秋の銀座祭り、6流派、芸大が茶席、農産物頒布会、子供歌舞伎も

【銀座新聞ニュース=2016年10月25日】全銀座会(中央区銀座4-6-1、銀座三和ビル3階、03-3561-0919)は10月29日から11月3日まで銀座中央通りなどで「オータム・ギンザ(AUTUMN GINZA)2016」を開く。

11月3日に泰明小学校で公演する「新富座こども歌舞伎の会」の子どもたち。画像は過去に「鉄砲洲稲荷神社」の「節分祭」での公演風景。

11月3日に泰明小学校で公演する「新富座こども歌舞伎の会」の子どもたち。画像は過去に「鉄砲洲稲荷神社」の「節分祭」での公演風景。

銀座中央通りなどで茶会を開いたり、有楽町駅前で国産農産物チャリティー頒布会を開催したり、泰明小学校で新富座こども歌舞伎を催すなど、毎年恒例のさまざまなイベントが予定されている。

27日から31日まで銀座三越9階銀座テラスで「学生創作茶席」を開く。日本建築学会が主催する、日本建築学会建築文化週間・学生グランプリ2016「銀茶会の茶席」で学生による茶室のデザインを募集し、優秀作品を展示し、実際、茶席として使用する。

期間中、武者小路千家が29日13時30分と14時30分から茶席を開く。表千家が30日13時、13時30分、14時、14時30分、15時、15時30分の6回、茶席を開く。29日は12時30分と13時30分に、30日は12時に茶席券を配布する。

同じく過去に演じた「義経千本桜」の静御前。

同じく過去に演じた「義経千本桜」の静御前。

27日から11月3日まで銀座・伊東屋10階「ハンドシェイク・ラウンジ(HandShake Lounge)」で「東京芸大イン(in)銀茶会2016」を開く。芸大工芸科の教員と大学院生が作品を展示する。

29日11時から15時まで芸大茶道部による点前デモンストレーションを開く。30日13時から16時まで30分おきに芸大で制作した茶道具を使用して裏千家が薄茶席を開く。当日は1階で12時から茶席券を配布する。また、期間中の開場時間は10時から20時(休日は19時、最終日は16時)。

30日13時から16時まで銀座通り1丁目から8丁目で「千家」など茶道6流派が参加する「銀茶会」を開く。2016年で15回目となる茶会で、12時から茶席券を配布する。参加するのは表千家、裏千家、武者小路千家、江戸千家、遠州流茶道、和敬茶道倶楽部。

29日13時から銀座料理飲食業組合連合会(中央区銀座4-10-6、銀料ビル、03-3541-7856)が数寄屋橋公園(銀座5丁目)で、「おいしい国産農産物チャリティー頒布(はんぷ)会」を開く。北海道、宮城、山形、岩手、新潟、福井、長野、群馬、埼玉、茨城、岡山、鳥取、広島、高知、大分、熊本の16道県が野菜、果物、新米などの農産物をチャリティーとして出品し、100円以上寄付すればもらえる。約2000人に配布し、収益金は中央区社会福祉協議会に寄付する。

11月3日12時30分(1部)と14時30分(2部)から中央区立泰明小学校(中央区銀座5-1-13)の校庭特設舞台で、「新富座こども歌舞伎の会」(中央区新富1-17-10、03-3551-2893)が公演する。小学生が口上と「義経千本桜」の「吉野山」と、「白浪五人男(しらなみごにんおとこ)」の「稲瀬川勢揃の場(いなせがわせいぞろいのば)」を演じる。また、第1部には特別ゲストとして、歌舞伎役者の中村扇雀(なかむら・せんじゃく)さんが出演する。入場は無料。

「義経千本桜」は人形浄瑠璃や歌舞伎の演目のひとつで5段もので、2代目竹田出雲(たけだ・いずも、1691-1756)、三好松洛(みよし・しょうらく、1695-1771)、並木千柳(なみき・そうすけ、1695-1751)の合作で、1747年11月に大坂竹本座で初演された。源平合戦後の源義経(みなもとの・よしつね、1159-1189)の都落ちをきっかけに、実は生き延びていた平家の武将たちとそれに巻き込まれた者たちの悲劇を描いている。

