インド、北西地方で2波、緩む警戒感、ワクチン15カ国に供与(60)

【モハンティ三智江のインド発コロナ観戦記=2021年3月5日】2月24日現在、インド全土の感染者数は累計1100万人(死者数15万7000人)だが、新規数は1万3742人(回復数1万4034人)と、全体で見ると、減少傾向を維持している。

わが初代のヨガインストラクター、ビティカ先生が難ポーズを披露。国際競技会で4位に輝いた経歴を持つ。

ただし、ここ数日ワースト1位のマハラシュトラ州(Maharashtra、人口1億1400万人、累計211万人)の新規数が2000人台から4000人台と倍増、さらにこの2日で5000~6000人台(本日6218人)と3倍増、レッドゾーンのアムラバティ地区(Amravati、ほか5地方含む)で1週間の再ロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされている。

ナグプール(Nagpur、州都ムンバイ=Mumbai=から858キロ)では、ホテル・レストランの週末休業要請や集会禁止に3月7日までの休校、プーネ(Pune、州都ムンバイから149キロ)は休校と夜間外出禁止令が2月28日まで、アウランガバード(Aurangabad、州都ムンバイから361キ)は3月7日まで夜間外出禁止令が敷かれている。

第3波中の南部ケララ州(Kerala、ワースト2位、人口3463万人、累計104万人)も依然新規4037人と多く、ほかにマディヤプラデシュ(Madhya Pradesh、43%増)、パンジャブ(Punjab、31%増)、ジャンムー・カシミール(Jammu and Kashmir、22%増)、チャティスガール(Chhattisgarh、13%増)、ハリヤーナ(Haryana、11%増)が第2波中で、首都デリー(Delhi、人口1939万人、新規145人で4.3%増、累計63万8000人、実質1万2000人、死者1万0903人)は過去2度ぶり返しがあったことから、これらの地方からの入域には、最大限の警戒を示し、陰性証明を義務付けた。

ビティカ先生は既に結婚、子どもも生まれ、今は中学生にヨガを教えていると、風の便りに聞いた。2月から、息子も男性インストラクター、マノジョ先生(国内競技会でチャンピオン歴)について、本格ヨガを習い始めた。

なお、懸念される変異株は、マハラシュトラ、ケララ、テランガナ州(Telangana)で、英国種が187例、南ア種が6例、ほか1例が見つかっており、中央政府は警戒を強め、これらの地域に調査班を送り、さらなるワクチン促進を進めている。

バルダン(Harsh Vardhan)保健相がコロナ抑制宣言をして、ひと月とたたないうちの限定地域でのぶり返しには、人々のルール破り、マスク着用への厭悪、ソーシャル・ディスタンスを守らないことなどが大いに関与しているようた

全土に3日先駆けてロックダウンに走った厳格州、東部の当オディシャ(Odisha、累計37万7000人、新規62人、実質625人、死者1914人)も強い警戒を露わにし、州政府はマスク着用や、ソーシャル・ディスタンスの遵守、多人数の集会禁止の規制強化に乗り出した。

一方、中央政府は2月22日、変異種を警戒して、英国、ブラジル、南アのみならず、すべての海外からの入国者に、出発72時間前のオンラインによる陰性証明提出を義務付けた。

すでにお伝えしたように、当地では、人々の顔からマスクが消えており、マスク派は僅少、緩みっぱなしの昨今であったが、これを受けて警戒感が今少し強まってほしいと願うばかりだ。しばらく鳴りを潜めていたコロナ猛毒蛇が鎌首をもたげないよう、各自の強い警戒が肝要だ。

なお、1月16日にインド全土で始まった、ワクチン接種回数は、現時点で1088万回超に達し、3月1日から60歳以上の高齢者と、45歳以上の基礎疾患のある人々への接種が1万カ所の保健所と、2万カ所の民間病院で開始される。

インド製のワクチンはすでに15カ国に供与されているが、コスト安のことからさらに25カ国が提供を求めて目白押し、中には、直接インドの製薬会社と交渉を進めている国もあるとのことだ。

「世界の薬局」を誇るモディ(Narendra Modi)首相は、ワクチン生産能力の高さを梃子に、IT大国としてのリーダーに立ったように、頭角を現すことを目指している。近隣諸国とのワクチン効果のデータ共有も併せて、提唱された。

〇極私的動画レビュアー/ドラマ「誘惑」

往年のテレビドラマに暇さえあれば、耽溺する日々だが、割と好きな俳優だった林隆三(1943-2014、歌とピアノも玄人はだし)が、篠ひろ子と組んだドラマ「誘惑」(1990年、TBS金曜ドラマ、全12回)を見た。

