中央の百貨店10月、日本橋2店増、大丸と銀座2店は減も減少幅は縮小

【銀座新聞ニュース=2020年11月3日】中央区とその周辺の主要百貨店の10月売上高(速報値、店頭ベース)は、日本橋三越、日本橋高島屋がプラスとなる一方で、大丸東京店、、銀座三越、松屋銀座店はマイナスだった。

10月の売上高で13カ月ぶりにプラスに転じた日本橋三越。宝飾、時計など高額品の購買意欲が高いという。

10月は前年10月の消費増税後の需要減の反動と、「大都市圏の店舗を中心にラグジュアリーブランドや宝飾、時計などの高額品が堅調に推移した」(三越伊勢丹ホールディングス)という。マイナスだった大丸東京店、、銀座三越、松屋銀座店ともマイナス幅は縮小している。

また、各店とも訪日外国人観光客売上高(インバウンド、免税売上高)は依然として厳しい状況が続いている。

三越伊勢丹ホールディングスの日本橋三越(中央区日本橋室町1-4-1、03-3241-3311)は前年同月比4.2%増(8月速報値36.1%減、確定値35.1%減、小型店舗と恵比寿三越、ソリューション統括部を含む、確定値ベースでの店舗別売上額は2019年5月から未公表)と店頭ベースでは13カ月ぶりに前年を上回った。

一方、銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は同26.9%減(同速報値47.8%減、確定値47.8%減、但し空港型免税店の売り上げを除く)と9カ月続けてマイナスとなった。

三越伊勢丹ホールディングスでは、伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では、ロイヤリティの高いお客を中心に宝飾、時計など高額品への購買意欲が高く、客単価は前年を大きく超えている。また、家の中で過ごす時間を充実させたいニーズの高まりを受けて、クリスマスケーキやおせちの予約販売は好調な滑り出しを見せているという。

ただ、訪日外国人観光客売上高は、引き続き低調で、前年の外国人観光客売上高シェアが高い大都市圏の店舗では、その大幅マイナスが前年の売り上げに届かない大きな要因となっている。

日本橋高島屋(中央区日本橋2-4-1、03-3211-4111)は同17.6%増(同速報値41.7%減、確定値41.2%減)と9カ月ぶりにプラスとなった。

外出を控える動きは引き続き継続している一方で、昨年の消費増税の駆け込み需要の反動があった影響などにより、全店では前年を上回った。

訪日外国人観光客売上高は前年比92.7%減、外国人観光客売上高を除いた店頭売り上げは同9.3%増だった。2018年10月比では店頭売り上げは18.9%減(既存店計17.5%減)、訪日外国人観光客売上高を除いた店頭売り上げは12.5%減(同10.9%減)となっている。

商品別売上高(15店舗ベース)については、特選衣料雑貨、宝飾品、リビングなどが前年実績を上回ったが、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、食料品などはマイナスだった。9月は全商品がマイナスだった。

J.フロントリテーリングの大丸東京店(千代田区丸の内1-9-1、03-3212-8011)は同24.2%減(同速報値50.1%減、確定50.0%減)と昨年10月の消費税増税以降、13カ月続けて前年を下回った。

前年10月に消費増税直後の買い控えがあったことの反動や外商顧客向け催事の強化などによりラグジュアリーブランドが前年比2割増、美術、和服、宝飾品が同4割増となったものの、コロナ禍における外出自粛や訪日外国人観光客売上高の大幅マイナスの影響を受け、わずかに前年実績を下回ったとしている。

訪日外国人観光客売上高(速報値)は前年比97.4%減(客数同99.6%減、客単価同646.1%増)となっている。大丸松坂屋百貨店合計の国内売上高(訪日外国人観光客売上高の本年・前年実績を除く)は同7.4%増(前々年比17.0%減)だった。

J.フロントリテーリングでは2017年4月から「不動産事業」を独立させて、確定ベースで伸び率を公表しており(速報値ベースは未公表)、9月の「ギンザ シックス(GINZA SIX)」や「上野フロンティアタワー」などの家賃収入は同7.8%減だった。不動産事業がマイナスとなるのは、7カ月連続となる。

松屋銀座店(中央区銀座3-6-1、03-3567-1211)は同13.2%減(同速報値37.9%減、確定37.9%減、4月は5月の確定値段階で91.4%減と公表)と9カ月続けてマイナスとなった。

10月は、前年10月の消費税増税後の落ち込み、台風19号に伴う臨時休業などの一方で、「国慶節を皮切りに、活況を呈していた訪日外国人観光客売上高」などの諸条件が対比となり、売上高は前年に対してマイナスとなった。

ただ、全体としては、ゴートゥ(Go To)トラベルなどの各種施策で銀座へ訪れるお客が10月初めから増加し、海外ラグジュアリーブランドへのニーズの高さ(訪日外国人観光客売上高を除く売上高前年比85%増)や、クリスマス限定商品の展開が好調な化粧品(同5%増)などが牽引し、訪日外国人観光客売上高を除く売上高は前年に対してふた桁増となるなど、多くのカテゴリーにおいて国内客の回復が見られたとしている。

また、外商においても、テレビ通販や特注などの新規開拓の物件が寄与し、法人営業部では前年に対し売上高が4倍の伸びを示している。一方で、婦人、紳士ともに衣料品の動きは弱いという。

