丸善丸の内で後藤仁展、サイン会も

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【銀座新聞ニュース=2014年3月11日】丸善・丸の内本店(千代田区丸の内1-6-4、丸の内オアゾ内、03-5288-8881)は3月12日から18日まで4階ギャラリーで後藤仁さんによる「絵本原画展-真実の美や心の豊かさを伝えたい」を開催する。

丸善・丸の内本店で3月12日から18日まで開催される後藤仁さんの「絵本原画展-真実の美や心の豊かさを伝えたい」に展示される「幸福の夜明け」(スコータイ、タイ、(C)後藤仁)。

丸善・丸の内本店で3月12日から18日まで開催される後藤仁さんの「絵本原画展-真実の美や心の豊かさを伝えたい」に展示される「幸福の夜明け」(スコータイ、タイ、(C)後藤仁)。

福音館書店(文京区本駒込6-6-3、03-3942-2151)が1952年に設立されて以来、2012年に創立60周年を迎えたのを記念して、2013年3月に国立民族学博物館名誉教授の君島久子(きみじま・ひさこ)さんの再話と日本やアジアの女性などを描いている後藤仁(ごとう・じん)さんの絵による「ながいかみのむすめ チャンファメイ」(390円)を刊行した。

また、1913年に岩波茂雄(いわなみ・しげお、1881-1946)が「古書店」として創業した岩波書店(千代田区一ツ橋2-5-5)が創業100周年を記念して、2013年11月15日に君島久子さんが文章、後藤仁さんが絵を手がけた絵本「犬になった王子 チベットの民話」(岩波書店、1800円)も刊行された。

さらに、画家の後藤仁さんが1983年に高校生時代に日本画をはじめてから30年経つことから、それらを記念して絵本原画46点と、美人画、風景、花、動物などの日本画、版画作品26点を展示する。

ウイキペディアによると、「ながいかみのむすめ チャンファメイ」は福音館書店が創立60周年の2012年度の月刊絵本「こどものとも」の最終号として創刊した絵本で、君島久子さんが過去に訳した「ひみつの泉」(「アジアの民話」に所収、1982年、講談社)を、本人が絵本用に書き直したものだ。物語は中国の少数民族・トン族に伝わる民話を元にしており、原話の題名は「長髪妹(チャンファメイ)」で、長い髪の娘を意味している。

後藤仁さんは話の採集地の中国の貴州省広西チワン族自治区を取材し、日本画の技法によって描いた。また、絵本を通して子供たちに、勇気、元気を届けたいと考えて、東北の学校や図書館などに800册以上を寄贈している。

物語は山に囲まれた貧しい村に住む長い髪の娘がある日、偶然不思議な泉を見つけるも、山神に泉のことを人に教えたら命はないと脅される。日照りで水不足の村のために、その泉のことを村人に教えたくて、その葛藤に娘は苦しむが、ある日、我慢できずに、村人に泉のことを教えてしまう。

一方、「犬になった王子 チベットの民話」は君島久子さんが過去に訳した「犬になった王子」(民話集「白いりゅう 黒いりゅう」所収、1964年、岩波書店)を、君島久子さん自ら絵本用に書き直した。

穀物のない国の勇敢で心の優しい王子が、美しくて思いやりのある娘ゴマンの愛によって救われ、苦難の旅を乗り越え、麦のタネを手に入れるまでを描く、壮大な冒険物語だ。宮崎駿(みやざき・はやお)さんの「シュナの旅」(徳間書店、後にスタジオジブリのアニメ映画「ゲド戦記」の原案となる)の原話にもなっている。

後藤仁さんは1968年兵庫県赤穂市生まれ、父方の祖父が指物大工、伯父が宮大工、からくり人形師という職人家系に生まれる。幼いころから水彩絵具による「空想画」や「創作マンガ」を描き、大阪市立工芸高校美術科を首席で卒業、東京芸術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業、在学時から「金唐革紙(きんからかわし、手製高級壁紙)」の復元制作をはじめ、以後約12年間に「入船山記念館」(広島県呉市)、「移情閣」(兵庫県神戸市)、「旧岩崎邸」(東京都台東区)などの国の重要文化財建造物の復元事業に携わった。

卒業後、大学時代の指導教授だった後藤純男(ごとう・すみお)さんに師事して、日本画家として制作活動に入る。当初は国内外の取材を元にして、プランバナン遺跡(インドネシア)などの古代遺跡や阿蘇山・斜里岳などの自然をテーマとした雄大な「風景画」を中心に描き、1998年頃から「アジアの美人画」をテーマに、アジアや日本の伝統文化、舞踊などを素材にした人物画を中心に描いている。

現在、金唐革紙制作の第一人者で、2006年より「金唐革紙保存会」を主宰している。「三渓日本画賞展2000」、「新生展」で入選、「北の大地展」で佳作、「F展」で大阪市立美術館館長奨励賞などを受賞している。

15日と16日の11位jから16時まで後藤仁さんによるサイン会を開く。

開場時間は9時から21時(最終日は17時)。入場は無料。