銀座三越で中島潔「デジタル版画」展、童画など

【銀座新聞ニュース=2021年2月16日】国内最大手の百貨店グループ、三越伊勢丹ホールディングス(新宿区新宿5-16-10)傘下の三越伊勢丹(新宿区新宿3-14-1)が運営する銀座三越(中央区銀座4-6-16、03-3562-1111)は2月17日から23日まで本館7階ギャラリーで「新しい風-中島 潔 絵画展」を開く。

銀座三越で2月17日から23日まで開かれる「新しい風-中島 潔 絵画展」に出品される童画「春の風」((C)中島潔、レフグラフファイン版画、16万5000円税込)。

「風の画家」と呼ばれる日本画家の中島潔さんが最新作を含む直筆画と越前和紙を使用した「レフグラフファイン」版画約30点を展示販売する。中島潔さんの作品は「どこか懐かしく、日本人の心の中にある『ふるさと』の心象風景であり、世代を超えてみる方をその世界観に引き込む魅力を持つ」としている。

レフグラフファイン版画はデジタル処理による複製技術で、従来の版画技術では再現がむずかしい高度な色彩表現を可能にしている。越前和紙の特性を活かして、プリントデータを何層にも積み重ねるが、印刷の度数=層(レイヤー)を重ねることで、デジタル状の「版」を制作している。

越前和紙の表面には特殊な油薬を施し、紙特有の紙質や生成の色合いを持ち、色の領域による再現範囲やモノクロの階調性を高め、絵画の持つ微細な色調や奥深さを再現している。顔料インクも退色の原因となる空気中の光やオゾンに分解されにくく、高い耐光性と耐オゾン性を可能にし、保存性に優れ、プリントを長期間に渡って保つことができるとしている。

銀座三越で初めて個展を開く中島潔さん。

インクは高い耐水性を備え、水ににじみにくく、水がかかってもインクが溶けにくいという特質をもっている。「株式会社 アートカフェ」(中央区日本橋小舟町11-13、日本橋NYビル)が開発した。

中島潔さんは1943年満州(現奉天)生まれ、佐賀県育ちで、高校卒業後、伊豆下田の金鉱で温泉掘りとして働きながら、絵を独学、その後、上京して広告の世界に入り、アートディレクターとして活動し、1971年にフランス・パリにわたり、美術学校にもぐりで学び、1976年に独立し、絵画の制作に専念した。

1982年にNHK「みんなのうた」の中の「かんかんからす」のイメージ画が話題となり、同年に初の個展を開いた。1987年にボローニャ国際児童図書展でグラフィック賞を受賞、1990年に中国文化庁の招きで、海外初の個展を北京の故宮で開催、1998年に画業30年を記念して「源氏物語五十四帖」を発表した。

2003年にフランスにわたり、絵を制作、同年に「童画でつづる30年史」展を全国で開催、2010年に京都・清水寺成就院に「生命の無常と輝き」ふすま絵46枚を奉納、同年10月に佐賀新聞文化賞を受賞した。また、NHKが1996年に雑誌「ラジオ深夜便」を創刊(創刊時は季刊誌、1998年に隔月刊誌、2003年から月刊誌)して以来、現在まで表紙絵を描き続けている。2015年に京都の六道珍皇寺に「地獄心音図」の連作5枚を奉納している。

開場時間は10時から19時(最終日は18時)まで。会場で作品を購入すると、「直筆サイン色紙(落款入り)」をもらえる。