼も、味があってなかなか、ヒロインと結ばれるラストにはならなかったが、ハッピーエンドで、とても楽しい、心がほっこりするホーム・ラブコメディだった。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、感染していません。

また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人超と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長し、5月1日に17日まで再延長、17日に5月31日まで延長し、31日をもって解除しました。これにより延べ67日間となりました。ただし、5月4日から段階的に制限を緩和しています。

10月23日現在、インドの感染者数は770万6946人、死亡者数が11万6616人、回復者が687万4518人、アメリカに次いで2位になっています。アメリカの感染者数は840万7702人、死亡者数が22万3032人、回復者が335万3056人です。州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。

また、インドでは3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています)