丸善日本橋で愛知県立芸大出の河本真理、鈴木靖代、南里康太3人展

【銀座新聞ニュース=2016年9月25日】丸善・日本橋店(中央区日本橋2-3-10、03-6214-2001)は9月28日から10月4日まで3階ギャラリーで「花鳥風月を描く-河本真理・鈴木靖代・南里康太 俊英日本画家3人展」を開く。

丸善・日本橋店で9月28日から10月4日まで開かれる「花鳥風月を描く-河本真理・鈴木靖代・南里康太 俊英日本画家3人展」に出品される河本真理さんの「赤い実」。

丸善・日本橋店で9月28日から10月4日まで開かれる「花鳥風月を描く-河本真理・鈴木靖代・南里康太 俊英日本画家3人展」に出品される河本真理さんの「赤い実」。

愛知県立芸術大学出身で「院展」を舞台に活躍する河本真理(かわもと・まり)さん、鈴木靖代(すずき・やすよ)さん、南里康太(なんり・こうた)さんの若手実力派作家の3人展で、それぞれ伝統を継承しつつ新たな日本画を模索し創作しており、今回は新作40点を展示する。

また、今回3人が師事する院展同人、愛知県立芸術大学学長の松村公嗣(まつむら・こうじ)さんの月刊「文芸春秋」の表紙原画の一部を特別展示販売する。

公益社団法人「日本美術院」は1898年に岡倉天心(おかくら・てんしん、1863-1913)が東京美術学校を排斥されて学校長を辞職した際に、自主的に連座して辞職した横山大観(よこやま・たいかん、1868-1958)らが岡倉天心の計画する美術研究の構想に賛同し、同年7月に美術研究団体としての「日本美術院」を東京・谷中大泉寺(谷中初音町)にて結成したのがはじまりとされている(1952年に東京都の文化史蹟に指定され、現在、岡倉天心記念公園として岡倉天心先生旧宅趾・日本美術院発祥之地碑が建てられている)。

同じく鈴木靖代さんの「視線」。

同じく鈴木靖代さんの「視線」。

同年10月に落成開院した日本美術院は日本絵画協会と連合して「日本美術院展覧会(院展)」を開いた。以後、日本絵画協会と合同で春秋2回、絵画展覧会を開催するも、1900年秋季の展覧会が最盛期で、以後、資金の欠乏、院の内紛、綱紀の乱れなどが原因で徐々に沈滞するようになった。

1905年に茨城県・五浦海岸へ別荘(六角堂)を建設した岡倉天心は、1906年に第一部(絵画)と第二部(彫刻)を改組し、第一部を五浦海岸へ移転させるが、当時、岡倉天心はフェノロサ(Ernest Francisco Fenollosa、1853-1908)の紹介でボストン美術館中国・日本美術部に入っており、五浦とボストンを往復するうちに日本美術院への興味を失っていった。また、第二部は国宝修理も行うことから1914年に「美術院」と改称し、1965年に「財団法人美術院」となり、2013年に「公益財団法人美術院」となった。

1910年に岡倉天心がボストン美術館中国・日本美術部長として渡米すると、日本美術院は事実上の解散状態となった。1914年に文展(文部省美術展覧会)に不満を持つ横山大観や下村観山(しもむら・かんざん、1873-1930)らは、1913年に岡倉天心が没したことを契機に、その意志を引き継ぎ、谷中上三崎南町に研究所を建設し(現在公益財団法人「日本美術院」がある)、日本美術院を再興した。

同じく南里康太さんの「慈光」。

同じく南里康太さんの「慈光」。

現在、日本を代表する日本画の美術団体として活動を継続している。日本美術院には日本画のほかに洋画部(1920年9月に脱退)と彫刻部(のち「彫塑部」と改称し、1961年2月に解散)も加わったが、現在は日本画のみになっている。

日本美術院展覧会(院展)は、1914年10月に日本橋三越旧館で「日本美術院再興記念展覧会」を開き、これが現在、東京都美術館で9月に開催されている日本美術院展覧会(院展)の第1回展にあたり、1944年、1945年を除き、毎年秋に開催されてきた。

日本美術院展覧会を開催できなかった1945年11月に「日本美術院小品展覧会」が日本橋三越で開かれ、こちらは第2回展から毎年春に開催されることになり、1959年に「日本美術院春季展覧会」と改称され、1970年からは「春の院展」として現在まで毎年開かれている。1958年5月に日本美術院は財団法人化され、2011年4月に公益財団法人化され、2014年に再興100周年を迎えた。

河本真里さんは1990年愛知県生まれ、2014年に愛知県立芸術大学美術学部美術科日本画専攻を卒業、在学中の2013年に「再興第98回院展」で入選、2016年に愛知芸術大学大学院博士前期課程日本画領域を修了し、再興第101回院展の「第22回天心記念茨城賞」を受賞した。現在、同大学非常勤講師。

鈴木靖代さんは2014年に愛知県立芸術大学日本画科を卒業、在学中の2013年に「第68回春の院展」で初入選、2014年に「再興第99回院展」で入選、2015年に「第70回春の院展」で入選、2016年に同大学大学院を修了した。

南里康太さんは1985年佐賀県生まれ、2009年に愛知県立芸術大学日本画科を卒業、在学中の2007年に第90回佐賀美術協会展で美術協会賞、2011年に同大学大学院を修了、2012年に再興第97回院展で入選、2013年に佐賀県佐賀市で個展、愛知芸大俊英作家日本画展に参加、2015年に日本橋三越で個展、現在、日本美術院研究会員。

開場時間は9時30分から20時30分(最終日は17時)まで。入場は無料。