丸善日本橋で岡英司「黒柿の木芸作品」展、安食ひろとのコラボも

【銀座新聞ニュース=2021年1月20日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は1月20日から26日まで3階ギャラリーで「出雲黒柿と暮らしの木工 おかや木芸作品展」を開いている。

丸善・日本橋店で1月20日から26日まで開かれる「出雲黒柿と暮らしの木工 おかや木芸作品展」に出品される作品。

「株式会社おかや」(島根県出雲市斐川町直江4844-1、0853-72-0538)が黒柿(くろがき)の木材を使った家具の「出雲黒柿(いずもくろがき)」をはじめ、栗、けやき、トチ、ナラ、桜などの素材を使い、卓と卓上の作品を中心に展示販売している。

また、今回は出雲の陶芸家、安食ひろさんとのコラボレーションで生まれた「黒柿立礼卓」なども展示している。

「おかや」によると、樹齢数百年を越える柿の古木のうち、ごく稀に黒色の紋様があらわれることがあり、この紋様があらわれた柿を「黒柿」と呼ぶ。柿材は硬く、密度が高いため、加工が難しい材料で、黒柿は黒い部分と白い部分で収縮率が異なるため、乾燥の途中で多くが割れてしまう。取り扱いの難しい木材だが、磨くほどに滑らかな木肌になり、美しい艶が出るという。

同じく出品される安食ひろさんの作品。

おかやは5代目経営者の岡英司さんを中心に7人の職人が創作し、国産の生材を乾燥させ、収縮、変形に強い乾燥材にして、木取りし、製品として加工している。1987年に島根県卓越伝統技能者として表彰されており、島根県出雲地方に伝わる伝統的な技法を基礎にした「おかや木芸」として黒柿を使った家具や栗の木を使った「栗乃舎(くりのや)」ブランドの家具などを制作販売している。

おかやは1952年に「岡屋材木店」として創業され、1961年に3代目岡恵吉(おか・けいきち)、4代目岡慶吉郎(おか・けいきちろう)が職人を指導し、木芸品の制作をはじめ、1970年に原木から素材管理、ろくろ、指物、くり物、漆までの一貫した工程において手仕事を維持すべく、工芸制作に専門化し「おかや木芸」を使用している。

1980年に5代目岡英司さんが創作木芸を標榜し、制作活動をはじめ、1982年に「(有)おかや木芸」を設立、1985年に「クラフトショップ工芸おかや」を開店、ギャラリーを併設し、現代作家の個展、クラフトの企画展などをはじめ、1986年に日本クラフト展に初入選、1987年に島根県卓越伝統技能者として表彰され、島根県ふるさと伝統工芸品に「木芸品」として指定され、1994年に栗の手づくり家具を発表、1995年に山陰暮らしの工芸展奨励賞、斐川町卓越工芸品を表彰された。

2004年に今上天皇(現上皇)に黒柿拭漆硯箱を献上、2007年に旧店舗を再生し、「古民家ギャラリー栗乃舎」として再利用、2008年、2010年、2011年に島根県優秀技能者と表彰される。2011年から「栗乃舎」シリーズを発表、2012年に「出雲黒柿」シリーズを発表している。

安食ひろさんは1948年島根県平田市生まれ、1987年に田部美術館茶の湯造形展で大賞(1996年と2003年に奨励賞、2000年に優秀賞)、1996年に淡交ビエンナーレで特別賞(1998年に奨励賞)、2005年にインドにて茶会と個展、アメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館に作品を収蔵、2006年に新潟県長岡市の「ぎゃらりい栗本」で個展(2009年、2011年、2014年、2017年、2020年も)、2008年に隠居宣言、2011年に新潟県小千谷市の「習静庵」で茶会(2016年、2019年も)を開いている。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は17時)まで。