立川銀座で、熊谷尚子「染色」展、鉄と植物染料で染めた布等

【銀座新聞ニュース=2016年9月14日】立川ブラインド工業(港区三田3-1-12、03-5484-6100)の銀座ショールーム(中央区銀座8-8-15、03-3571-1373)地下1階「タチカワ銀座スペース オッテ(Atte)」は9月14日から25日まで熊谷尚子さんによる染色作品「小さな布」展を開いている。

立川ブラインドの銀座ショールームで9月14日から25日まで開かれる熊谷尚子さんの「小さな布」展に出品される鉄と植物染料を使った作品。

立川ブラインドの銀座ショールームで9月14日から25日まで開かれる熊谷尚子さんの「小さな布」展に出品される鉄と植物染料を使った作品。

染色家の熊谷尚子(くまがい・なおこ)さんが植物染料と独自の道具を使って絞り染めした作品を展示する。熊谷尚子さんは植物染料と独自の道具によってさまざまに絞り染めした小さな布(約30センチ×20センチ)を使って染色の世界を表現しており、鉄と植物染料の反応を生かし独自の絞り方で染めた作品10点、アンティークレースと絞り染めのコラージュした作品8点、小さな布から派生した小物やアクセサリー、着物、帯、和装小物などの作品も約20点を展示する。

ウイキペディアによると、植物染料(草木染め)は、合成染料(化学染料)を用いた染色に対して、天然染料を用いた染色を区別するために生じた呼称で、昆虫から得られるコチニールのような植物由来の染料でなくとも天然染料で染めること、または染めたものを草木染めという。タマネギや落花生の皮のような家庭で生ゴミになってしまうものも染料として使用されている点で家庭的な面がある。

同じく出品されるアンティークレースと絞り染めのコラージュ。

同じく出品されるアンティークレースと絞り染めのコラージュ。

作家の山崎斌(やまざき・あきら、1892-1972)が1930年12月に資生堂ギャラリーで行った「草木染信濃地織復興展覧会」が創始とされ、それまで植物を使用した染色に対して特定の呼称がなかったため、新たに考えられた呼称で、登録商標を申請し、1932年に受理されたため、すでに商標の期限は切れている。

主に植物の葉、茎、根、実などを煮だした液に繊維を浸し、20分程度加熱し、染まった色素を金属イオンと結合させて発色させる。金属イオンとの結合を「媒染(ばいせん)」といい、アルミニウム、銅、鉄分などを溶かした液に繊維を20分程度浸す。植物抽出液と媒染を繰り返すことで色素の繊維染着をよくし、染色濃度を上げられる。

草木染めは合成染色に比べて、品質が一定しない、濃く染めにくい、染色の時期が決まってくる、被染色物(染められたもの)の色が光や汗、果汁などに対して弱いものもある。こうした化学染料との違いは、工業的に量産という点では欠点だが、身近な材料で家庭でも手軽に染められることや、趣味や手工芸の分野では同じものができないことを魅力だと捉える人もおり、草木染めならではの面白さと受け止められている。

熊谷尚子さんは埼玉県生まれ、武蔵野服飾美術専門学校服飾デザイン科を卒業、パタンナーとして企業に勤務、退職後、2014年に京都造形芸術大学通信教育部染織コースを卒業、現在、自宅で作品を制作している。

開場時間は10時30分から18時(最終日は16時)まで。入場は無料。月曜日は休み。