ポーラ銀座で青木美歌展、ガラスと光で植物のつながり表現

【銀座新聞ニュース=2017年1月20日】ポーラ・オルビスホールディングス(中央区銀座1-7-7、ポーラ銀座ビル、03-3563-5517)が運営するポーラミュージアムアネックス(ポーラ銀座ビル3階、03-3563-5501)は1月20日から2月26日まで青木美歌さんによる「あなたに続く森」を開く。

ポーラミュージアムアネックスで2月26日まで開かれている青木美歌さんの「あなたに続く森」の会場風景。すべての作品が透明なガラスで作られている。

粘菌、バクテリア、ウイルス、細胞など目に見えない「生命の有りよう」をテーマに、ガラスを素材にした作品を発表している青木美歌(あおき・みか)さんが、植物のライフサイクルをモチーフに、目に見えない生命の「繋(つな)がり」をガラスのオブジェと光を組み合わせたインスタレーションとして展示する。

ポーラでは「地球上の生命体は、生と死のサイクルを繰り返し、何億年という時を経て、今の私たちへと繋がっています。その神秘的な生命の生成プロセスとカタチを植物の細胞というミクロの世界で表現」しており、「人はガラスの森という瞑想の世界に入ることで、そこにひっそりと佇(たたず)む、目に見えないものの息吹(いぶき)を感じとることができる」としている。

作者の意図がわかる作品(左のかぼちゃ)、わからない作品などがあり、箱の中に入れられてないので、間違えて触れただけで、落ちたり、割れたりというもろさを感じ、鑑賞にも神経を使う展示になっている。

青木美歌さんは「バーナーワーク(ガラスの成形技法の一種で、バーナーの炎によってガラスを熔融し、成形すること)」という技法により、制作した透明なガラスに光が当たることでより輝きを増し、儚(もろ)さと神々しさが表裏一体となった作品が特徴としている。

青木美歌さんは「森に入ると多種多様な生命が共存しています。空高く背を伸ばす大きな樹、木の実を食べ、糞と一緒に種を落とす鳥、よい香りで虫を誘う花、花の蜜を吸いながらその花粉を身にまとい、受粉の手助けをする昆虫、昆虫を食べる小動物、小動物を食べる大きな動物、土に落ちた葉や昆虫の死骸等を分解し育つ微生物、菌類、こういった生命の繋がりは、すべての過程がそれぞれの命の営みに繋がっています」という。

さらに「この『繋がり』自体は目に見えるものではありませんが、生命が生きていることそのものの核であると感じています。生命が始まった何億年もの前から、今ここに自分が生を頂いているまでその繋がりは、途方もなく多様なネットワークでできており、世界中の日々の生活の中でもそれは起こり続けています。そういったことを、今回は植物のライフサイクルをモチーフとして作品にできれば」としている。

青木美歌さんはこの内容を、「あなたに続く森/外の世界がどんな風に聞こえても/心の中はいつも自由に/光の糸で愛情を織っていく事が出来る/遠い昔に生命が始まって/何度も変化を繰り返し/いくつもの種を受け継いで/今ここに生を頂きました/そうしてあなたに出会えた喜びを/どうやって伝えることが出来るでしょう?」と詩にしている。

青木美歌さんは1981年東京都生まれ、2006年に武蔵野美術大学工芸工業デザイン科ガラス専攻を卒業、卒業時に武蔵野美術大学卒業制作優秀賞、同年に「ジーンズ・ファクトリー・アートアワード(Jeans Factory Art Award)」で準グランプリを受賞した。

2007年に東京・西麻布で個展、2008年に第11回岡本太郎(おかもと・たろう)現代芸術賞展で入選、2009年に銀座、日比谷で個展、2010年に東京・青山で個展、「SICF」でグランプリを受賞、2015年に英国・ロンドンの「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(Royal College of Art)セラミックス&ガラス(Ceramics and Glass)コース」の修士課程を修了、2013年に文化庁新進芸術家海外研修制度にて英国へ留学している。

開場時間は11時から20時。入場は無料。会期中は無休。