「吉野山」は4段目の口「道行初音旅(みちゆきはつねのたび)」だけを上演する際に呼ばれる演題で、都に留まっていた義経の愛妾で白拍子の静御前が、義経のことが恋しくてたまらず、ついに都を後にして義経のもとへと行くという場面だ。義経が吉野にいるらしいとの噂を聞き、まだ木々の芽がほころぶ初春の時分、吉野に向い、女ひとりで道を歩みながら、義経より預かった初音の鼓を打っていると、義経の家臣、佐藤忠信(実は狐)が遅れてあらわれた。

忠信が義経より賜った鎧を出して敬うと、静はその上に義経の顔によそえて鼓を置いた。この鎧を賜ったのも、兄佐藤継信(さとう・つぐのぶ、1158-1185)の忠勤であると忠信は言い、話のついでに兄継信が屋島の戦いで能登守教経(平教経=たいらの・のりつね、1160-1184)と戦って討死したことを物語り、思わず涙する。ふたたび歩む静と忠信は芦原峠を越え、吉野山の麓へと辿りつく。

「白浪五人男」は「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」が正式名称で、1862年に江戸市村座で初演された歌舞伎の演目だ。通称が「白浪五人男」、世話物(白浪物=盗賊が活躍する歌舞伎狂言の総称)で、2代目河竹黙阿弥(かわたけ・もくあみ、1816-1893)作で、全3幕9場で構成されている。

「稲瀬川勢揃いの場」は2幕目第3場で、「志らなみ」の字を染め抜いた番傘を差して男伊達の扮装に身を包んだ5人男の名乗りが名高い。花道を堂々と登場後、舞台に来て捕り手を前に5人組が勢揃いし、1人ずつ「渡り台詞」で見得を切り、縁語や掛詞を駆使した七五調のリズミカルな「連ね」で名乗る姿には歌舞伎の様式美が凝縮されている。

期間中、アメリカ・シティグループ傘下のシティカードジャパン(CCJ、新宿区新宿6-27-30、新宿イーストサイドスクエア)が運営する「ダイナースクラブ」が19日から11月3日まで「銀座レストランウィーク2016オータム(Autumn)」を開いている。参加53店で事前に予約すると、ランチ3000円(サービス料込、税別)、ディナー1万円(同、食前酒付)で提供する。会員以外でも利用できる。

また、10月19日から11月3日まで銀座のバーが参加する「オータム・ギンザ・ナイト」を開いている。参加12店がギムレット、ネバダ、バラライカ、サイドカー、マルガリータの5種のカクテルについて、1杯1500円(税別)で提供する。ただし、ほかにテーブルチャージがかかる。

29日12時から17時まで銀座の20画廊が参加して「アフタヌーン・ギャラリーズ」を開く。ギャラリー巡りツアーと柳家さん生(やなぎや・さんしょう)さんによる落語会もあるが、すでに募集を締め切っている。

表千家は千利休(せんの・りきゅう、1522-1591)を祖とする千家の家督を継いだ千家流茶道の本家であり、宗家は京都市上京区小川通寺之内通上るにある。千利休の孫で、3代・千宗旦(せんそうたん、1578-1658)の3男、千宗左(せん・そうさ、1619-1672)が千宗旦の隠居に伴い、継嗣として「不審庵(ふしんあん)」を継承し、「表千家」の家元となった。

「裏千家」は千宗旦の死後、「不審庵」の裏にある「今日庵(こんにちあん)」を4男の千宗室(せん・そうしつ、1622-1697)が受け継いで独立し、「裏千家」とした。宗家は京都市上京区小川寺之内上ルにある。

「武者小路千家」は千宗旦の次男、千宗守(せんの・そうしゅ、1595-1675)が養子先から戻ってきて、京都武者小路に「官休庵(かんきゅうあん)」を建て、起こしたのが「武者小路千家」だ。こうして表・裏・武者小路の「三千家」が成立した。宗家は京都市上京区武者小路通り小川東入にある。

「江戸千家」は川上不白(かわかみ・ふはく、1716-1807)に始まる茶道の流派で、家元は台東区池之端にある。

「遠州流」は小堀政一(こぼり・まさかず、1579-1647)に始まる小堀家本家に伝わる武家茶道の一派で、宗家は東京都新宿区にある。

「煎茶道」は江戸時代初期に禅宗の一つである黄檗宗(おうばくしゅう)を開いた隠元隆琦(いんげん・りゅうき、1592-1673)が開祖とされている。現在も全日本煎茶道連盟の事務局は京都の黄檗山万福寺内に置かれている。