丸善丸の内で酒井駒子「梨の子ペリーナ」原画展

【銀座新聞ニュース=2020年11月4日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ内、03-5288-8881)は11月27日まで3階児童書売り場壁面ギャラリーで酒井駒子さんによる「梨の子ペリーナ」の原画展を開いている。

丸善・丸の内本店で11月27日まで開かれている酒井駒子さんの「梨の子ペリーナ」原画展に展示される絵本の表紙。

絵本作家の酒井駒子(さかい・こまこ)さんがイラストを担当した、イタリアの作家、イタロ・カルヴィーノ(Italo Calvino、1923-1985)の児童文学「梨の子ペリーナ:イタリアのむかしばなし」 (世界のむかしばなし絵本シリーズ、翻訳は関口英子=せきぐち・えいこ=さん、BL出版、税別1600円)が9月10日に刊行されたのを記念して原画展を開いている。

「梨の子ペリーナ:イタリアのむかしばなし」は古くからイタリアに伝わるという物語で、イタロ・カルヴィーノがまとめた。内容は王さまに納める梨が足りないからと、父にかごに入れられ、一人宮殿にまでやってきた女の子ペリーナ。ペリーナは賢い子どもだったので、召使として仕事をてきぱきこなし、誰からも好かれ、同じ年頃の王子さまとも、すぐに仲良しになった。

ところが、「ペリーナが魔女の宝物をとってこられると自慢している」という、ありもしない噂が流れ、王さまは彼女に「宝物を持ってかえるまで中には入れない」と命令されてしまう。ペリーナは、一晩、梨の木の上で眠り、魔女の宝物を探しに歩きはじめた。

髪の毛をむしる3人の女、襲いかかろうとする3頭の番犬、血のように赤い水が流れる川、などが登場する場面が大変で、その中でもペリーナは、言いつけを守りながら難所を突破し、知らぬうちに出会ったものたちの苦しみをも解放してしまい、宝箱を手に入れた後の帰り道では、逆に助けられて無事に宮殿までたどり着く。最後は王子さまの機転で、2人は将来、仲良く結ばれることになるという話だ。

酒井駒子さんは1966年兵庫県生まれ、東京芸術大学美術学部油絵科を卒業、和物テキスタイルのデザイナーを経て、講談社絵本新人賞で佳作に選ばれ、1998年に絵本作家としてデビュー、2004年に「きつねのかみさま」(文章はあまんきみこさん)で日本絵本賞を受賞した。

2005年に「金曜日の砂糖ちゃん」でブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌賞、2006年に「ぼく おかあさんのこと・・・」でフランスの「ピチュー(PITCHOU)賞」、オランダの「銀の石筆賞」、2008年に「くまとやまねこ」で第40回講談社出版文化賞を受賞している。2006年4月から2012年3月まで福音館書店の雑誌「母の友」の表紙を担当した。

開場時間は9時から21時(最終日は19時)まで。