一部アップされていた以前に見て、舞台のひとつが金沢になっていたこともあり、全編見たいなと思っていたら、つい最近ロードされたのだ。

原作(「飾り火」)が連城三紀彦(1948-2013)だけに、一風変わったアングルの恋愛物で、ヌーボーとした得体の知れない中年男(林隆三)、外見だけ見ると、美しい妻(篠ひろ子)と2人の大きな子どもに恵まれ(1人は吉田栄作)、仕事も順調、やり手の部長として活躍し、公私共に順風満帆だが、奥深いところに、破壊欲が潜んでいるという不気味な人物設定、出張の帰途、列車で謎めいた若い女(紺野美沙子)と隣り合わせたことで、運命が転回し始める。

紺野美沙子は初の悪女役に挑戦とかで、バックヌードも披露、清楚なイメージを払拭すべく熱演、終盤復讐の鬼と化す怖いヒロインを貫禄で演じる篠ひろ子に対抗している。

林隆三ファンの私が気になった見慣れぬ若い男優がいて、夫の差し金で妻を誘惑する一回り年下の青年役を演じているのだが、出演者テロップには宇都宮隆とあった。長身で外車を乗り回すスマートさに加え、母性本能をくすぐる少年のようなナイーブさも備え、ハマり役、若い頃面食いだった私の超好みでときめいた(林隆三さん、浮気してごめんなさい)。

さらに調べてみると、1980年代から1990年代に一世を風靡した3人ユニットのバンド「TM NETWORK(うち1人は小室哲哉)」のボーカル、愛称ウツとわかった。バンド解散後、2年間だけ俳優活動をしていたらしく、本作が2作目の出演だった。

演技は未熟なのだが、年上の女をそそる魅力にあふれており、12歳も年下の可愛くひたむきな青年が真剣にプロポーズしてくれているのに(ミイラ取りがミイラになった)、惜しげもなく蹴って結局は古亭主を許すヒロインに、ああ、もったいないと地団駄踏んでしまった。

蛇足ながら、ウツのミュージック動画はいくつもアップされており、中でも「少年」は超お薦め。歌詞がまさに彼のイメージぴったりで、その後ソロ活動専念に移行するわけだが、俳優業も続けていれば、なかなかいい線いったのではないかと思うので、残念だ。

(「インド発コロナ観戦記」は「観戦(感染)記」という意味で、インドに在住する作家で「ホテル・ラブ&ライフ」を経営しているモハンティ三智江さんが現地の新型コロナウイルスの実情について書いており、随時、掲載します。モハンティ三智江さんは福井県福井市生まれ、1987年にインドに移住し、翌1988年に現地男性(2019年秋に病死)と結婚、その後ホテルをオープン、文筆業との二足のわらじで、著書に「お気をつけてよい旅を!」(双葉社)、「インド人には、ご用心!」(三五館)などを刊行しており、コロナウイルスには感染していません。

また、息子はラッパーとしては、インドを代表するスターです。13億人超と中国に次ぐ世界第2位の人口大国、インド政府は2020年3月24日に全28州と直轄領などを対象に、完全封鎖命令を発令し、25日0時から21日間、完全封鎖し、4月14日に5月3日まで延長し、5月1日に17日まで再延長、17日に5月31日まで延長し、31日をもって解除しました。これにより延べ67日間となりました。ただし、5月4日から段階的に制限を緩和しています。

2021年2月26日現在、世界の感染者数は1億1298万1257人、死亡者数が250万7271人、回復者が6371万9414人です。インドは感染者数が1104万6914人、死亡者数が15万6705人、回復者が1073万8501人、アメリカに次いで2位になっています。ちなみにアメリカの感染者数は2841万0902人、死亡者数が50万8114人(回復者は未公表)です。日本は感染者数が43万0165人、死亡者数が7759人、回復者が40万5916人(ダイヤモンド・プリンセス号を含む)。インドの州別の最新の数字の把握が難しく、著者の原稿のままを載せています。

また、インドでは2020年3月25日から4月14日までを「ロックダウン1.0」とし、4月14日から5月3日までを「ロックダウン2.0」、5月1日から17日までを「ロックダウン3.0」、18日から31日を「ロックダウン4.0」、6月1日から6月末まで「アンロックダウン(Unlockdown)1.0」、7月1日から「アンロックダウン2.0」と分類していますが、原稿では日本向けなので、すべてを「ロックダウン/アンロックダウン」と総称しています。

ただし、インド政府は5月30日に感染状況が深刻な封じ込めゾーンについては、6月30日までのロックダウンの延長を決め、著者が住むオディシャ州は独自に6月末までの延長を決め、その後も期限を決めずに延長しています。この政府の延長を「ロックダウン5.0」と分類しています)。