丸善日本橋で「樺細工」展、山桜の樹皮で日用品を制作

【銀座新聞ニュース=2021年3月7日】大手書籍販売グループの丸善CHIホールディングス(新宿区市谷左内町31-2)傘下の丸善ジュンク堂書店(中央区日本橋2-3-10)が運営する丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は3月10日から16日まで3階ギャラリー特設会場で「山桜の樹皮工芸 樺細工展」を開く。

丸善・日本橋店で3月10日から16日まで開かれる「山桜の樹皮工芸 樺細工展」に出品される樺細工品。

「角館工芸協同組合」(秋田県仙北市角館町外の山18、0187-53-2228)の協力のもと、1976年に伝統的工芸品として通産大臣(現経産大臣)の指定を受けた「樺細工(かばざいく、オオヤマザクラ、カスミザクラの山桜の樹皮)」の11人の伝統工芸士が制作した国内外で唯一無二の樹皮細工を展示販売する。

角館工芸協同組合や「伝統工芸青山スクエア」などによると、「樺細工」は天明年間(1781年から1789年)にかけて、佐竹北家の手判役、藤村彦六(ふじむら・ひころく)によって御処野家(現在の合川町鎌沢)から伝授され、秋田県北部の阿仁地方から角館に技法が伝えられたのが始まりとされ、佐竹北家の城主に手厚く保護を受けた樺細工は、下級武士の副業として広まった。明治時代に入ると、禄を失った武士が、収入を得るために本格的に取り組んだことで、今日の原型と言える作品が作られるようになった。

山桜類の樹皮を用いて作られるのに「樺細工」というのは、万葉集の山部赤人(やまべのあかひと、?-736?)の長歌に「山桜」を「かには(迦仁波)」と表現しており、これが後に「かば(樺)」に転化したとされている。

樺細工は代表的な製品として、茶筒、茶櫃等の茶道具類、文箱、茶だんす、ブローチ、タイピンなどがある。

角館工芸協同組合は1942年に「秋田県樺細工指導所」(1951年に「秋田県樺工芸指導所」に改称)を角館町に開設したのがはじまりで、1956年に「角館工芸協同組合」を設立(組合員数77人)、1973年に「べにやまざくら」の植栽が始まった。1974年に制定された「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」により、1976年2月26日に「樺細工」が伝統的工芸品として通産大臣の指定(第4次指定)を受け、角館工芸協同組合が指定産地組合とされる。

これに伴い、同年に「樺細工伝統工芸士認定事業」により、8人が伝統工芸士に認定され(1980年に3人、1984年に2人、1993年に3人、2000年に1人、2002年に3人、2008年に2人、、2017年に1人、現在11人)、1983年までの「第1次樺細工振興計画」を策定される(通産大臣が認定)。

1977年に通産省の伝統的工芸品産業技術保存研修事業補助金により、「樺細工伝承館」(秋田県仙北市角館町表町下丁10)が着工され(1978年に完成、開館)、1985年に「第2次樺細工振興計画」を策定(1989年まで)、1997年から2001年までの「第3次樺細工振興計画」を策定、2006年に仙北市事業として「山桜植栽林萌芽更新事業」が始まる。現在、組合員44人、樺細工伝統工芸士11人。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は15時)まで。