日本百貨店協会(中央区日本橋2-1-10、03-3272-1666)によると、国内73社196店舗(総従業員6万0376人)の9月売上高(店舗調整後)は前年同月比33.6%減の3340億4842万円で、12カ月続けてのマイナスとなった。

9月は、昨年の10月の消費増税前の駆込み需要(23.1%増)の反動と、新型コロナウイルスによる外出自粛に加え、一部地域では台風などの悪天候による休業、時短営業などが影響したとしている。

その一方で、各社が実施した会員優待施策や、徹底した感染予防策の下で再開した物産展などが奏功し、入店客数が復調傾向を示すなど、コロナ禍の中にあって持ち直しの動きも見られたという。このため、消費増税要因を除く2018年の対比では18.7%減だった。

地区別では、大都市(10都市)が35.5%減、地方(10都市以外の地区)は28.4%減と、その差(7.1ポイント)は、8月(14.9ポイント)からは大きく縮小した。

顧客別では、国内市場は30.5%減(12カ月連続、シェア99.4%)、訪日外国人観光客売上高(インバウンド)は入国制限の継続により91.6%減(21.2億円、8カ月連続、シェア0.6%)となった。

商品別では、駆込み需要で前年が高伸した雑貨や身のまわり品は苦戦したが、影響の少なかった食料品は比較的堅調という。また、「イエナカ」需要から少しぜいたくを楽しむ傾向も見受けられ、精肉や鮮魚、ワインや日本酒など酒類、家具、キッチン雑貨なども動いた。

衣料品は、プロパー品の生産調整や納期遅れ、リモートワーク継続によるビジネス関連の苦戦など厳しい状況が続くが、月後半の気温低下から一部秋物衣料や服飾雑貨に動きが見られたという。EC売り上げはふた桁の伸びを示す店舗も多く、引き続き好調としている。各社ではオンライン展開商材の拡充に加え、ECと店頭との連動策、SNSのライブ配信やウエブ接客など、さまざまな取り組みを積極的に進めているとしている。

全国の百貨店の9月の営業日数は前年より0.2日減の29.7日、107店舗の回答によると、入店客は1店が増え、98店が減ったとし、65店舗の回答によると9月の歳時記(敬老の日、彼岸)の売り上げについては3店が増え、52店が減ったとしている。

東京地区(12社25店)の9月の売上高(店舗調整後)は同35.0%減の930億3135万円と12カ月続けてのマイナスとなった。

国内89店舗の訪日外国人観光客需要の9月の売上高は同91.6%減の約21億2000万円と8カ月続けてマイナスとなり、国内の百貨店に占めるシェアが0.6%としている。

このうち、一般物品売上高は同89.3%減の約13億3000万円で、8カ月続けて前年を下回った。化粧品や食料品などの消耗品売上高が同89.3%減の13億3000万円、購買客数が同98.6%減の約5000人と8カ月続けてマイナスとなり、1人あたりの購買単価が同487.2%増の38万6000円で、10カ月続けて前年を上回った。

人気のあった商品は1位が化粧品(2018年1月から2020年8月まで1位)、2位にハイエンドブランド(2018年1月から2019年4月まで2位、5月3位、6月から2020年8月まで2位)で16カ月連続で2位、3位が婦人服飾雑貨(2018年1月3位、2月4位、3月3位、4月5位、5月3位、6月から2019年7月まで4位、8月3位、9月から5月まで4位、6月から8月3位)で、4カ月続けて3位だった。

3位が食料品(3月、4月は6位以下、5月4位、6月6位以下、7月と8月4位)で、ワンランク上がった。5位が婦人服・用品(2020年1月から2月5位、3月6位以下、4月5位、5月3位、6月4位、7月と8月5位)で3カ月連続だった。

免税手続きカウンターの来店国別順位は1位が中国本土(2018年1月から2020年8月まで1位)、2位は台湾(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から2019年1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と2020年1月3位、2月2位、3月4位、4月3位、5月から8月2位)で、5カ月連続だった。

3位はマレーシア(2018年1月から1月まで7位、3月に6位、4月、5月5位、6月と7月4位、8月3位)で、2カ月連続だった。4位はタイ(2018年1月から10月5位、11月と12月6位、2019年1月から8月5位、9月6位、10月から2月まで5位、3月7位、4月から7月6位、8月7位)で、8月の7位から順位を大幅に上げた。

5位は香港(2018年1月と2月3位、3月4位、4月3位、5月から1月4位、2月3位、3月から6月4位、7月3位、8月4位、9月から11月2位、12月と1月2位、2月3位、3月2位、4月、5月4位、6月5位、7月3位、8月5位)が2カ月連続だった。

6位は韓国(2018年1月4位、2月から6月2位、7月3位、8月から10月2位、11月から2019年1月まで3位、2月から6月2位、7月4位、8月2位、9月から2月まで4位、3月3位、4月2位、5月3位、6月3位、7月と8月4位)で、6位にまで下げた。7位はシンガポール(2018年1月から10月6位、11月と12月5位、2019年1月から8月6位、9月5位、10月から2月まで6位、3月5位、4月から7月7位、8月6位)で、順位を下げた。