M84で藤田修展、版画?写真?

【銀座新聞ニュース=2016年10月21日】アートギャラリーエムハッシー(Art Gallery M84、中央区銀座4-11-3、ウインド銀座ビル5階、03-3248-8454)は10月24日から11月5日まで藤田修さんによる「select」を開く。

アートギャラリーエムハッシー(Art Gallery M84)で10月24日から11月5日まで開かれる藤田修さんの「セレクト(select)」に展示される作品。

アートギャラリーエムハッシー(Art Gallery M84)で10月24日から11月5日まで開かれる藤田修さんの「セレクト(select)」に展示される作品。

写真家の藤田修(ふじた・おさむ)さんは自ら撮影した画像データをリスフイルム(主に写真製版用に使われる白黒の写真フィルムで、普通のフィルムが被写体の色や明るさをさまざまな濃淡で表現できるが、リスフィルムは白か黒かしかないので、白いところはほぼ完全に透明になり、黒いところは太陽の光も通さないほど黒くなる)に変換し、それを感光性樹脂版に密着露光させ、いくつかの行程を経て凹版に仕上げている。完成した凹版に、銅版画と同じ行程で版にインクを詰め、エッチングプレス機で紙に刷りあげて完成させている。

藤田修さんは、「カメラのレンズを通して得る客観性を帯びたイメージを表現手段の一つとして選択し」ており、「レンズを通してみるイメージの断片化を再構成するという手法で新たなイメージの獲得に成功していり」という。

また、作品が持つモノとしての物質性に一貫してこだわっており、「物質性とは、紙に定着した深く黒いインクの物質的な存在感」のことで、2004年から感光性樹脂版を使った「フォトポリマーグラヴュール」と言う技法を使い始めて深まったとしている。単なる写真とも版画とも違う、見る人の心の中に沸き立つような感情を呼び覚ます作品となっている。今までの代表作品とモノクロームからなる新作約15点を展示する。

藤田修さんは1953年神奈川県横須賀市生まれ、1979年に多摩美術大学絵画科油彩画専攻を卒業、1985年に第2回カボ・フリオ国際版画ビエンナーレで名誉賞、1990年に第18回日本国際美術展でブリヂストン美術館賞、1992年に第21回現代日本美術展で国立国際美術館賞、1993年に第22回現代日本美術展和歌山県立近代美術館賞、1995年に第24回現代日本美術展で横浜美術館賞などを受賞している。

開場時間は10時30分から18時30分(最終日は17時)。入場は無料。日曜日が定休。